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私(ストーカー)の恋  作者: Tokimine
私(アヤメ)の恋
19/19

塾と後悔

・・・・・・何で?

えっ、ちょ、なっ、は?あれ?ん?え?お?えーっと・・・あのー・・・ちょっと・・・


何でいるの?!


「おっ、よう黛。驚いてるな?」


そりゃ驚くよ。

てか怖いよ。

何でいるんだよ。

いるなら連絡ぐらいしろよ。

LIMEという文明の利器を使って知らせろよ。

あービックリしたー。

よし、悟られないようにしておこう、特に意味はないけれど、何か釈だ。


「随分来るのが早いのね、まだ授業まで20分はあるのに」

「授業の前に軽い面接があってな、一回帰るのも面倒だからさっきまで自習室にいた」

「じゃあ何で自習室にいないの?」

「お前も見たんだろ?あのうるさい自習室」

「確かに見たけど・・・。いや、そんな事より、何で橘がいるの?」

「さっきから落ち着いてるな、もしかして驚いてねーの?」

「答えて」

「え、何で無愛想なんだよ怒ってんの?うわっ睨むなよおっかねーな。えーっと、そろそろ塾行けって親に言われてな、どうせ行くなら知り合いがいるところが良いなと思って男子どもに聞いても誰も塾に行ってないって言うもんで、そう言えば黛は塾行ってたなーって思って聞いてみたら丁度気になってた塾だったから、それじゃあこの塾で良いやってなって手続きに行って、晴れて新井塾の生徒になったって訳。以上、説明終わり」


じゃあ彼は私がいるからこの塾を選んだって事だよね?

あ、でも元々気になってたとも言ってたし・・・

今のところはよし、無視を決め込むか。

・・・いや、止めておこう。

何か変にムキになってしまった・・・

さて、私もそろそろ席に着いておこう、いつまでも立ったままだと疲れるし。

えっと、新しい生徒がいるということは詰まり座席変更がある筈だから、以前の私の席は・・・うん、やっぱり他の人の席になってる。

そして私の席は・・・


「ここ」


え?


「お前の席はここだよ」


え?え、いや、だってそこは・・・

"信じるもんか"と座席表を見直す。

私の名前があったのは、彼、橘くんの隣の席だった。


「俺がそんな嘘付くかよ、疑ってんじゃねーよ。全く、俺の隣が嫌なのは分かるが、そんな明から様に嫌がってんじゃねーよ、これだから思春期女子は・・・」


彼が言ってはいけない事を言い出し始めたので、私は聞かない様にして、彼の隣の席に座った。

ついでに誤解が無いように、これは言っておいた方が良いだろう。


「別に、私は橘くんの隣は嫌じゃないよ?」

「いや、それは分かってた」

「え?あ、そ、そう。そっか」


って、いやいやいや、おいおいおい。

じゃあさっきの愚痴は何だったんだよ。


「あ、さっきの愚痴は俺の小学生時代のヤツだから、気にしないでいいぞ」


紛らわしいわ!!

っと、危うく大声を出しそうになってしまった、危ない危ない・・・


「紛らわしい事しないでよね」

「へいへい」


うわー、いい加減な返事。

まあいいけど。

・・・あれ?よく考えたら、落ち着いて考えたら、いや、考えるまでもないんだけど。

距離、近くない?

話に夢中で忘れてたけど、私と彼の席って隣同士だよね?!

どうしよ、一旦気にし始めるとそれだけが気になってしまう!!

なにか、何か気を紛らわす何か!!


「黛?おーい、大丈夫か?」

「へ?あ、うん、大丈夫」

「本当か?顔、真っ赤だぞ」

「そ、そんな事無いって」

「いや、すげー赤いんだけど」

「うっ・・・もう!分かったわよ!分かったからそんなに赤い赤い言わないでよ!」

「うわっ、キレんなよ。つか、そんな大声出したら他の教室に聞こえるだろうが」

「あっ、ごめん」


しまった、つい、かっとなってしまった。

落ち着かないと・・・

深呼吸。

吸って~

止めて~

吐いて~

うん、少しは落ち着いたかな。

それにしても、本当に驚いた。

そもそも、たくさんのクラスがあるこの塾で都合良く知り合いと同じクラスになれること事態、珍しい筈なのに。

何かしたのだろうか。

聞いてみよう。


「ねぇ橘くん」

「ん?」

「何かしたの?」

「?」

「この塾では、知り合いと同じクラスになることは、凄く珍しいんだよ?」

「あぁその事か。別に何もしてないぞ?ただ、お前と同じクラスにして欲しいって頼んだだけだ」

「え、それだけ?」

「それだけ」

「えぇ~、それだけで良かったの?!それだったら私もそうしたのに~!」

「クラスメイトか?」

「そう!一緒になりたかったなぁ。ま、終わった事だし良いんだけどね」

「なんだそれ」

「それに、お陰で茶化してくる人もいないしね」

「え、なんの話?」

「ううん、何でもなーい」


彼はボソボソと何かを言っているが、私にとっては気付かれては困るのでそのまま放置しておこう。

それにしても、本当にそんな事ができるとは・・・

まぁ、結果オーライだった訳だけど。

友達と同じクラスだったら彼と二人で話なんて出来なかっただろうし。

あれ、そう言えばミサは塾行ってないんだったよね?

優等生様は塾なんて時間の無駄ってことかな?

って、何で皮肉混じりに言ってるんだろ私・・・

て言うかあの子、成績と運動神経良くて真面目なのに何で毎朝の待ち合わせにはよく遅刻するんだろう。

もしかして朝が弱いのかな?それしかない気もするけど・・・

あー、何か思考がよく分からない方向に・・・

えっと、今は授業開始5分前か。

気付かなかったけどもう結構な割合の生徒が席に座ってるな。

そろそろ授業の準備をしないと。

今回の授業範囲は"方程式2"で、確か分配法則の練習をするんだっけ?

まあ私の場合はもう済んでるんだけど。

予習するのは良いんだけど、その分だけ授業が退屈なんだよねぇ。

フィクションと違って"授業中に先生に当てられて活躍!クラスでは一躍有名人!!人気者!!"とかあり得ないし。

あ、これが小説だという事は忘れてね。

兎に角、予習も良いことばかりじゃないって事だね。

まあ、私はするんだけどね、予習。

予習した後の授業は優越感に浸れるから好きだなぁ。

「ふっふっふ、そこはもう予習済み!最早、私にとっては解説など無用!」

みたいな感じ。

ちょっと大袈裟だけどね。

おっと、そろそろ授業か。

さてさて存分に優越感に浸るとしますか!


・・・なんちゃって。



この後、私は橘と一言も話すこともなく家に帰った。

折角のチャンスを無駄にしてしまった私は、この後めちゃくちゃ後悔した。

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