蒼天の剣
『なにかあったのか主よ』
「ああ、ちょっとな…」
一夜明けて俺はフェンとメリルに夢で再会した爺さんの話を伝えた。
『ふむ、魔王か…我と主であれば負けることはないと思うが助けに行くのか?』
「どうだろうな。まだ時間はあるって言ってたから今すぐは行かないな」
今までの鬱憤を晴らすぐらいしてもいいよな?俺は今までずっと手助けしてきたんだ、これぐらいバチは当たらないだろう。
少しは俺のありがたみをわかってくれ。
そしてあわよくば、俺を縛り付けずに自由にさせてくれ、そしたら100年後ぐらいになら戻るから。
「まあこんな時は美味い飯でも食うに限る」
『うむ、それがいい!』
「そうなのです!」
朝食は、ザ和風という感じにしてみた。
ケルプサーペントの西京焼きにパールキングクラブの身入りだし巻き玉子、出汁茶漬けに味噌汁といった健康的な朝食だ。
朝はこういうのでいい、胃に優しくなんかほっこりする味だ。
「さて、これから何するか……」
『うむ、負けることはないと思うが一応魔王に備えてダンジョンで鍛えるか?』
そうだよな……あんな話を聞いてしまったら呑気に旅行行くか!とはならないよな。
そうするとどこのダンジョンにするか、一応鍛えるためだからグルメダンジョンや水中ダンジョンは却下だとして、すでに攻略済の浅草ダンジョンの最下層でもいいが火竜ばっかり増えても解体が面倒だし。
「やっぱり俺たち鍛える必要ある?火竜を一撃だよ?」
『魔王はどのぐらい強いのだ?魔族は雑魚だったが』
魔族が大したことないなら魔王も大したことなくないか?
「よし、鍛錬はやめだ。結局いつも通りにするのが1番いいってことに気が付いた」
「それが1番なのです!」
『では横浜ダンジョンをそろそろ攻略進めるか?』
「ああ、そうしよう。10階層ボス倒してから先に行ってなかったしこの機会に踏破を目指してもいいな。久しぶりにギルドの依頼を受けて潜ってみるか」
「私は戦えないので空間の中でお留守番しててもいいです?」
「いいぞ、飯を食う時は呼ぶから一緒に食おうな」
「はいなのです!」
そうして俺たちは朝食を食べ終わったあと横浜支部へ向かった。
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この20階層のボス、エルダートレントの素材依頼でいいか。Bランクでギリギリ倒せるか倒せないかの相手でパーティー推奨の相手だが俺には関係ないことだ。
俺たちはまだ10階層止まりだが、1日で行って帰って来られるだろう。
「おいおい、見ない顔の新人のくせにこいつBランク依頼受けようとしてるぞ!」
「本当だわ、自分のランクも知らないんじゃないかしら?」
「仕方ねえな、おいお前!俺たちが戦い方を見せてやるから着いてこいよ、荷物持ちとしてなら使ってやるからよ!」
後ろが騒がしいが何かあったのだろうか?
「おい!無視してんじゃねえよ、お前だよ!日本語わからねえのか!」
「──もしかしてだけど俺に言ってんのか 」
どうやらこの男2人に女1人のパーティーは俺に話しかけていたらしい。
「あっ、あなた方!その方は……」
「おいおい、あいつらやばくねえか」
「終わったな……」
「どこをどうみたら新人に見えるんだよ…」
受付や俺のことを知っている冒険者は顔が青ざめているが、目の前にいるこいつらはずっとニヤニヤしている。いまだに自分たちの状況がわかっていないのだろう。
どこにでもいる生意気な子供だ。相手は子供、相手は子供と頭の中で唱えそいつらを無視してサブマスがいる受付まで向かった。
「おい!サブマスに頼んだって無理なもんは無理なのわかんねえのかよ!」
後ろでギャーギャー笑っているが久しぶりだな、こういうやつは。イライラしてきた。
「リックさんすみません、後で蒼天の剣には注意しておきます」
「──パーティー名だけはかっこいいんだな」
思わず笑ってしまったのは許してほしい。
「彼らは確かにルーキーの中では頭1つ飛び抜けていて実力はあるので、ここ最近ずっとあんな感じでして。それでもまだCランクなんですけどね」
じゃあエルダートレントのところまで行けないじゃないか、何が戦い方を見せてやるだ。
「実力に過信して相手の力量もわからないのにこうやって絡んでいるのか、簡単に死なせたくないならきちんと指導しといたほうがいいぞ」
俺たちはまだギャーギャーうるさい奴らを無視して横浜ダンジョンへ向かった。
その頃冒険者ギルドでは……
「おい!お前たちのせいで関係ない俺の方が寿命縮まったじゃねえか!」
「わかる、わかるよ。俺も誰にでも絡みつく俺かっけー!って思ってた時期がある。だけど、さすがに相手を選べ!」
「なんでよりにもよって1番絡んではいけない相手に絡みにいくんだ!」
「どこをどうみたら新人に見えたんだ!お前たちは竜を見てもゴブリン程度にしか見えないのか?それならさっさと冒険者をやめてしまえ!」
蒼天の剣は他の冒険者たちにこっぴどく説教をされていた。最初はなにを大袈裟なと思っていたメンバーたちだが、リックのこれまでの功績を聞いて次第に青ざめていき自分たちが誰に喧嘩を売ったのか理解したのだった。
「私がキツく言う必要はなさそうですね」
サブマスは苦笑いするだけだった。




