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異世界で最強の冒険者は現代グルメに敗北する〜美味い飯に感動していたら最強従魔が太りました〜  作者: 砂糖


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家を買う

はるの家でご馳走になった翌日、リックはホテルのベッドの上でアニメを観ながらゴロゴロしていた。


「この“サブスク”とやらで観れるアニメは最高だな、なんでも異世界転生なんてもんが流行っているらしい」


実際に起こるわけではないがそういう物語として人気ということなのだろう、ここに実際に転移した人間はおるが…。


まあ、それはそれとしてホテル暮らしもいいが落ち着いて過ごせる自分の家というのが欲しくなってきた。異世界にいた時は落ち着いて過ごせる場所なんかなくてずっと宿屋暮らしだったが、ここ日本では自分の家を手に入れてもいいだろう。


そう思いフェンと一緒にどんな家がいいかなど話し合っていく。


『うむ、たまには身体を動かしたいからダンジョンの近くなどの一軒家などはどうだ?』


ここ横浜にもダンジョンがありその近くの一軒家か…悪くないな。

都会は物件も高いが、ダンジョン近くというのはモンスターの氾濫が起きたりする可能性があるので一軒家でもそこまで高くはない。


俺とフェンならなにかあれば対応可能だし、ダンジョンで狩ったモンスターを庭で解体して自分で料理に挑戦してみるのもいいかもしれないな。


異世界での料理技術が低かっただけでモンスターの食材でも日本の技術があればどれも美味しいことがわかったのだ、それなら積極的にダンジョンに入り食材を取ってくるのもいいだろう。


「それもそうだな、不動産屋に行っていい条件のところがあるか次第だがそうしよう」



────────────────────


それから2週間程して新しく我が家になる家に引っ越してきた。


不動産屋に行ってから引っ越すまでが随分早いと思うが一括で料金を支払ったからなのかリックのS級冒険者としての圧がそうさせたのかはわからないが内見から清掃、手続き全てスムーズに終わりあっという間に受け渡しまで終わってしまった。


『うむ、いい所ではないか』


そうだな、中古の一軒家の割には綺麗で1階にはリビングにキッチン広めのお風呂にトイレ、それにもう1部屋ある。2階にもトイレと他にも3部屋という造りだが1人と1匹には十分だろう。


『この庭が気に入ったぞ!』


そうなのだ、ここには広めの庭があり元々庭付きで探してたとはいえここまで広いとは思っていなかったのだ。大きいフェンでもある程度走れるぐらいの広さがあり、それを見たフェンがここにするぞと即決してしまった。



「ふぅ、我が家っていうのはいいな。ホテルも良かったがやはり自分の家ってだけで心にくるものがある」


リビングに置いた大きなテレビでアニメを見てもいいし、あっ、漫画を集めてもいいな。

異世界にも本はあったが高すぎて庶民では買えないし、買うとしても貴族ぐらいだろう。

それに比べてこの漫画というのは絵がついていてとてもわかりやすいし面白い、手頃に買えるのもあってリックはすっかり漫画にもハマっていた。




────────────────────


「ご飯だぞ、フェン」


呼ぶと窓際が暖かいのかすっかりそこが定位置になっていたフェンが起き上がりこちらにやってきた。


テーブルに置かれた湯気立つ蕎麦。

琥珀色のつゆの香りに、フェンの鼻がぴくりと動いた。


「今日は引っ越し蕎麦ってやつだ」


本来なら“細く長くお付き合いよろしくお願いします“という意味をこめて近所に配るらしいが、ダンジョンの近くに住んでいる人なんかおらず意味がなかった。それならば自分達で食べてしまおうと用意したのである。


リックがそう言って箸を割ると、向かいに座っていたフェンはじっと丼を見つめる。


『──細い草のようなものを食べるのか?』


「蕎麦な。ちゃんと美味いぞ」


半信半疑のまま差し出された海老天を1口。


――サクッ。


その瞬間、瞳が見開かれた。


『なっ……!?』


衣が砕ける音。

続いて広がる海老の甘みと熱いつゆの旨味。


フェンは硬直したまま数秒止まり、次の瞬間には物凄い勢いで尻尾を床に叩きつけ始めた。


『もう1つだ!!』

『いや待て、蕎麦も吸うと美味いぞ!?』

『なんだこの汁は!! 無限に飲めるぞ!!』


「落ち着け落ち着け、誰も取らねえから」


そう言いながらリックが追加の海老天を乗せてやると、フェンは真剣な顔で丼を抱え込む。


『─────この家、最高ではないか?』


ハハッ、そうだな。蕎麦が美味すぎて何故か急に家を褒めだしたフェンだがそんなところも可愛らしい。


そうして引越し初日の夜は過ぎていった…。






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