5話 八市会合
半年に1度程度、多くても月に2度程度の頻度に開催される八市総長とその右腕、または相棒、または参謀等々、総長が指定した一名を同伴者として系約16名+仲裁が集まる”湘南の八市会合”と言うものが開かれて居た。
「これより、八市会合を開催する!今まで通り、平塚、藤沢、茅ヶ崎、秦野、伊勢原、寒川、大磯、二宮の順番に名乗りを上げい!最初は平塚!」
総長あるいは副長が一言、名乗りを上げる、夜露死苦が基本的に挨拶の最後に言うのが定番化してる(言わなくても良い)。
仲裁がマイクを片手に会議を進行する。
「平塚市でフィファリスと言うカンパニーを立ち上げています、豊藤介総長代理です、夜露死苦」
「次!藤沢!」
「藤沢市でラングウェイと言う組織を取り仕切っとります、田中政宗と申します、夜露死苦!」
「次!茅ヶ崎!」
「ハイ!茅ヶ崎市でフラウグニスのトップ張ってる柴だ、戸田柴デス!夜露死ゃ〜っす!」
「次!秦野!」
「秦野市のアルデロの天辺、城ヶ崎紫苑、おねしゃ〜す」
「次!伊勢原!」
「伊勢原市でコニファーグループと言う組織を纏め上げています、村雨崎と申します、夜露死苦お願いします」
「次!寒川!」
「寒川町のシャルカープで頭張ってる、緒方十太郎です」
「次!大磯!」
「大磯町のシリカルを統治せし者、我が名は晃!」
「最後!二宮!」
「二宮町の笹塚一派を纏める笹塚麟太郎と言います」
「名乗り上げを終了します、そしてこれより第67回目、八市会合の議題を発表致します!今議題は新たな八市総長です、八市総長は代々後輩に受け継がれるものです、選び抜かれた実力者、選考を勝ち抜いた智者、あるいは強靭なメンタル、満遍ない分野で同格、一分野で旧代を超えるかが普通、あるいは満遍ない分野で旧代を圧倒するのが新代に続く八市総長、代替わりするごとに優秀になり続けるものです」
仲裁が語り始める。
「新たに代に着いた堂嶋康太、貴様の資質を提示してみろ」
「、、、資質だぁ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ、グラァ、その時、堂嶋の周りの空間が歪んだようなオーラが溢れ出る。
「ッッッ!?もういい!もういい、理解した、強さは充分だ」
その軽く溢れ出した怒気は堂嶋の体温を上げ辺りに熱を伝達する、さっきの空間の歪みが陽炎と言う気象現象の一種だったと言うことが分かる。
物理的に辺りを熱気で包み、荒げ掛けの呼吸が辺りの酸素を薄くし、生理的振戦は地震を巻き起こす地異と化したのだから。
小刻みに揺れる振動が地盤に波として伝達されていく、それが震源と化する、地震計が記録する波形が大きく波打つ、震度計がそれを計算すると、震度6強、地割れが顕著に起こり山が崩壊するほどだ。
「うぉ!?すげぇ揺れる!待て待て待て待て!スマホも鳴ってるから!待て!」
人体の限界を超えた力学とでも言うべきか、その身体能力は、古典物理学や人体の構造的限界を完全に超越した力学で成立していた。
「次の議に移ります、次の議題は〜」
と言う感じに定例的な話とある程度の議論が繰り広げられて幕を閉じた、帰り道、行きにも通った裏道を通って大通りに出ようとしていたところ。
「死んだって護る!こいつだけはやらせねぇ!」
「なぁ、誰からも見放された人間じゃない奴を〜、殺しちゃいけない理由って、なんだ?」
非道が居た、豊と堂嶋が居たが、先に堂嶋は既にそいつの背後を奪い去っていた。
「全くお前の言う通りだよ、屑を殺しちゃ行けない道理?そんなモンねぇよなぁ!あはははは!あ〜っはっはっは!!!www」
「な、なんだおま、ひぃ!?」
地の底から震え上がる程の凄まじい唸り声が辺りの空間を反響する、狭い道で山彦のように声が何回も反復する。
「近寄るなぁ!」
ガキン!そいつは自分が用意したチタン合金製のバッドで顳顬をフルスイングする、だがしかし。
「、、、は?」
なんと、バッドが圧し折れて頭型に歪曲したのだ。
ゴギャリ!ボギャリ!そんな骨が軋み捻じ曲がるような、そんな奇妙でグロテスクな音が鳴り響く。
その狂気的な笑顔は口が裂けんとばかりに口角が吊り上がり、全ての表情筋が歪に成り顔面が歪んでいた、そして更には輪郭を逸脱ほど大きく口が開かれる。
収まり切らない程の怒気、瞳孔は拡がり、血走り、猛獣と言うにしても余りにも凶悪過ぎて、悪魔的と形容するにしても余りにも怪物過ぎて、異形の面相としか言う他に無かった、鬼神も不動明王すらもその怒りが何と呼ぶかは知らず。
「な、なんなんだよお前!」
鋭く、鋭く、更に鋭くと捻じ曲がった目の切れ端、額にはコブ、剥き出しの鋭い歯が、歯茎が、そして本来なら見えないような部分すらも露わに、その鋭くなった顎は人の命脈を断ち、地面を貫き、異様に発達した頬骨、張ったエラも簡単に触れたものを細切れにする、硬質化している顔面全体が絶望そのものを語らずとも見たものに直感的に絶望をもたらすことだろう。
怒り・憤怒すら通り越して殺意、殺意すら殺意すら通り越してその言い表しようも無い禍々しく淀んだ感情は人を狂わせるには充分どころか過剰過ぎるくらいだ。
「あぁぁぁ!」
やつを見たら精神崩壊を引き起こし、そして絶叫、悶え苦しみ悶絶、つまり意識を失う。
「はぁ、はぁ、はぁ(逃げなければ)」
絶対的に逃れられない自分より圧倒的に強き者と相対した時にヒシヒシと感じる格の違い、マイコプラズマ一つとナラタケの菌糸体全域の規模を比較する程に無意味なレベルでその格差が開き切っている。
「俺だって分かってる!陰謀論染みていることは自分でも理解しているつもりだ、、、」
恐怖の実体、ホラーの枠を超えた存在感、その視線にはそれの感情が宿っていた、姿形が変わって、容姿が違う堂嶋。
その視線は言い表すとしたならば群集心理による狂気的な転嫁の消えた責任の循環、それによる押し付けがましい視線の雨、それを滝行や雹の雨としたら奴たった1人の視線は気象現象すべてを総べる”天変”のようであった。
※台風・ハリケーン・サイクロンが全て同じ気象現象に、また豪雨や嵐や竜巻も一種気象現象として、そのような統一されている。
その唸るような声を聞いた人間の生存本能を極端に刺激して、死を悟らせる、それだけに止まる範疇ならば良かった、それは逃走を選択したものにすら確実なる死を齎す、記憶に深々と刻み込まれたトラウマは忘れたくても忘れられない。
鮮明に、鮮明に、相手の精神に記憶から干渉する、そして時期に夢にまで影響が及ぶ、本来なら一貫性なんか無い記憶をつぎはぎにしただけの出鱈目、滅茶苦茶な記憶処理中の頭の中に堂嶋が現れるように成る。
「はぁ、、、はぁ、、、」
夢にまであいつが出始めるようになった頃、もはや崩壊となんら変わらない、その視線を浴びたら最期、ビクビクと怯えながらいつしか来たる不自然な死を必ず迎えることに成る。
「はぁ、はぁ、はぁ、ひぃぃぃー!!!?(予想すら付かない天変だ、こんな奴にあった事こそが俺の人生最悪の運命なんだ)」
堂嶋とはそうなのだ、力を抑えようが物理的な肉体は地に異変をもたらし、気迫は精神的に天の変動をもたらす、言うならば《天変地異》、産まれながらの天災、人為的には避け難き自然現象。
「天上天下唯我独尊、貴様みたいな虫ケラにも一分の命くらいあるだろうてよぉ、分を弁えろ、見上げも見下すもせずただ前だけを向き、死ぬまで人々に奉仕していろ」
「わかりました、私はただの虫ケラ、皆様に害虫認定されず、益虫になれるよう努力を勤めます、私はただの虫ケラ、皆様に害虫認定されず、、、(私はただの虫ケラ、皆様に害虫認定されず、益虫になれるよう努力を勤めます、私はただの虫ケラ、皆様に害虫認定されず、、、)」
「さぁ、行こうか豊」
「(俺は一体、どんな存在をリーダーにしてしまったのやら)はい、行きましょうか!」
こうして2人はアジトへと帰還した。
「おぉ!赤松!」
「赤松?とは貴方様の側近でしょうか」
「あぁ、中学校で初めて出来た友人だ、良く分からない出会いだったけど、中々いい奴でな」
「堂嶋さぁ〜ん!大変です!」
焦った顔を晒し、赤松は堂嶋に対して絶句し慟哭するが如く声を荒げながら喋る。
「堂嶋様の実力に恐れを成した者達、湘南グループのフィファリスカンパニーを除く八市総長全団体に加え、暴力装置と呼ばれるものが貴方を潰しに来てるんだよ!」
「確か暴力装置は、非合法な犯罪と暴力、他国の攻撃に対処するため、法に則った暴力行使が認められた組織・機関だったよね?」
「どうしてそんなに冷静なんすか!やばい事なんすよ!」
堂嶋は慌てふためき堂嶋を心配し尽くしている赤松を安心させる様に優しくも強き声でこう言い渡す。
「俺は、最強だ」
「ッッッ分かってますよ、そんな事!」
こうして堂嶋VS湘南エリア+暴力装置の大抗争が今始まった!




