(閑話)フェンの気持ち
我は神狼のフェンだ。
長いこと生きてきて国を滅ぼしたのも1つや2つではない。そんな退屈な毎日を送っていた時、主と出会った。
人間にしては強く、我と対等な関係になれる奴なんて初めて見たんだ。
そして一緒に行動するうちに従魔契約をしないかと言ってきた。
──人間はすぐ死ぬ。
だから断ろうとしたら不老だからよっぽどの事がない限り死なないしずっと一緒だと言ってくれた。それなら寂しくない!我はすぐ契約したのだった。
久しぶりに呼ばれて外に出てみると全く知らない景色で世界が違うのだと主に教えて貰った。主は謝っていたが、そんなのは気にしないずっと一緒だと約束したのだからな。
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だが最近思うことがある。
──この世界は危険だ。
まず寝具がおかしい。身体が沈むし温かくて柔らかい。起きる気力すら奪ってくる。
あれは罠だ。
そして冷蔵庫とかいう箱も意味がわからない。いつみても冷えている。野菜なども腐りにくくなり、我の大好物のアイスも常に冷えている。
この世界の人間は氷魔法の使い手なのだろうか…
スーパーというのも我は入ったことないが凄い建物らしい。主がいつも嬉しそうに話してくるのだ。毎日新鮮な食材が並び、肉なども狩りなどではなく食べるために育てているらしい。
──意味がわからないが素晴らしい文化だ。
我の大好物もそのスーパーで買えるらしいからな。お風呂上がりのコーヒー牛乳も捨てがたいが最近は“ポテチ”と“コーラ”というものにハマっておる。
少しだけつまみ食いをしようと棚から勝手にポテチを取り出し食べるのだが気付いたら全部なくなっておるのだ!…きっと精霊でもつまみ食いしてるのだろう。そうでなきゃすぐなくなるわけがないからな。
そしてコーラという飲み物だ。最初は主が泥でも飲んでおかしくなってしまったのかと思ったがどうやら炭酸というやつらしい。
シュワシュワしてて最初はびっくりしたが、慣れるとこれも癖になる。
───そして何より1番危険なのは主だ。
主は強い、それはわかっておる。だが最近は別の意味で恐ろしい。
毎日毎日、美味い飯を出してくるのだ。
すき焼きなんてものは危険すぎる。海老天やシチュー、から揚げなんかも美味い。
毎日のように好きな物ランキングが変わってしまうではないか!
そんな主だが時々どこか遠くを見つめる。
異世界での戦場を思い出しているのかもしれない。だがそんな主だが異世界にいた時よりもここに来てからの方がよっぽど穏やかでいい顔をして笑うようになったのだ!
───だから我はずっとこの家で主と一緒に暮らすのだ。




