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15話 熱

「はい、わかりました!最深部での合流になりそうってことですね」


 鵜久森との電話を切り、ましろは来夢たちを振り返る。


「……大変だ。鵜久森さんたちが樹木のおばけに捕まって、今最深部に向かってるみたいなんだ」

「最深部……。一体何が待ち構えているのかしら……」

「何でもいい。ただひたすら切り捨てるのみだからな」

「切り捨てられなかったらどうするのさ」

「それは……、その時は闇魔法や貴様の炎魔法や望月の星魔法で何とかするまでだろう」

「今更ながらだけど、パーティ分けミスったね。向こうには攻撃魔法を扱える人材がいなかったわけだし」

「フン。今更気にしても遅い。早く最深部に到達し、榴姫たちを助けてやらねば」


 鴉は足取りを速め、ましろや来夢もそれに合わせる。近衛はやや遅れて反応した。ましろは近衛の顔を覗きこんで声をかける。


「近衛さん、大丈夫ですか。無理しないで下さいね」

「無理も何もしてないさ。ただ、タマといると化け物に遭遇しないなぁと思ってな」

「──そう言えばそうだな。そのおっさんと合流してから化け物が出てこなくなった」

「うーん。不思議な能力でもあるのかなぁ。はい、タマ。あーん」


 ましろはホワイトロリータの袋を開け、餌付けをしようとタマの目の前にチラつかせる。しかし。


 ガブッ


「──痛っ!?」

「ましろさん!?」

「ったく、何をしてる月影!?」


 タマに噛まれた指先から血が流れている。来夢は急いで綺羅々特製の救急箱を取り出し、ましろの指に消毒液を吹きかけ、絆創膏の上から包帯を巻く。


 :いきなり負傷

 :未知の生物に噛まれたぞ。大丈夫か??

 :探偵くんしっかりー!


「おいおい、大丈夫か少年?」

「……だ、大丈夫。と言いたいところなんだけど……」


 ましろは額に手を当てた。どうやら熱が出てきたようだ。


「タマさん、毒でも持ってまして?綺羅々さん特製のポーションを飲まれた方が良いのではなくて?」

「ああ、そうするよ……」


 ましろは鞄の中を漁り、エナジードリンク風の容器に入った綺羅々特製のポーションを取り出し、フタを開けて一気に飲み干す。


 :ポーションあるのかよ

 :ただのエナドリじゃねーの?

 :ポーションで治る傷なのか?


「未知の生物に噛まれるとは……。全く、少しは警戒しろ!」

「ごめんよ。近衛さんに懐いているし、外見もそんなに怖くないから警戒心が薄れてたよ……」


 ポーションを飲み干した後も、ましろはふらふらしている。


「ああ?仕方がないヤツだな!」


 半ギレになったまま、鴉はましろを背負う為に跪く。


「あ、ありがとう……!」


 ましろは遠慮なく鴉に背負われた。


 :男と男の友情

 :剣の人、なんだかんだで優しい

 :私も熱出したら誰かに背負われたい


「これでは剣が振れん!望月、もし襲われたら迎撃を頼むぞ」

「任されましたわ」


 苛立ちを隠せない鴉に、来夢が胸を張って応える。


『階段はこっちみたいだ。もうすぐ8層だよ』

「あと2層もこいつを背負って行かなきゃならんのか」

「あはは……。ごめんよ本当に」

「ましろさん、ゆっくりなさって。あとはわたくしがなんとかしますわ」


 身体が熱で重く感じる。ましろは空笑いし、お言葉に甘えて暫しの間眠ることにした。


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