(閑話)S級冒険者、消息不明
異世界アステリア アルバン王国王城にて
「─── まだ見つからないのか」
重い空気の会議室で国王が呟く。そこには他にも宰相や騎士団長、普段は豪快なギルドマスターまでもが集まりみんな額に手を当てていた。
リック・ハンストン。アステリアにおいて唯一のS級冒険者で“単独で災害級魔物を狩る存在”。その彼が消息不明になったと噂され出した。
最初は噂だと気にしてはいなかったのだが段々現実的になり、騎士団に捜索してもらったが見つからず消息不明となった。
彼がいなくなってからの影響が大きすぎる。
国境の魔物討伐が進まなくなり、高ランクの冒険者も動揺し始めている。他国からは「死んだのか?」という噂まで出始めている。
遺体や痕跡もないから死んだとは思っていないが……というかあの化け物みたいな強さの冒険者が死ぬとも思えない。だからそれに関しては心配はしていないがギルマスは王国からの圧力や他国からの圧力にここ最近は胃がやられそうである。
そして何より─────
冒険者の従魔まで一緒に消えている。
あの国1つ簡単に滅ぼせる神狼が死ぬとも思えない。一緒に姿を消したという線の方が濃厚だろう。
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「俺、あの時助けてもらったお礼まだ出来てないのに……っ!」
冒険者ギルドでもリック・ハンストンが消息不明という噂で持ち切りになり空気が重くなっている中、若手の新人冒険者が呟く。冒険者になりたての頃森で複数のゴブリンに襲われていたところをリックに助けられポーションまで貰ったが返せるお金もなく出世払いでいいぞと優しくしてもらった過去がある。
商人の間ではここ最近の護衛の成功率が落ちた事が噂されていた。リックが護衛失敗などはしないが、リックがいなくなったことにより他の冒険者が動揺して普段しないようなミスがどのチームにもみられ失敗が増えていた。
街中では子供たちが「狼のお兄ちゃん帰ってこないの?」など噂するようになってあっという間に市民まで不安になっていた。
“いなくなって初めてわかるリックという冒険者の大きさ”
「───あの男は、もう戻らないのか…」
活発になりつつある魔族の動きやダンジョンのスタンピードの予兆、悩みの種はたくさんある。
「───帰ってきて、くれるよな?」
そんな不安な中過ごしていく。
だが誰も知らない、そんな中リックとフェンは……
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「わふっ」
「おい、俺の唐揚げを取るな!」
夜ご飯の唐揚げの取り合いをしていた。
唐揚げ専門店で夜ご飯用にたくさん買ってきてフェンにもたくさんあげたはずなのだが、美味しかったのか横からつまみ食いしてくる。
毎日平和でほのぼのした休暇を送っていた。
現代日本でいつまでもこんな日常を送って過ごしたいなと思うリックだった。
「ところで今日のプリンいつもよりうまくないか?」




