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レジスタンス  作者: 藍
13/14

13話 対策不能の人災

神奈川では今、その勢力を掛けた版図の広げ合い、支配領域問題が勃発している。


「死にやがれ!北条家がこの神奈川県を仕切るに相応しいんだ!」


怒りに任せた一撃で元八市総長が一人、戸田柴が吹き飛ばされる。


「うぐぉ!?」


やつの名は左大臣、北条家の家来の左翼のリーダー、一種の精神疾患、間欠性爆発性障害を抱えて居る、抑え切れぬ殺意・暴力的衝動を、自分に対して向けて、その自分自身にすら殺意を向けて、自分が自分に対する殺意を向け合うと言う状態にすらなっていた。


長い月日を掛けた精神病棟でのリハビリ期間を向けて教育されたが、ふとした拍子に再発してしまう事がある。


「ぶち殺してやる!俺も、お前も!」


自壊必死の自他共なる破滅的な戦法、復讐心を宿した攻撃は。


「うぐ!?(勢いを殺し切れない!)グハ!」


まるで家族や大切な全てを奪われた時に発生する希望から絶望に急降下するような無念を孕んでいた、復讐心の螺旋、怨嗟を背負うが如く無念の力は増幅し続けていた。


攻撃性から進化したと言う進化論、キラーエイプ仮説を体現したが如く、ただただ激情に身を任せているだけに等しいのに、進化は止まない。


言うなればそれは、対策不能の人災。


「あ、あが、(勝てる訳ない!怖い、誰か!)」


怒りの狂気に呑まれかかっていた。


「はぁ、はぁ、はぁ(隊長だろうが俺は、一番体は弱い、だが皆んなを引っ張らなきゃならねぇ、違うか俺、力の入らない右足に喝を、勇気の出ない心に信念を)仲間を死なせないために全霊を!」


そんな時に足を一歩前に出した漢が居た。


「柴さん!」


〔英雄心〕全ての感情論的な衝動を含み、正義を遂行する行動を引き起こす根源的な在り方。


「後ろに下がってろお前ら!」


それは、本来ならば形容するには値しないのだろうが、状況がそれを刻み付ける、任侠を宿していると。


「柴、、、さん!」


〔勇気的衝動〕身体がどれだけ動かなくても、生存本能が脅かされても、大切なものを守るために身体は勝手に動き出す、また恐怖心が強ければ強いほど強さの強度が上がる。


「おい、俺らは柴さんだけに乗せるのかよ、責任も勝敗の運命もよ」


「何を言ってやがる、ペ、運命を切り開くのは自分自身の宿命だろうが!」


〔伝染する勇気〕勇気的衝動の副次的な効果、自身と仲間を強化、勢いが増すことで相手を怖気付かせて逆に相手を弱化させる、そして全員の正気度が回復した。


人間は周りに合わせる習性が有る、適応力、喧嘩を沢山してる不良が、拳に慣れれば殴りなんか余り痛くなくなるように。


「行くぞテメェら!怪獣退治だ!」


「押忍!」

「押忍!」

「押忍ッッッ!!!」


〔攻撃的衝動〕進化の原動力、怒り、暴力性から成る行動、強者に産まれたからこそ産まれる力、生存意欲が消費されていく、もはや人間性などそこにはなく、左大臣の強さは化け物染みて行く。


「このまま死にやがれぇぇぇ!」


「ガハァ!?(くそったれ、マジで死んじまう、仲間達を逃がさなきゃ)」


ドガァーン!、、、柴は。


「あれ、生きてる?」


そこに彼が来たのだ。


「良く耐えてくれた、皆気力に満ち溢れている」


「村雨?」


「な!?どうやって耐え」


「黙れ」


グワァン!爆発的な気迫が左大臣の攻撃性が周辺から見て、ガキの反抗期と錯覚させるほど、膨大な殺意が当たりを埋め尽くす。


「皆良くぞ耐えてくれた、あとは俺に任せろ、救護班!今すぐ治療室へ皆を」


「行かせて溜まるかぁ!はぁ?(浮いてる?回ってるのか俺は、重心は、なんだこれ!)


闘牛士が如く、舞踏家の如く、赤色に闘牛を惹きつけるが如く此方に勢いを集中、パートナーをリードをするように手繰り寄せ、トワールするが如く。


「アップクロス決まりや」


動かないで上に向けて腕を交差させてバッテンを作り出す、瞬間周りから観ればポーズを取ったから吹き飛んだように見えるが違う、向かって来た相手の力、勢い、慣性を操り宙に飛ばすもので有り特殊な能力でも力業でも無い、合気道の四方投げ、勁道の化勁に類似したその技の名は、突き上げ交差投げ(アップクロス)。


宙に舞いながら敵はグルングルン!っと音を立てながら回り左大臣は、地に叩きつけられる。


「奴は!(あれ?、、、後ろ?)」


気付かぬ間、瞬間はこちらに向かい過ぎ去る。


「見られたく無いなら、見えない程速ければいい」


「は?へたり込んで何やって、うぐ!?(血!?いつの間に、この十本の線は)まさか、爪、いや、指先か?」


それは両手を上から下に下げるようにして放ち交差させて、相手を引っ掻いて肉を削ぐ技、その名もダウンクロス、さっきの静的な交差とは違う動的な交差、さっきは立ちながらだったが今は屈んで居る。


最近の村雨の戦闘スタイルは両手刀術、英語に翻訳してハンドデュアル、そう呼ばれるものを使う。


「さぁ、やろうや」


びき、びきびききぃ、ブチ!血管が全身に広がる、赤黒い血が。


「ぶっ殺してやる、くそが(二種類のクロスを使い分けて戦うとな、厄介な)」


左大臣なんて大層な名前がつく理由も分かる、力業による一方通行だけじゃない、冷静に激怒する知恵もある、それは後天的感情之欠落ソシオパス的で有り、感情を利用する域と言うことだ。


「喰らいやがれぇ!」


左大臣が上から振り下ろすように繰り出した力業の縦薙の手刀を。


「もう死んでいいよお前、クロスパリィ」


ドゴォーン!ブシャー!


「は?、、、ウギャァァァ!(俺が繰り出した手刀、なぜ俺の腹筋に刺さっている、何が起きた)」


村雨は、交差受け(クロスパリィ)を使った、主に空手・護身術に見られる十字受けを受け流しに重点を置いたガード技術である。


「なら掴んだらどうだ!受け流しようも!ッッッ!?(おかしい、俺は錘をくくり付けながら利き手じゃ無い手の小指だけで指立て伏せが出来る、こいつはおもりより遥かに軽いはず、なのに、なのになんなんだ!重すぎる!?)」


左大臣は驚愕していた、自分と村雨の体重以上に重たく成るこの現象を。


「おいおいお前、支点、力点、作用点なんて梃子は小学生でも習うだろうが、力の使い方、技もまるでなっちゃいねぇな」


、、、。


「ん?左大臣がただの暴力任せの能無しなのにどうして左大臣と呼ばれているか、だって?お前ら何もわかっちゃ無いな、彼奴にアドバイスする奴もいたが、釈迦に説法だぜ」


「右大臣さんが彼を評価する理由が分かりません」


「皆んなが皆んな、彼奴を、左大臣の全て知ってると思い込む、実際にそうだろう?奴が見せてる姿は全て野生的でまるで技術の無い猿だ、君らは想像していた何倍も強いって言葉があるのは知ってるかい?」


「まぁ、はい」


「彼奴はな、人間爆弾とすら呼ばれた左大臣は、想像可能な全ての倍率の像より遥かに強いぞ」


左大臣は想像を絶する強者だから左大臣なのだ、左大臣以外は左大臣ではなく、左大臣は左大臣だった、だから北条家の家来、左大臣なのだ。


、、、。


ドガァーン!その時、何かが爆発したような音がした。


「ウガッ!?(凄まじい爆音、音圧が凄すぎる!潰れちまう!)はぁ、はぁ、はぁ、一体何グァ!?」


ドガァーン!村雨は何が起きたかすら理解してないまま、数十と木に当たり木が薙がれていく、そして勢いは殺されていき数百m後方の建物に頭から突き刺さる。


「あ、あが、くっ(受け流しながら、勢いを殺しながら、クッションしながらだったってのに、なんなんだまじで、まるで核弾頭だな)手刀で斬り落としてや!切り結ぼうや!」


切上ような右手刀、切捨の左手刀、一瞬にして数十、数百と円舞の如く回し切る、廻る波状攻撃を仕掛ける、剣の回る竜巻が左大臣に襲い掛かる、、、だがしかし。


「は?どこに行きやがっ」

「お前、もう飽きたわ」


村雨の目に映る左大臣は。


「(奴を打った斬れる想像イメージが一切合切浮かばない、前提として当たらない、当たったって薄皮や皮脂、奴の皮膚から拡散されてる熱だ、その熱波ですら俺の刀を近寄らせる気がサラサラ無ぇッッッ)」


ドガァーン!まさかの飛んでいた左大臣は村雨にダブルスレッジハンマーを決め、一撃で地中深くに埋める。


、、、。


右大臣が左大臣の本質を語る。


「とことん飽性なのさ、その理由?なんでも簡単に手に入っちまうからさ、絶望していたんだ、そんな自分の才能に、怒っていたんだ、自分に対して常にな、強く成るたびに怒りも濃度を増しながらな、奴のあの怒れ狂ってる姿は単なる一側面に過ぎない」


「飽性ですか」


「後は彼奴の思考力だな、彼奴の視野はとことん広い、だから視野を下げる為意図的にあんな風な怒りに身を任せてるのかもな、感情豊かだった、だがしかし周りの馬鹿に呆れていた、人間をただのタンパク質として捉えるだけでは人間の心理的運動は働かない、仕事しない、情報、そこにある情報の捉え方だ、現実主義、物的証拠主義、物理/科学信仰者、そのどれもが余りにも視野が狭いってな、それに怒ってすらいた、彼奴が左大臣って呼ばれる理由は、、、」


、、、。


「詰まらない、何もかも、詰まらない」


、、、。


「理由は?」


「学習・慣れの才能だよ、どんな場所でも、形態フェーズを変えて生還者サバイバーと成る、越前が怒りに統一されてるだけ、それに越中を見せない、越後を見る前に力の差でぶっ潰されちまう」


、、、。


唯我独走アバーブオールオンリーワン森羅万象エブリシングをただ一人だけ唯一が突っ走るが如し、適応能力に優れ秀でる生物的な人間性、人間の本質そのものを悟ったような力、左大臣の形容。


「村雨ぇぇぇ!」


決着なんてものは、一瞬だった。


「あ、あが、は、は、っがは!(息もまともに、出来ない、肺に肋骨が刺さってる、吐血もひどい、くそ、今は息することだけ集中だ)」


「お前の仲間、虫の息だな、いつもこんなのばかりだ、お前ら雑魚はまるで知ったように語る、知らない訳がない、興味がないもの、無価値と、無意味と断じたものを態々人間が記憶する訳もない、戦いをなんとか興じる為に態々してる工夫を雑魚は何も理解しやしねぇ、力点?支点?作用点?知ったことではないだろう」


するとスケバンが出てくる。


「次は私が相手だよ」


彼女は、城ヶ崎紫苑だ!それも昔よりもさらに強くなっている。


〔雰囲気爆美女〕一目すら入らない、一度すら観なくても惚れさせる盲目惚れ。


だがしかし城ヶ崎の雰囲気爆美女、通用しない、感情を揺るがせる領域じゃないからだ。


「あんたを倒すのに一歩もする気は無いよ」


「(強者特有のオーラはない)虚勢を張るのだけは随分と上手だな」


一瞬で左大臣は見抜く、そして爆発する、地を蹴り上げた衝撃波だけで爆破と錯覚する程の加速、城ヶ崎の喉仏を掴み掛かった瞬間。


「は?」


ズザァー!左大臣は宙で体勢を立て直し、靴が土を噛みながらゆっくり減速する。


「(確実に触れていたはず、なんなんだ一体これは、幻覚系の類か)面白い、もしかして貴様、弱者と偽っているな?」


「やっと気づいた?」


術中に嵌っていた、思い込まされていた。


「(間合いを計り、奴の射程圏内を推し量る)って、ははは!なんなんだ、こんな分析は、今までに無いぞ!ここまでの興奮は!素晴らしいぞ名前を名乗れ!」


「アタイは城ヶ崎紫苑だ!お前を叩き潰す女さ!」


「ここまでの高揚感は、ここまでのワクワクは、今までに無かった!素晴らしい、素晴らしいぞ女!否、城ヶ崎ィィィ!!!」


違う、何もかもが。


「ひひぃ!」


バゴーン!地を蹴り城ヶ崎に急接近、ピタ!止まる、爆風が土を巻き上げる。


人影が浮かび上がる。


「どうした?その程度か?」


「あぁ?(なんだこれは、おかしい、どうしたんだ俺は、この程度の実力な訳がない、さっきからテンションもおかしい)」


そうだ、たった数手程度のうち、その違和感が理解出来た、全ての点が繋がる。


「(自分の実力すら見誤らせられた、読み違わせられた、、、禁物を踏まされたんだ、やつに、油断を咬まされていた、一心に不乱させられた、騙されたんだ、しかも幻覚じゃない、幻覚と錯覚すらさせられていたんだ)貴様」


「だったらさ、反論・反証しようもない無限の可能性に興じて、今は真実を忘れちゃいなよ(あたいだけじゃ無理無理無理ぃぃぃ!何この怪物!まじ無理!あっち勢力の方が良かった!)」


〔一流の虚勢〕相手の脳裏に漬け込むような催眠、本来なら嘘も本当も見分けはつかない、見破ろうが突破は困難。


「さぁ、本番はここからよ」


一気に畳み掛けに掛かる、一人の八市総長が歩いてくる。


「赤松!あんた遅いわよ!」


「すいません、遅れました、初めまして、平塚市の元八市総長として参りました、総裁の堂嶋さんから推薦されて成り上がりました、以後お見知り置きを左大臣さん」


「(なんだぁこいつ、不気味だ、なんなんだこの感じ、見下されている?)」


「なぁ〜んだ、北条家直属の側近でその勢力の半分を任されてると言われて期待して見れば、随分と、弱そうだ」


「ッッッ!ふ、初めてだよ、無自覚的に殺意が湧いたのは、随意的にした筈の精神、システム化した筈なのに変だなぁ、バグか、まぁいっか、だって害虫バグ要因は、今から駆除ハイジョされるんだから」


こうして左大臣VS淫魔城ヶ崎紫苑&白色之悪魔の側近赤松清十郎によるバトルが始まる。

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