(閑話)再会した爺さん
俺はいつも通り眠りについたんだが、この感じは2度目だ。夢の中なのかよくわからない空間に俺を日本に転移させてくれた爺さんが立っていた。
「久しぶり、でいいのか?」
「元気しておったかの」
「ああ、おかげさまで元気に楽しくやらせてもらってるよ。飯も美味いしな」
「それはよかった。日本で馴染めてるのか気になったのでな、顔を見に来たのだよ。」
急に現れたからまた転移でもしなきゃ行けないのかと焦ったが、どうやらそうではなかったらしい。俺の思い過ごしだったみたいだ。
「地球はわしの世界じゃないからお主のことをたまにしか観察できておらんのだよ。だから世間話でもしようかとな」
「そうですね、新しく花妖精を従魔にしたのと、海龍蛇の友人が出来ました」
「ふむ、海龍蛇と友人とはまた変わっておるのぅ。それだけでこちらの世界アステリアでは脅威じゃろうて」
確かに異世界で海龍蛇と友人になっていたらまた人間兵器だの1人軍隊だの言われ、海龍蛇も狙われていたかもな。日本でよかった。
「俺は今のところアステリアに帰りたい気持ちはないですよ、まだ日本を堪能しきれてませんし飯が美味いのでずっとこちらでもいいぐらいです」
「だがお主は転移が使えるのだからいつでも行き来しても良いのだぞ?」
ちょっと待て。確かに俺は1度行ったところは転移が使えるが、世界が違くても可能だと言うのか……?
「なんじゃ、知らなかったのか」
そりゃあ、知るわけないだろ。今まで違う世界に行ったこともないし、それに日本が良すぎてアステリアに戻るのを試そうと思ったこともないしな。
だが、休暇と言ってこちらの世界に送ってくれた爺さんがなんでアステリアと行き来しても良いなんて言うんだ?来て欲しい理由でもあるのか…?
「うむ、そうなのだ」
俺の心を読んだのか、爺さんは先程までとは変わって真剣な顔になった。
「お主が居なくなって、アステリアではお主が死んだのではないかと噂されるようになってな。それによって人間たちの士気は下がり、魔族の動きが活発になっておる。それだけならまだいいが、魔王復活を企む集団まで出てきおった」
魔王なんていたのか…?
「お主が知らんのも無理はない。最後に魔王が討伐されたのは1000年ほど前だからの。今すぐどうこうという話ではないんだ、ただ今までお主が辺境で魔物や魔族を狩ったり、ダンジョンでスタンピードにならないように魔物を狩っていたおかげで魔族への抑制が出来ていたのだが、そうじゃなくなる時が来るという話だ」
難しい話だよな…俺は確かに強い。だから今まで戦争やスタンピードでも活躍してきたし、それによって他国や自国からも恐れられ狙われてきたが、別にアステリアが無くなればいいとは思っていないんだ。
一部の上層部や王族が面倒で嫌いなだけで、いい人たちは何人かはいたんだ。
その人たちまで見捨てるというのは、どうしたもんか…
だがここで俺がまた手を貸せば困った時には必ず助けてもらえると勘違いする輩が出てくるだろう、それが面倒なのだ。
もう長居する気もない国のために戦う…ああ考えても考えても無限ループだ。
「お主の弟子ならどうだ?」
「ふざけるなよ爺さん。魔王や魔族なんてあいつには知らなくていい世界だ、俺たちの面倒事にあいつを巻き込むな」
「そうか…すまない」
わざわざ死にに行かせるような事を俺がするわけないだろうが。あいつは目をキラキラ輝かせて毎日を楽しんでいるんだ、そんな毎日を取り上げるような事はしない。
「まあ、今すぐという話ではない。だから少し考えてみてくれ、魔王が誕生したらお主の力が必要となるかもしれん」
「ああ、わかったよ。気が向いたらアステリアの様子を1度見に行くよ…多分な」
話し合いが終わると俺は夢から目が覚めた。
──これがフラグ回収というやつなのか。




