6階層へ行く
「これはまたすごいな…」
6階層に降りてきたがさっきまでとは変わり、巨大樹の森だった。
鳥の鳴き声が聴こえてきたり、木々に止まっているリス型モンスターなどが多く目につく。木の実や木の樹液が多く資源が豊富だからだろう。だが、木の実や木の樹液を好んで食べるのは他にもいる、例えばそう…こいつだ。
『フォレストベアだな、熊は美味いのか?』
体長3メートルぐらいの熊を見ても食うことしか考えていない俺たちだが、熊は美味いのだろうか?少し癖がありそうな気もするが…
「熊鍋とかか?帰ったら調べてみよう。美味くなさそうだったら買取に出してもいいし」
『む、美味いのが食いたいぞ』
「それなら木の樹液の方が美味いんじゃないか?鑑定結果ではメープルシロップって出たぞ。これもパンケーキにかけてみるといい」
フラワービーの蜜とメープルシロップ交互に使えば飽きもしないだろう。
呑気に会話しながらもリックはフォレストベアに油断はしていなかった。身体の周りに炎など纏っていない熊などリックの足元にも及ばないのだ、一瞬で近付き剣で一撃で首を切り落としたのだった。
「5階層にもキノコがあったがここにもあるんだな」
5階層には珍しいキノコが多かった気がするが、ここにはどちらかというと見慣れたキノコが多い気がする。巨大な椎茸や舞茸に少しだけ松茸もあるように見える。
「肉厚な椎茸が美味そうだ…」
じゅるり。ああ、焼いてバター醤油でもいいかもしれないし肉詰めにしても美味そうだ。
これは取っていこう。
『またキノコを取るのか?』
「これバター醤油で食いたくないか?」
『少しだけここを離れる、あるだけ取ってくる』
とうもろこしの時からバター醤油の虜になっているフェンはきっとこの椎茸をバター醤油で食べる想像をしたのだろう。シッポを激しく揺らしながらキノコを探しに行ってしまった。
「っ……、さっきのフォレストベアは子供だったってことか」
ものすごい殺気がして振り返ってみると、先程のフォレストベアより2回りほど大きな個体がそこにいた。元々フォレストベアは縄張り意識が高く、子育て中は特に危険なモンスターだ。子供がやられたことを知って激怒しているといったところだろう。
「すまない、きちんと美味しく食べることを誓おう」
そうして親の個体も一撃で倒してインベントリにしまった頃に、何故か背中にたくさんのキノコを乗せたフェンが戻ってきた。
『群生地を見つけたのでな、持ちきれないかと思ったぞ!』
全部取る必要はなかったんじゃないか?とは口が裂けても言えなかった、全部肉厚で俺も見つけたら全部取りそうだからな。似た者同士というやつだ。
『それとあっちの方角にウッドウルフがいるぞ、前に食ったブルーウルフも美味かったからこれも美味いのではないか?』
──うちの狼は本当にドライな性格だ。狼なのに狼を食うことを推奨してくるなんて。
まあいい、倒しに行くか。
「フォレストベアとの縄張り争いに負けたのかな…」
ダンジョンの端の方で群れで固まっていた。中には数匹、怪我をしている個体もいるようでこちらを威嚇しながら警戒している。
だが、フェンを見て本能的に敵わないとわかっているような様子だ。
『来世ではもっと強い狼になれるように祈ろう』
そう言いながら倒していくフェンだが、神狼に祈られたら本当に転生して強くなってそうだなと苦笑いするしかなかった。
「ん……?フェン、宝箱があるぞ!」
『なに?あやつら最後にいい仕事をするではないか。我らに宝箱のありかを教えてくれるなど』
たまたまだろうがそういうことにしておこう。それより宝箱の中身の方が気になるからな、罠もないし開けよう。
『これはキノコか……?』
どうやら世界樹トリュフというらしい。これ単体で食べるものではなく料理の上にトッピングしたりして使うものなのか、数も少ないし大事に食べよう。
「次にこれは、木の実…ではなく森精アーモンドというのか。バターの匂いが凄いな、うん。美味い!」
『これは、デザートとやらに良いのではないか!?』
焼き菓子なんかにいいだろう、休みの日に作ってみよう。木々の上からのリスたちによる熱い視線は気付かないふりをしておこう。
「さて、今日はそろそろ帰るか……ん?森林鶏か、あいつを狩って巣から卵を貰ってから帰宅になりそうだ」
『うむ、そうしよう!帰ったら飯だ!』
そうして俺たちは森林鶏を倒し帰宅したのだった。




