表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たなる世界へ  作者: パルス
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
74/87

第2部 第23話「凍結と回収」

第2部 第23話「凍結と回収」


ネブラ内部の一角、つい先ほどまで激しい殲滅が行われていた場所は、今は不自然なほど静まり返っていた。水で満たされた地面はまだ湿り気を残し、焼けた痕と抉れた土が、戦闘の激しさを物語っている。


リックは再構成中のゴーレムを背に、短く指示を出す。


「周囲確認」


小型ゴーレムが散開し、一定距離まで一斉に広がっていく。その動きは機械的でありながらも、どこか生き物のように滑らかで、隙がない。


エレノアが感覚を共有しながら報告する。


「大規模な接近反応はありません。この層は一時的に制圧状態にあります」


ルナがぼそりと呟く。


「……薄い」


セレスティアがゆっくりと周囲を見渡し、流れを確かめるように言う。


「さっきの一撃で流れは切れてるね。この範囲なら、しばらくは崩れない」


完全な休息ではないが、少なくとも今は押し寄せてくる圧はない。


その静けさの中で、エレノアの視線が一点に止まった。


「……痕跡を確認しました」


リリアが反応する。


「痕跡?」


エレノアが地面を指し示す。


そこには、はっきりとした“足跡”が残っていた。


リリアがしゃがみ込んで確認する。


「これ……人の足に見えるけど」


ルナが短く言う。


「……人型」


二足歩行の形状、一定の歩幅、迷いのない進行方向。


明らかに“歩いている”。


エレノアが静かに分析する。


「継続的な移動痕です。偶発的なものではありません」


リリアが眉をひそめる。


「でもさ、この辺に人型なんている?少なくとも普通のやつは無理でしょ」


セレスティアも頷く。


「この密度の中で、何もなしに歩ける存在は限られるね」


エレノアは続ける。


「さらに異常なのは、戦闘痕が存在しない点です」


リリア


「え?」


エレノア


「この領域には異形が存在しますが、交戦した形跡が一切確認できません」


ルナが短く断定する。


「……襲われてない」


つまり、この足跡の主は、異形と争っていない。


その時、リックがぽつりと呟いた。


「……カイン」


一瞬、空気が張り詰める。


リリアが顔を上げる。


「それって、前に拠点に出てきたやつ?」


エレノアはすぐに首を振る。


「可能性は低いです」


セレスティアも続ける。


「出るなら、もうここにいるはずだよね」


ルナ


「……いない」


エレノアが補足する。


「対象は歩行しています。空間出現型とは一致しません」


つまり、これはカインではない。


リリアが小さく息を吐く。


「じゃあ逆に、これ何?」


答えは出ない。


リックは短く言う。


「後」


今は追わない。


優先は進軍。


エレノア


「現時点ではネブラ制圧を優先します」


静かに全員が同意する。


リックは視線を水浸しの地面へ向ける。


「固める」


ルナが一歩前に出る。


「……凍る」


次の瞬間、水が一斉に凍りつき、透明な氷の層が広がる。


セレスティアが軽く足で踏みながら言う。


「これで流れは止まるね」


リックは続けて指示を出す。


「覆う」


土が崩れ、氷の上に被さる。


二層構造。


エレノアが確認する。


「遮断層として機能します。再流入は抑制可能です」


リリアが周囲を見回して言う。


「これ、掘れるよね」


リック


「掘る」


大型ゴーレムが動き出し、地面を削り始める。


硬い音が響き、やがて黒い鉱石が姿を見せる。


リリアが目を細める。


「これ、前のやつと似てる」


エレノア


「高密度素材です。ネブラ由来の可能性が高い」


ルナ


「……溜まる」


電撃との相性を示唆するように、短く言う。


さらに掘り進めると、大きな塊が露出する。


リリア


「でかいね……これかなり使えるよ」


シルヴィア


「強度、高い」


採掘は順調に進む。


だが、再びエレノアの視線が止まる。


「……増えています」


足跡。


数が増えている。


リリアが立ち上がる。


「さっきより多くない?」


ルナ


「……動いてる」


エレノア


「移動しています。現在進行形です」


つまり――


“今もいる”


セレスティアが静かに言う。


「さっきのとは別の流れだね」


リリア


「ちょっと……気持ち悪いねこれ」


その空気を切るように、小型ゴーレムが反応を返す。


異形が少数、接近。


リック


「処理」


誘導。


凍結された地面へ流す。


異形は足を滑らせ、動きが乱れる。


リリアが笑う。


「これ、かなりやりやすいね!」


短時間で処理が終わる。


再び静けさ。


だが、違和感だけが残る。


リックは前を見る。


「進む」


ルナ


「……奥」


ネブラの奥へ。


異形は制御できる。


だが、それとは別の何かがいる。


足跡の主。


そして――


カインではない存在。


戦いは、次の段階へ進んでいた。



続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ