フォレストベア肉のハンバーグ
ダンジョンから出て帰宅しようとしてスマホに連絡がきていたことに気が付いた。
「冬弥すまない、電話ならすぐ気付くんだがメッセージだと気付かなくてな」
「こちらこそ急に連絡してごめん。ちょっとした面倒事になるかもしれなくてね」
冬弥たちAランクパーティーで面倒事ということはよっぽどだな。またどこかのダンジョンでなんかあったのか?
「僕たちのミスなんだけど、ギルドの酒場でリックさんの作る飯が美味いし俺たちより強いし、改めて凄いよなって話してたらそれを聞いた新人冒険者が弟子にしてもらいたいって騒ぎ出してね。僕たちも最初は無視してたんだけど、居場所を教えてくれるまで諦めません!ってダンジョンや街中でもずっと着いてくるようになって、正直どうしようかと」
こういうやる気が溢れてる若者は今までにも多くいた。異世界では弟子を取ると圧倒的に俺のせいで狙われるようになるか、殺されるか、良くていいように使われて監禁か…?
だから、弟子を取らないできたが、ここでなら弟子とまではいかなくてもやる気次第で教えるぐらいはしてもいいかもしれない。
そのうち冒険者学校に行って未来の優秀な冒険者たちに教えるのもいいかもしれないな。
「その新人冒険者にこちらに来れるなら居場所を伝えておいてくれ、日時はそうだな…明後日とかでどうだ?」
「ああ、ありがとう。毎日俺たちに付きまとってくるぐらいだからいつでも大丈夫だと思うよ。明後日の午前中に横浜支部に行くように伝えておく」
そう言って通話は切れた。教えることは大変だし少し面倒な気もするが若者が成長するのを見るのは好きだ。特に頑張っているやつは応援したくなる。
「そんなことより今は飯だ。帰って熊肉を食うんだ」
『うむ、待ちくたびれたぞ!』
わかったって、帰って急いで作るよ。
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「さて、この熊肉だが…ハンバーグにしよう」
帰ってきて庭で解体を済ませた後、キッチンにてフォレストベアの肉をミンチにしていた。
「思ったよりも臭くないし、癖も少なそうだ」
スマホで熊肉を調べた時は癖が強くてレシピもあまりなさそうな感じだったが、ダンジョン産の熊だからなのか普通に食べられそうである。牛肉と鹿肉の間ぐらいってところか?
「まあいい、腹を空かせて待ってるやつがいるから早く作ってしまおう」
まず涙玉オニオンをみじん切りにしてフライパンで飴色になるまで炒めて冷ましておく。
ボウルに熊肉のミンチと炒めた玉ねぎ、卵に塩胡椒、パン粉に牛乳、ナツメグを入れ粘りが出るまでよく混ぜる。
手にオイルを付け空気を抜きながら成形し、真ん中を少しくぼませる。
フライパンにオイルを引き、中火で片面3〜4分焼き、焼き色が付いたら裏返し蓋をして弱火で5〜7分焼く。爪楊枝を刺して透明な肉汁が出れば焼けている証拠だ。
一旦ハンバーグをフライパンから取り出し、ソースを作る。今回はキノコソースにするが、チェダーチーズや目玉焼きをトッピングしても美味そうだ。
今回使うキノコは5階層や6階層で取ったキノコをミックスして使おう。
フライパンに、バターを入れキノコを炒める。そこに、酒と醤油を入れ軽く煮詰める。
熊肉の肉汁と合わさって旨味たっぷりだ。
「よし、できたぞ」
皿にハンバーグを盛り付ける。付け合せにマッシュポテトや野菜などがあればいいのだが、今日は用意してないからシンプルにレタスと蒸したルミナスブロッコリーだけだ。
──赤が足りないけど仕方ない。
白米もよそい、テーブルに並べていく。
『美味そうだ!早く食うぞ!』
ナイフを入れた瞬間、フォレストベアの肉汁がじゅわりと溢れ出した。
キノコの香りをまとった湯気が立ち昇り、口に頬張れば濃厚な肉の旨味と森の香りが口いっぱいに広がった。
「──熊肉、うめ。」
全然臭みも癖もない、めちゃくちゃ美味い。
これなら他のレシピも挑戦してみてもいいな。
『おかわりはあるのか!?』
──4個もあったのにもう全部食べたの…?
よかった、いっぱい作っておいて。全部なくなりそうだが…
『あと2個にしておこう、デザートが食えなくなるからな!』
デザートまで食うつもりかこいつ。太ってきたから控えるんじゃなかったか?
まあ、でも美味そうに食ってくれると俺も嬉しくてついついあげちゃうんだよな。
ちなみにメリルはハンバーグよりダンジョンで取ってきた妖精蜜の方がいいらしく、帰ってきてそうそうスプーンで美味そうに蜜を食べて畑に戻ってしまった。
「明日は休みにするからまたデザートも作り置きして、のんびり休もう」
『うむ、明日ブラッシングしてくれないか』
そうだな、明日風呂に入った後、毛並みを綺麗にしてやろう。だから今日は早めに休もう。




