カニクリームコロッケとロブスターのビスク
ふんふんふーん♪
俺は今キッチンに立ちながら呑気に鼻歌を歌っていた。
沖縄から帰宅し友人となった海龍蛇からもらったサンゴクラブと琉海ロブスターを使って美味い飯を作ろうと思っているからだ。
──海龍蛇を食べられなかったのは残念だがさすがにこればっかりは仕方ない。友人を食べるのはさすがの俺でも嫌だ。
「さて、何を作ろうか」
これだな、サンゴクラブのカニクリームコロッケと琉海ロブスターのビスクにしよう。
そういえば真羽も呼んでやるか、最近忙しくて構ってやれてないからな。
俺は電話してたまたま休みだった真羽を家まで連れてきた。
「師匠!最近ずっと忙しくて全然指導してくれないじゃないですか!」
「だから悪いと思って飯誘っただろ。今から作るから庭でフェンに相手してもらえ」
『仕方あるまい、遊んでやろう』
「フェン様よろしくお願いします!」
これで犬2匹は外に行ったから俺は集中して作れるな。
「私の畑の果物も無事育ってきたのです!」
そうなのだ、メリルが育てているダンジョン産の果物やキノコなどは無事に成長していて、祝福までかかっているからメリルは最近それを収穫して食べるのが楽しみらしい。
ダンジョン産とはいえ、ダンジョンではないから取ってもすぐリポップしないのが悩みなんだとか……それができたら1家に1台メリルが欲しくなるな。
よしまずはビスクからだ。
ロブスターを半分に割り身は後で使うので避けておいて、バターを溶かした鍋で殻を強火で焼く。
──殻から香ばしい香りがしていい匂いがする。
ここに涙玉オニオン、人参、セロリを加え甘い香りがするまでじっくり炒める。
トマトペーストと白ワインを入れアルコールを飛ばし、水を入れて40分程煮込む。
煮込んでいる間にカニクリームコロッケを作っていこう。
まず大きな寸胴でカニを茹でて身をほぐし、みじん切りにした玉ねぎをバターを引いたフライパンで炒めていく。
玉ねぎが透明になってきたら小麦粉を入れ焦がさないように混ぜる。そこにとろみが付くぐらいまで少しずつ牛乳を加えてよく混ぜ、塩胡椒とコンソメで味を整えておく。
ここにほぐしたカニの身を加えバッドに入れ冷やしておく。氷魔法で冷やしてもいいんだが、ビスクの続きをしてしまいたいから今日は冷蔵庫にお願いしよう。
40分程煮込んだビスクはミキサーを使って殻ごと潰すのだが、お決まりの重力魔法で時短だ。俺の重力魔法は料理のためといっても過言ではなくなってきたな……
潰せたら濾して生クリームと塩胡椒、ロブスターの身を加えて完成だ。
「っ……師匠めっちゃいい匂いするんですけど!」
フェンとの遊びが終わったのかキッチンのすぐ側で犬2匹が目を輝かせて待っている。
「もう少し待て」
冷やしておいたバッドを取り出し俵型に成形して小麦粉、卵、パン粉の順に衣付けをしていく。
170度の油できつね色になるまで揚げれば完成だ。皿に付け合せの野菜とカニクリームコロッケを盛り付けテーブルに運んでいく。
「ワンコ、米とビスク運ぶの手伝ってくれ」
「はい!」
待ってましたと言わんばかりの勢いでやってきた真羽と残りも運びみんなで食べていく。
──サクッ
「師匠……これは反則ですよ。店出せますよ」
『店を出す気はあるのか!?』
「ないよ、俺たちだけで食えばそれでいいだろ」
『それもそうだ、他の奴らにあげる分はない!』
自分で作る特権としてカニの身をたっぷりこれでもかっていうぐらい入れたのが最高だな。これはどの店でも味わえないだろう。
「このビスク美味しいのです!」
メリルはカニクリームコロッケよりビスクが気に入ったみたいだ、一生懸命チビチビと飲んでいる姿が可愛らしい。
「師匠おかわりありますか!?」
『む、我が先におかわりするのだぞ!』
「2人とも食べ終わってから言え」
全く。まだどっちも残ってるのにおかわりを心配するなんて。
ビスクは作り置きのサンドイッチといつでも飲めると思って多めに作ったんだけど余るよね?え、余るよね……?
「そういえばワンコは今どこまでダンジョン潜っているんだ?」
「えっと、ボスのミノタウロスを倒してから全然進んでないんですけど13階層までですね。俺ソロなんでなんかあってからじゃ遅いから余裕を持って10階層から13階層ぐらいを安定して狩れるようにしてます!」
『うむ、それでいい。焦って先走って死ぬより堅実な方が後々強くなる』
「そうだな、パーティーを組んだらそうはならないんだろうけどソロならそれでいい」
すっかり真羽は横浜支部で活動するようになったが浅草には戻らなくていいのだろうか?
まあ、冒険者なんだから行きたい時に行くだろう。
こうして久しぶりの弟子とのご飯だったのだが、鍋を見るとすっかり空になっていた。




