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異世界で最強の冒険者は現代グルメに敗北する〜美味い飯に感動していたら最強従魔が太りました〜  作者: 砂糖


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子供のお願い

日本に転移して1週間ちょっと経った頃、


「フェン、そろそろ落ち着いてきたし毎日ご飯食べてるばかりだから依頼でも受けに行くか」


昼前ぐらいの時間、普通の冒険者ならすでに活動してる時間だがリックとフェンはホテルにてアイスを食べていた。


『うむ、身体が鈍ってもよくないしいいのではないか?』


口の周りをアイスでベタベタにしているフェンが言う。日本に来てからの初めての依頼だし早い者勝ちのいい討伐依頼などはすでにこの時間にはないだろう。簡単な街中の依頼を受けてもいいな。


浄化魔法でフェンを綺麗にしてやると準備をして冒険者ギルドに向かった。


ギルド前にフェンを待たせてギルド内に入っていく。ギルド内は食堂や掲示板前にちらほらいるがやはり人数は落ち着いていた。リックがギルドに入ると一瞬“ザワザワ”となったがすぐにいつも通りに戻っていった。


掲示板の依頼に目を通すもこれといったいい依頼はなく、また出直すか…と思ってギルドを出ようとしたが端の方に明らかに子供の字で書かれてる依頼が目に入った。


その依頼内容と報酬を見て、「なるほど、これにしよう」と受付男性のところに依頼書を持って行った。


「こんにちは、ご要件お伺いします」


丁寧に挨拶してくれる受付男性で前の受付嬢とは違い怯えずベテランだなと感じさせる雰囲気だ。持ってきた依頼書を手渡すと、一瞬眉がピクっとなり小声で話しかけてきた。


「─────S級冒険者のリックさんに受けて頂く内容ではないのですがよろしいのでしょうか…?報酬もないに等しいのですが」


依頼書に書かれていた内容は“夜怖い音がする”という依頼かどうかも怪しいようなものだ。その原因を見つけて欲しいということだろう。そして報酬は【私の宝物を1つあげます】と書かれていた、実質タダ働きみたいなものだから他の冒険者は全く受ける気はなく残っていたみたいだ。


「特にやりたい依頼もないし、金に困ってるわけではないからいいんだ。今日は街中の依頼でもいいかなと思っていたところだ」


地図で依頼人の家を教えてもらいフェンと一緒に歩いて向かった。


リックがいなくなったギルド内では、“あんな強そうな人でも街中のしかも報酬のない依頼やるんだな…”とか怖がっていた受付達が“誰もやりたがらない依頼を受けてくれるなんて…!”とリックに対するイメージが変わっていた。


知らないところでリックの格の違いを見せつけ、“得体の知れない冒険者”から“少し優しい冒険者”に変わりつつあるなんてリックは気付くはずもなかった。


「くしゅんっ…!」


『主よ、大丈夫か?』


誰か噂でもしているのだろう。大丈夫だと頷き依頼人の家に到着するのだった。


────────────────────


インターホンを押すと急いで走ってくる足音が聞こえガチャンっと玄関が開くとまだ小さな女の子がこちらに向かってきた。


冒険者ギルドから依頼を受けて来たと説明すると嬉しそうに目を見開き、ありがとう!!っと抱きついてきた。まだ6歳ぐらいか?可愛い女の子だ。


「従魔もいるんだがいいか?」と聞くと、“わあっ大きなワンちゃんだあっ”と喜んでいる。

ハハッ、子供らしくていいな。隣でフェンは“我は狼なのに…あの、災害級とまで呼ばれていた神狼なのに…”と拗ねているが無視だ無視。今日の夜ご飯は好きな物を食べさせてあげようと決めて家の中に案内してもらった。



「じゃあ改めて、依頼を受けたリックだ。こっちは従魔のフェン」


「私は、はるです!依頼受けてくれてありがとう!」


可愛らしい挨拶だが、そういえば両親はどうしたんだ?家に1人気配はあるが…


「両親はどうした?仕事か?」


はるがちょっと暗い顔した。まずい、聞かない方が良かっただろうか。


「お母さんと2人で暮らしてるんだけどね、お母さん階段から足滑らせちゃって今怪我してるの…」


病気とかで寝たきりかと思ったが怪我か…。それならポーションですぐ治るな?後で依頼終わった後にでも挨拶しに行って治してやろう。その方がこの子も嬉しいだろう、母親しかいないなら色々と大変だろうからな。


「依頼が終わった後にでもお母さんのところに連れていってくれ。ポーションを持っているからすぐに怪我を治してやれるぞ」


「お兄ちゃんいいの!?は、はやく依頼終わらせよう!」


さっきまで暗い顔をしてたのに治ると知って嬉しくなったのか嬉しそうな顔をしてる。

さて、依頼を終わらせちゃうかと思った矢先どこかに行っていたフェンが戻ってきた。


『主よ、物置のところに鼠型モンスターが2匹いたから殺しておいたぞ』


そうか、あまりにも弱すぎて気にもしていなかったが一般家庭だと雑魚モンスターでも恐怖になるか。


「フェンが物置にいた弱いモンスターを倒してくれたみたいだ。これで夜に音がすることはなくなると思うが、それでもまだ何か怖い音が聞こえたりしてきたらいつでも言ってくれ」


怖い音だけじゃなくて、なにか困ったことがあればいつでもいいぞと言っておく。


「ええ!?なんか動物かなにかが住み着いてるのかと思ってたけどモンスターだったなんて…」


とりあえずこの家の近くに今はいないから大丈夫だと伝えるもびっくりしすぎたのかちょっと泣きそうになっている。困ったな…


「ほら、お母さん治すんだろ?案内してくれるか」


思い出したのかこっちだよ!と母親が寝てる寝室まで案内してくれた。




「すみません、娘が無茶な依頼をしたみたいで…お渡し出来るほどの報酬もないのですが…」


案内された寝室にて母親の“美穂”です、と挨拶をされ、簡単に依頼された事とそれを受けてモンスターを倒したことを伝える。

母親もモンスターがいた事にびっくりしていたがもういないと知って安心していた。


「大丈夫だ、報酬ならすでに宝物の“綺麗なビー玉”を貰っているからな」


母親は報酬がビー玉と知り申し訳なさそうな顔をしているが、俺がそれでいいんだと説明するとホッとした顔をしていた。


母親自身元気そうではあるが足の他にも何ヶ所か骨折をしていてうまく動いたりできず日常生活に支障をきたしているらしい。


娘も小さいのに身体が動けなかったりしたら大変だろう、骨折程度なら中級ポーションで簡単に治る。インベントリからポーションを出す。


「こっ、これは中級ポーションですよね?いいのですか?お礼にできるほどのお金とかないのですが…」


そうだな…さすがにタダであげるのはまずいか?言いふらしたりするような人には見えないが、どこからかバレて自分にもタダでよこせなんて言う奴がでてくるかもしれない。


うーん、どうしようか…


「それなら美味い飯でも作ってくれないか」


母親は目を見開いて驚いているが俺は美味い飯が食えればそれでいいんだ、金には困ってない。


───後日でもいいと言ったのにポーションを飲んですっかり良くなった母親が夜ご飯食べて言ってくださいと言うので遠慮なくご馳走になっていくことにした。


家庭料理の定番だという肉じゃがも美味かったがそれより───



“みそしる”が美味すぎるだろ……っ


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