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レジスタンス  作者: 藍
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11話 鬼ヶ嶋

「随分と急な訪問者で、果し状の1つでも運んできてくれたのかな?鳩君」


「まるで伝書鳩のような言いようだな、今から死ぬとも知らずに呑気なものだ、俺は鳩の真反対の象徴だと言うのに」


瞬間、二つの強大な気迫がぶつかり合う、まるで津波だ、ここから始まる、たった二人だけの抗争が、正反対の二つがぶつかり合う、それにより当たり前に周りに被害が出始めてくる。


「二つの本質もそうだが、高揚だろうな、初めて自分らの全力を出し合える関係の存在に出会えた、ピッキピキだぜあいつら」


、、、。


言葉も、意味もすべてが副産物的に後天的に誕生し、先天的なものはそれを形作るベースとなり、ベースは法則ルールで有り、ルールの位階は時間と共に在った、先天的なほどに無言に成り、無意味に成る、実数で在り無限、そして虚時間として振る舞い延長線上は空間に在り、空間法則は時間と空間の区別の消失だった。


物理的な世界に於いては有形のものが織り重なり合い確かにそこには差別化要因が存在するのだろうが0/100には収まりが効くもの、つまりは絶対が絶対に存在しないのが真理なのだ、だがしかしその区別は虚時間により崩される。


数学的に空間と時間の区別が消える、同じ扱いになるとはどう言うことか?ソレ即ち空間的特性が異なるだけで本質は逸れることのない同一のものと言うことだ。


そこに有るのは陰と陽だけで有る、3次元から投影した影が面でしか無くなるように高次元から落とされた影と言う演繹的にはそれが事実で有り、点を重ねて線に、線を横に並べ面に、面を張り重ねて立体に、と言う様に帰納的には集まりが次元で有る。


高次元からの影が光の当て方により姿形が無限に変わる、故に無限に同一の質の次元を集め織り重ねた先に、我々の見えない次元が在り、それが多次元、本質的には同じで在りながら常に超えられない壁が有る。


陰の中に陰が有りまた陽が産まれ出でる、陽の中に陽が有りまた陰が産まれ出でる、そんな無限の二項対立のフラクタルが次元で有る、陰が陰陽を、陽も陰陽を、その各陰陽の陰と陽の其々がまた陰陽を孕み自己増殖する。


つまり、有形とは、ツール化、可視化して手に取りやすくするために主観が創り出した幻で有り、本質的にはすべてが無限性で有る。


「だがしかし無限、ベクトルを扱えるからそれがツールで無い訳でも無く、ヒルベルト空間やそこら公理系ですらも数学的な世界に嵌められたものに過ぎない」


陰陽次元論による二元性のフラクタルは、無論無極に統合される、その背景スクリーンに映し出されている暗明の色彩に過ぎないので有る。


、、、。


「彼ら二人の影響力で朝が夜のように見える、そして夜は裏返り朝に、拮抗し繰り返し混ざった末、灰色の曇天が神奈川そらを埋め尽くしてやがる」


、、、。


堂嶋が先に口を動かした。


「万が壱?億が零点壱?兆が零点零壱、、、そんなんがどうした、確率がどうした、例え零になろうが、確率が確実に不可能と告げようがよぉ、それを捻じ曲げるのが漢ってもんだろうが!」


万策尽き足る十死零生の状況、生存など出来よう筈も無い、だがしかし、そんな確率論理的に確実に死ぬ零百の戦況を”覆す”。


二人とも打てる手段は。


ドガァーン!ドゴッ!!!


「ブボ!」

「あが!」


ただただ拳のみ、純粋にそれが確率を捻じ曲げるからだ、、、。


無極とは混沌としたもの、それには無限の可能性が秘められている、そしてその一つ一つの可能性の中にまた無限の可能性が秘められている、そしてその一つ一つにもまた更に無限の可能性が秘められている、言うなればまたフラクタルで有る。


このフラクタルが発散、太極は産まれる、太極=陰陽次元論全体像だとして、それは根源的な混沌の発散、そしてその飛散した可能性の中に展開されているもので在り、まぁ簡単に言うと太極と無極が在る、階層として無極>太極、こう言う図に成る。


無極はまだ別れる前の潜在的なもの、太極は顕在化したそれ、陰陽次元論的構造は、無極から流れ出た可能性集合構造の中に展開されるもの、んで我々から見てその太極図は、一番小さな可能性の欠片に収まるものでしかない、つまり演繹的に予想される永遠と折り重なり陰陽は、横にもあり得ないくらい沢山あるし、その上にはそれら全てを一つの中に含む、より大きな太極図が広がってる訳だが、彼ら二人は、、、。


「グギィ!」


ドガァーン!


「ゴハ!」


バゴーン!


拳で捻じ曲げる、秩序と混沌は共にあるもの、時間と共にそれは無秩序に広がるもの、水にインクを入れるが如く不可逆的なエントロピーにすら波紋を起こす。


初めは透明、徐々に様々な色に変色し始めて自らが自らに様々なインクを垂らし始める、減法混色、時間が進むにつれてそれは黒に濁る、初めは透明でも真っ黒に染まればもう戻りはしない、不可逆なものだ。


だがしかしそれは調和を持ち始める、それは過不足のない完璧なバランスに成る頃、最初よりもより大きなコップに移されて、透明な水に変遷する、そんな回帰をするのだが、彼ら二人の拳がぶつかるたび、バケツ台の純化と混化の循環を繰り返していたものを溢し、その場所は暗黒空間と化していく。


「空が」


重力は、エントロピーの勾配(偏り)によって生み出され、物質を引き寄せ、エントロピーとは時空の情報の乱雑さ、これが変化することで重力現象や時間の矢が生まれる。


暗黒物質、それは宇宙の大部分の重力を担い、エントロピー、そしてそれは状態として、時空そのものの量子情報的な結び目(位相欠陥)および、そこから生じるエントロピーの余剰効果と言えるだろう。


彼ら二人の殴り合いで時間の矢は彼方此方に飛び、量子情報のネットワークが軋む。


生命の持つ意志(知性)は、生命は飯を食い、体内でエントロピーを排出(無秩序化)しながら、自らの身体という高度な秩序を保っている。


エントロピーに波紋が立つ、それは人間の生命力や闘争の意志が、宇宙の根本ルール(熱力学の第二法則)すら凌駕して、世界の構造を書き換えているに等しかった。


「ストップストップストップ〜!もう辞めだ辞め!神奈川が壊れちまう!」


「あぁ!?」


「おい、もう辞めだ辞め、お前だってこの場所を壊したい訳ちゃうやろ?」


「、、、熱くなり過ぎたな」


「戦いはお預けだな」


こうして二人の鬼は決着つかぬまま勝負が終わった、、、。


「どうだったやつの実力は」


「多分なんですが奴は直感的な、無自覚的なレベルにその力を使い分けとるんでしょうね、初めてのタイプでした、地力だけなら誰にも負けないとした自負が、自尊心がぼろぼろですよ」


「そないに彼奴は強かったんかいな、、、恐ろしいやっちゃな」


「更に精進するつもりです、見といてください俺を」


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