プロローグ
私には好きな人がいる。
ずっと前から彼の事が好きだった。
小学生6年生の時、私は彼と出会った。
理由は、両親の都合による、転校だった。
ということになっている。
当時よく一人でいることが多かった私に明るく話しかけてきてくれたのが、彼だった。
彼は、他の生徒の様な、興味に駆られたような目をしていなかった。
あのころの彼は格好良くて、キラキラしていた。
眩しかった。
あこがれた。
―――そして、好きになった。
それでも私は彼に近付こうとはしなかった。
見ているだけで、只それだけで嬉しかった。
満たされた。
しかし、そうも言っていられなかったのだ。
彼は虐められていた。
その虐めは小さいことの繰り返しで、仲間外れが関の山だった。
それ故に解りづらく、教師には気付かれなかった。
だから、私がどうにかしよう。
そう思った。
ーーー恋人じゃなくても、恩人になれたら
と。
小学生ながらに、そう思った。
今思い返してみると、随分と恩着せがましい物言いだと思う。
穴があったら入りたい。
もしタイムスリップできたのなら、当時の私に
「おいおいお嬢ちゃん、ちょっと図に乗りすぎじゃないの?」
とか、
「ありがた迷惑って知ってる?」
とか言ってあげたい。
それでもきっと、あのときの私はこう言うだろう。
「誰に、彼にどう思われても構わない。私は、彼を助けられれば、それで良い」
自信に満ちた目で、自信満々で言うだろう。
それほど、あのときの私は真剣だった。
真剣過ぎる程に。
あのときの私は、確かに間違ってはいなかった。
結果を見れば、正解だったと言える。
でも、正解であれば良いと言うものでもないかもしれない。
たまには間違うことも、人生には必要なことだ。
と、私は思っている。
私が何を言いたいのかと言えばつまりはーーー
本当は間違うべきだったのかもしれない。
ーーーと言うことだ。
でもやっぱり、あのときの私は間違わなかった。
正解した。
これから語るのは、私が成功してしまった場合の物語。
誤った関係の構築。
ーーー私が殺めた物語。




