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レジスタンス  作者: 藍
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10/16

10話 小田原の鬼

「やっぱり堂嶋さん、ぱねぇ〜!」


「赤松は学校一緒だったの良いな」


堂嶋は、自認が利己主義の塵屑野郎だが、他者からするとなんでも良い方向に倒してくれて、他者の喜ばしい出来事をその人以上に喜び、他者を欲して接してくれて、他者の幸福を自分の幸福に感じる、だから他者を喜ばせるって言う自己犠牲を厭わない利己的な性格と言う意味がわからない男、言い表すなら良い偽善者とでも言うべきか?否、両者にwin-winで勝手に滅茶苦茶手助けしてくるやばい奴。


「生存戦略家として完成された心だな、全員助ける、自分含めて救いきる、そんな精神性、自分が居ないと悲しんでくれる奴が居るから自分は生きるって言う包括的な利益を追求、指揮者リーダーとして効率化を繰り返した巨大な生存本能そのもの」


裏切り自体も裏切る事で生じる無駄なコストも無駄、裏切はしない、存在しないのだ、欲望に忠実かつ野心家、配下皆んなを豊かにする為に俺が動く、俺が豊かに成るから動いていた、そんな堂嶋と一緒に歩きたくて、本質的なカリスマ性とは語らずとも付き従ってしまうものなのだと分かっていく。


常なる変異、赤の女王仮説の如く、生き残る為に互いに作用し合う、ただ一人の特異点に向かって、彼が知覚した真理、その洗礼の道理が彼を除くすべてには、そのまま祝福になっていた。


そんな堂嶋組が勢力圏に置けたのは今や厚木、大和、海老名、綾瀬、今は鎌倉に向けての手が進んでいた。


一方で小田原では。


「ふん」


ボギャリ!一撃で敵の背骨をへし折る。


「たかがデコピン一発、脆いにも程がありやがる、遺伝子がどうだの、意志と強いだの意識がなんだかと、そんなもんは無意味!ただ地力がすべての物を語らうんだよ」


死地を踏み越えて、死線を飛び越えて、殉教者とも成りては、死屍累々の山を駆け上がったものが居た。


「これは、、、このペンダント、そしてお前のドッグタグ、必ず家族の元へ届けてやるからなッッッ」


絶望など飽き果てるほど、見飽きるほど、聞き飽きるほど、腐り果てるほどに経験して刻み込まれた者が居た。


塹壕の中、次々と仲間は自らの手で命脈を絶った、有る者は銃口を咥え、有る者は動脈に刃を押し当て、有る者同士は同時に命を物々交換した。


初めにあった声はもう無い、過呼吸が静寂の世界に狭苦しい音色を奏で、酸素濃度を自身が下げてるのではないかなんてくだらぬ妄想が無数に浮かぶほどに孤独は心を蝕んでいく、そんな場所で、ただただ心赴くままに、光が揺らいで居た。


「俺が先ダァ!ギャハハ!」


側から見れば怪物だろう、だがしかし気が狂う孤独に現れたそれを、人は怪物かみと読んだ。


耳鳴りのするような、静寂を切り裂くるんるんの声は知らず知らずに仲間達に勇気を分け与えていた、、、。


「貴様に家名を与えよう」


「有難く頂戴致します」


名前は存在を定義して力の源泉ともするもので有り、定義(固定)とは力を使う為の技術・技法の確立でも有る。


「北条武蔵が、この神奈川で北条家がトップに立たせて魅せましょうぞ、この我が」


家族への加盟とは、群勢に編成されるみたいなこと、魂を結びつけること、一蓮托生の運命共同体と成り、存在強度、存在がどれだけ強固に世界に定着して、自己の定めた規則ルールを保てるか、この自己は堂嶋組の言う中枢、堂嶋が決めたもの、これをどれだけ守れるかだ。


因みに見たデザインが違うだけでØもOも同じくオー、中身データは変わらない、人間もそうだ、不変とは中身そのもので有り、中身とは自分の本質的な側面のこと、真名データとしての自身は変わらない、七要素説に於ける生命、霊魂がその不変の中身だ。


「それから導き出されるものは、存在は個体に見えて偏在で在り、その実、自身と自身の存在現実うつわの重ね合わせの膜張状態、解き放たれたそれは自我の区別も意識や意志も思考も滅茶苦茶に成るから死を死としか認識できないのだ」


ならばどうやって死後に死語を喋ろうか、あの世と言う全く別の理に突き動かされる場所で何を語らい合うのか?


「まずは根本から知らなければ分からない」


縁の無いキャンバスにどこまでも超え広がり続ける色彩、物理的に呼べば、粒子系と反粒子系、数学には正の数と負の数、その中心に有るのは対消滅と零で有る、偏りを産み出すには対の概念から克服した一に成ることが必要で有る。


姿形を変幻自在、不定形なことだ、真理は人によりまた解釈も変わる、可能性として留めることで心に無謬の平穏を齎す、それとは対比して断定、懐疑論的に導く真理とは普遍性を増し、その概念として、あとは存在強度が増し続ける。


命題の階層から絶対性の為に他を蹴落として平坦化、逆に真理には山を作る、凹みも凸も、それが続く地平アタラクシア自体、つまりは基盤、その無謬の平穏そのものが真理なのだ、心そのもの、不変で有りながら動的なそれこそが真理そのものだ。


不変なのに蠢く、その相反する二律背反が、対消滅せず真理として駆動し続けるのは、それが生命(あるいは意識)の構造そのものだからだ。


「霊魂だ、それこそが私達が次のステージへ行く鍵だ、そしてあの堂嶋からこの神奈川の全権を賭けた戦いをする為のものでも有る」


悪いところも良いところも克服して真理を知覚することソレ自体に独立的偏在性維持が有る、無意識のまま戦うことの完全な上位互換とでも呼ぶべきものだ。


自身と言う存在概念と化し、高い存在強度があることで消えずに固まれる。


「家族に成れた、次に掲げしは歴史に名を刻むことか、戦歴は人々の記憶に、崇拝は絵巻に偶像が、行けるか、俺は」


非常に好戦的なことを呼び言い表すには、バトルジャンキー、戦闘狂、バーサーカー、なんと呼ぶかも当て嵌まらぬ、凶暴性は言い表せない、荒れ狂う神奈川戦線、かのものに付きし名は〔戦鬼童子〕だった。


「神は、奈落の底のような戦場に現れ、三途の川を渡ろうとした俺達を引き留めたのだ、俺はあの人に、戦鬼童子に一生着いていく、拾われたこの命、尽きるその日まで」


慣れてくるものだ、慣れとは適応過程に於ける段階、分かりやすくゲームなんかで例えると殴られ続けてると不思議と痛みに慣れてくる、痛覚耐性(弱)を取得、みたいなものである。


「堂嶋さぁ〜ん!」


、、、。


「武蔵殿!」


取り囲む者達は自然と怪物に近付いていた、、、。

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