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私(ストーカー)の恋  作者: Tokimine
メインストーリー
11/19

過去

確かに残る、私の記憶。

小学生の黛菖蒲には、大事なものがあった。

彼女はそれのせいで小学生の時に事件を起こした。


当時の彼女が気に入って、いつも持ち歩いていた2体の人形があった。

それは彼女の両親を模して作られたものだった。

今は亡き、両親の。


今から5年前、彼女の家に殺人鬼が入った。

その日は日曜の運動会で、菖蒲は両親よりも先に家を出た。

例年では珍しく、寒い日が続く週の朝だった。


―――運動会、必ず見に行くわね。

―――あやめの活躍、ばっちり取っておくからな

「うん!いってきます!おとーさん、おかーさん」


そんな会話をして、家を出た。

そのとき、15分後に家を出るつもりだった二人は、面倒だと、鍵をかけなかった。


そして、そのすぐ後に殺人鬼はやってきた。

殺人鬼は鍵のかかっていない菖蒲の家に侵入し

真っ先に、リビングにいる二人に襲い掛かった。

父親の必死の抵抗もむなしく、二人は死亡した。



運動会が終わり、辺りは夕焼けで真っ赤に染まっていた。

結局最後まで見に来なかった両親に腹を立てながら家のドアを開けた彼女の目には、信じられないものが映っていた。


うつ伏せになって、血まみれの床に倒れている両親と、二人の間に立っている一人の男性がいた。


殺人鬼は菖蒲に話しかけた。


「最近人を殺してなくってさぁ、君が出てきたこの家が目についたから、君の両親を殺すために上がらせてもらったよ


「綺麗なお家だね、まぁ、君が出て行った後におじさんが汚しちゃったけど


「痛いと思わないように一瞬で殺したから大丈夫だよ


「心配しないでね、おじさんは優しいおじさんだから


さて、そろそろ本題に入ろうかな」


そんなことを言って菖蒲の前に1本の包丁を置いた。


「その包丁でおじさんを殺してくれないかなぁ


「おじさん、警察の人たちに散々追いかけられて疲れたんだよ


「そろそろ休みたいと思っていたんだよ


「だからって自殺じゃあ面白くないし、それに・・・


君にも人を殺すことに魅力を感じて欲しいんだよ!!


さあ、おじさんを殺すんだ!さあ!!早く!!!」


菖蒲の頭は空っぽになっていた。

何も考えられなかった。


親が死んだ。


それは彼女を変貌させるのには十分過ぎるきっかけだった。


「おとーさんと、おかーさんを、よくも・・・よくも・・・」


菖蒲には叫ぶ気力さえなかった。


その代わりに、殺人鬼でも一瞬ひるむほどの殺気を放っていた。


「そ、そう、その目だ、さぁ、私を殺・・・ったい!」


殺人鬼の台詞は、菖蒲の一刺しによって打ち切られた。


「そう、だ、もっとやれ・・・安物の包丁だから切れ味は悪いんだ。

何回も刺さないとおじさんは殺せないぞ!」


菖蒲は無我夢中で刺した。


刺すたびに飛び散る血は気にも留めなかった。


「ははははっはははっはハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハはっハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハははっはははハハハハハはっはハハハハハハハッハハハハハはっははっはははははっはははっはははははっははははっははははっはははっははははははははっははははははっはははははははははっはははあはははははっはっはっ」


刺され続けている殺人鬼は、心臓が止まり、死に至るまで

"一貫して、笑っていた"。


「警察に・・・知らせないと・・・」


ばたん、と、彼女はその場に倒れた。

力尽きたのだ。

運動会の後、何度も人を刺したのだ、体力が残っているはずもなかった。



4日後

運動会以来、1日も学校に来ておらず、親御さんからの連絡もないのはおかしい、何かあったに違いない。

そう考えた菖蒲の担任教師は学校の授業が終わってから、菖蒲の家を訪ねた。


家のドアの前まで進むと、かすかな異臭がした。

不審に思い、担任教師はドアを開けた。

そこには、


うつ伏せになって倒れた男女と、その間に仰向けになって倒れている男。

そして、その先で衰弱した一人の女の子の姿があった。



担任教師はその光景に倒れそうになったが、何とか耐えて、警察に通報した。

すぐに救急車も駆け付けたおかげで、女の子の命は助かった。

しかし、両親は死後4日経っているにも関わらず、ここ最近の冷え込みのせいで遺体の腐敗が遅れていたのが発見が遅くなった理由だそうだ。

警察の調べで、少女の両親の真ん中に仰向けに倒れていた男は、連続殺人事件の指名手配犯と分かった。

そして、その男の近くにあった包丁に、少女の指紋がついていたことは隠蔽されることとなった。


「菖蒲ちゃん、具合はどう?」


女性警察官が少女に質問する。


「おにんぎょうさんがいないと、わたし、げんきでないー」

「お人形さん?」

「そう、おとーさんとおかーさんのおにんぎょうさん、おねーさん、どこかでみてない?」


女性警察官は少し戸惑った顔をしてから答えた。


「ううん、見てないな、お人形さん」

「そっかぁ、ざんねん」


嘘だった。

少女の両親に似せて作られた人形は、少女の家にあった。

殺人鬼の隣に、血まみれになって。






こうして彼女、黛菖蒲は殺された。

殺人鬼に殺された。

そして、生まれ変わった。

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