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私(ストーカー)の恋  作者: Tokimine
私(アヤメ)の恋
18/19

朝食と出会い

起きた。

昨日のショックなんて、まるで無かったかのように安らかに、もとい、ぐっすり眠れた。

ショックとは言ったものの、しかし過度に期待したのは私な訳であって詰まり彼には全くの非がないと言うことなのだけれど、それでもやっぱり勘違いさせたのは彼だし、それにあの感じだったら絶対に告白シーンに突入すると思うよね?

普通そうだよね?

話の流れ的にそうだよね?

皆もそう思うよね?

ね?

ね?

ね?(威圧)


「・・・・・・」


私は朝から一人で一体何を言っているのだろうか。

とうとう私は(それこそ昨日のショックで)頭がおかしくなってしまったのだろうか。

流石にそれはやめて欲しいというか、是非ご遠慮したいところだが、流石にその可能性は低いだろうということが私の脳内会議で可決された。

時計を見ると、短針と長針が力を合わせて円盤を縦に2分割しているところ(6時00分)だった。

8時に下のロビーを出れば、学校へは充分に間に合う。

徒歩で20分程度だし、門が閉まるのは30分だ。

いつもは7:50にこのマンションのロビーに到着し、ミサが降りてくるのを待つ。

合流し次第出発。

8時までに合流しなければ順次出発。

基本は私の方が先に待っていて、時折ミサが先に待っていたりする。

さらに時折、合流しなかったりする。

まぁ、そんなことはどうでも良くて。


「二度寝しない内に早くベッドから出よう・・・」


何て呟いて、ベッドから脱出して制服(セーラー服だ)に着替えた後、リビングに向かう。

と、リビングへのドアを開けようとしたとき、パンの焼ける臭いがしていることに気付いた。

香ばしい小麦の香り。

つい、つられて想像してしまう。

3センチメートルの厚さにカットされたパンの断面は薄いきつね色で、そこにスライスバターをのせると、たちまち焼きたてのパンに吸収されてしまう。

一口目、パンをかじるとサクッ、ザクッ、っという音が鳴り、直後、口の中に小麦畑が広がる。

二口目、今度はさっきより食感は落ちるが、その分、噛むごとにパンから出てくるバターは、小麦畑をより鮮やかなものへと変える。

こってりとした旨味の中に香る優しい味わいは、パンに吸われた口内の水分を補ってくれる。


・・・お腹空いた。


しかし、この時の私はすっかり忘れていた。

忘れてはいけなかった事なのに。

絶対に忘れちゃダメなこと。

絶対に。

絶対思い出さなければいけなかった。


昨日、私がお母さんに

「明日の朝は和食にして」

と言ったことを。


私はドアを開けて、お母さんに聞く。


「お母さん、私のパンは?」

「アヤは今日和食でしょ?」

「急きょ洋食に変更は?」

「なし」


ですよねー


「明日洋食にしようか?」

「いい」

「あっそ」


気分って恐ろしい。

そう感じた今日の朝だった・・・



十六穀米、卵焼き、ひじき、味噌汁、沢庵を食べ終わり(しっかり良く噛むこと)、ニュースをお父さんと見た後(ジジイはさっさと会社行けよ)、部屋にもどって勉強して(こうすると授業に集中しやすくなる)からロビーへ向かった。

ミサと55分に合流し、学校へ向けて歩き出した。


「で、昨日はどうだったの?」


いきなり聞いてきますか・・・


「何もなかったよ」

「嘘だ~」

「本当だって」

「告白されたんじゃないの~?」

「さ、されてない」

「じゃあトーク履歴見せてよ」

「はい」


そう言って私はミサにスマホの画面を向ける。


「・・・」

「・・・」

「何かごめん・・・」

「分かってくれたなら良いよ・・・」

「にしても」

「?」

「通ってる塾なんて聞いてどうするんだろ?」

「私が知りたいよ」

「後で聞いて見よー」

「そうだね」


ミサが何故か楽しそうなのは気のせいだろうか。

まぁ、私もあの質問の真意を知りたいし。


「でもミサがそれを聞いたらダメじゃない?」

「あ、確かに。じゃ、あーちゃんが聞いてよ」

「分かった」

「よろしく~」


しかし、結局私は聞かなかった。

機会はたくさんあった。

でも聞かなかった。

聞けなかった。

聞こうと思うたび、こう何というか、表現できないような感情が芽生えて、胸の奥に重い何かが沈んでいるような、そんな感覚が私に躊躇いをもたらす。

心当たりが無いと言えば嘘になるけれど、やっぱり確信がないし、勘違いかもしれないし。

彼と関わるべきでないという思いさえ、今では芽生えてしまっている。

私が何を悟っているのか、今の私には解らない。

それでも、嫌な予感だけは、胸にずっと留まっていた。


しかしながら、彼の質問の意味という事だけを言うならば、それは今日の夕方、私が塾に行ったときに解決したのだった。

私が教室に入ったとき、私の席の隣にいたのは、彼だった。

つまり、橘だった。

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