初めての温泉旅行
SS級になったからといって俺たちの日常は特に変わらない。
暇であればダンジョンや旅行に行き、食材を狩り美味い飯を食う。ただそれだけだ。
だが、ギルドカードに踏破記録が残ると聞いていつかは全踏破しようと目標が出来た。
日本だけじゃなく各国のダンジョンも……
まあ人生は長いんだ、ゆっくりでいいだろう。
「ということでみんなで温泉旅行に行こうと思う」
『──どういうことかはわからなかったが温泉はいいな、我もテレビで温泉巡りを見てから行ってみたかったのだ!』
「大きいお風呂なのです!」
今回は温泉街で有名なところを予約して行こうと思う。俺一人なら大浴場でもいいんだが、どうせならみんなで入れるところを探したい、だから従魔もOKな客室露天風呂付きの宿に泊まろうと思う。
こういうのは泊まりだからこそいいんだ、わざわざ転移で家に帰るなんてことはしない。
──今から楽しみになってきたな。
────────────────────
『うむ、温泉街というのはいいものだな!』
「スイーツもたくさんなのです!」
俺たちは今回岐阜県の宿に予約していて、チェックインの時間まで温泉街で美味いもの巡りをしていた。
『我はこの肉が食べたい!』
「でも夜も宿で飛騨牛が出るぞ?」
『ひだぎゅー』
じゅるり、と以前お取り寄せで食べた飛騨牛を思い出したのだろう。
『それならば仕方ない、我慢しようではないか』
「それならあのお店に行きたいのです!」
メリルが行きたいスイーツ店に何軒か行ったあと、俺たちは今日泊まる宿にチェックインをした。
あらかじめ他の従魔や客たちに怖がらせない方がいいだろうということでフェンには少しだけサイズを小さくしてもらった。
風呂に入る時もその方が狭くなくていいだろうしな。
『む!初めてこの世界に来た時のホテルとやらとはまた違っていい宿ではないか!』
「はわぁ、素敵なのです!」
やはり日本の宿は異世界の宿とは違って綺麗で清掃もきちんと行き届いていて素晴らしいものだ。
ホテルではベッドだったが、今回予約したのは和室。だから畳に布団を敷いて寝るというのは初めての体験だ。
──この歳になってもまだまだ初めてがあるっていうのは嬉しいのだな。
『主よ早く露天風呂というのに行きたいぞ!』
「先に綺麗にブラッシングしてからね」
『うむ、久しぶりのブラッシングだ!我はあまり毛が抜けないが一応家ではないのでな、湯に毛があれば宿の掃除が大変だろう』
「わかってくれてなにより」
そしてブラッシングを終えた俺たちは露天風呂に向かったのだった。
「ああぁ、気持ちよすぎるなこれは」
俺たちはまず先に頭や身体を洗い湯船に浸かった。従魔もOKと言うだけあってここにも専用のボディソープなどがあり、湯船もフェンが大きくなっても大丈夫そうなぐらい広かった。
『身体は温かいのに顔は風が吹いて気持ち良いぞ!』
「ぽかぽかなのです〜!」
メリルは少しのぼせたのか縁に座り脚をブラブラさせている。
『これは温泉巡りをするのも悪くないな』
それもいいな……やりたいことがまた増えてしまったみたいだ。
魔王のことなど今だけは一旦忘れてこの温泉旅行を楽しむのが良さそうだ。
「わぁ、たくさんのお料理なのです!」
『うむ、これは素晴らしい!』
俺たちは夜ご飯の懐石料理を食べていた。
たくさんの種類があるが少量ずつなのでメリルでも食べきれそうで喜んでいる。
フェンは後からまたお腹空くかもな、と思いながらも今は満足してそうなのでこれでいい。
「これは……なんていう料理かはわからないが美味いことだけはわかる」
正直、見てもわからなかったが食べてもなんていう料理かわからなかった。こういうのは再現しようなんて思わずまた食べに来る方が良さそうだな。
『む、これはもっと食べたいのにすぐなくなってしまったぞ』
「そういうもんだ」
今回岐阜にした理由でもある飛騨牛。
飛騨牛のしゃぶしゃぶを食べたのだが、やっぱり美味い。お取り寄せも手軽に注文出来て美味くはあるのだが、どうしても本場で食べてしまうとな……
帰りに飛騨牛買って帰るべきだろうか。
「ふぅ、お腹いっぱいでもう食べられないのです!」
『うむ、食った食った』
すっかり満足し、だらけているフェンとメリル。俺はそうだな……
「なあ、やっぱりせっかくだし大浴場行ってきてもいいか?」
『うむ、ここは我らに任せよ』
「私も勝手に露天風呂入るので気にしなくていいのです!」
なんかフェンとメリルを置いて1人で楽しむのはどうなのかなと思って大浴場じゃなくみんなで露天風呂にしたのだが、どうやら別に気にしないらしい。しかも俺がいなくても勝手に露天風呂に入るときた、これは俺も遠慮なく大浴場を堪能させてもらおう。




