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新たなる世界へ  作者: パルス
第二章

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第2部 第22話「ネブラ突入」

第2部 第22話「ネブラ突入」


ネブラの入口を前にして、空気は重く沈み込み、外で感じていた流れとはまったく異なる密度と圧が場を支配しており、ここから先がこれまでとは別の段階にあることを誰もが直感的に理解していた。単に削って終わる場所ではなく、構造そのものを制御しなければ押し切れない領域である。


リックは短く言う。


「編成」


リリアがハンマーを肩に乗せ、軽く首を回しながら応じる。


「了解、動きは同じでも中身は別物って感じだね」


エレノアが一歩前に出て、視線を奥へ向けたまま淡々と整理する。


「分断を主体に流れを固定し、個別処理へ移行します。密度が高いため、拘束精度を優先します」


セレスティアは周囲の干渉を確かめながら静かに言葉を添える。


「圧は強いけど、維持はできる範囲だよ。このままなら崩れない」


ルナはほとんど息のような声で呟く。


「……来る」


シルヴィアが短く応じる。


「固定、準備」


リックはそれ以上言葉を重ねず、ただ一言だけ告げる。


「行く」


ネブラへ踏み込んだ瞬間、空気の重さが一気に増し、肌にまとわりつくような圧が全身を包み込むが、足は止まらない。


ルナがわずかに顔を上げる。


「……濃い」


リリアが苦笑する。


「これはさすがに別格だね」


異形が現れると同時に、エレノアの法力が走り、空間が切り分けられるように歪んで通路が分断され、敵の進行方向が一気に限定される。


「分断完了、流れ固定」


敵は一列へ収束する。


ルナが一点を示す。


「……そこ」


エレノアが即座に重ねる。


「拘束維持」


セレスティアが一歩だけ前に出て、ずれた位置を微調整するように対象を処理ラインへ引き戻す。


「引き出す」


内部が表に引き剥がされる。


シルヴィアが短く告げる。


「対象固定、石化」


完全に停止した瞬間、リリアが踏み込み、重い一撃で砕き切る。


「よし、砕く!」


流れは成立しているが、違和感は消えない。


リリアが次を叩きながら眉をひそめる。


「回ってはいるけど、減ってない気がするんだけど」


ルナが短く返す。


「……増える」


エレノアが数として把握する。


「出現密度、上昇しています」


圧が増し、流れが太くなり、前線にかかる負荷が目に見えて重くなる。


リリアが息を吐く。


「これ、さっきより明らかに来てるね」


エレノアが冷静に続ける。


「分断負荷、増加。現状維持は可能ですが余裕はありません」


セレスティアも状況を見極める。


「崩れてはいないけど、このままだと押し込まれるね」


ルナ


「……来る」


一体がラインを抜けかける。


セレスティアが即座に引き戻す。


「位置ズレ、引き直す」


シルヴィア


「石化」


リリア


「助かった、それないと抜けてたよ!」


だが、このままでは削り負ける。


リックは前を見据えたまま言う。


「下がれ」


リリアが一瞬だけ戸惑う。


「え?」


エレノアが理解する。


「戦術変更ですね」


セレスティアも即座に補足する。


「広域電撃、使うね」


リック


「退避」


法力パーティーが後方へ下がり、前線に空間が生まれる。


その瞬間、リックは収納を開き、大量の水を一気に解放すると、それが地面を覆うように広がり、同時に土壁が立ち上がって周囲を囲い込み、逃げ場のない閉鎖空間を形成する。


異形は押し込まれ、密集し、小型ゴーレムが前に出て逃げようとする個体を押し戻しながら内部へと誘導する。


リックが短く言う。


「入れる」


蓄電池が投げ込まれ、水中へ沈む。


一瞬の静止の後、電撃が水を伝って一気に広がり、異形の動きがまとめて鈍ることで、確実に“止まる瞬間”が生まれる。


リック


「前、上げる」


前衛の大型二体が前進し、中型三体が並び、さらに後方の大型も前線へ合流することで、すべてのゴーレムが一斉に押し出される。


「叩け」


総攻撃が始まり、大型が押し潰し、中型がビリビリ武器を叩き込み、小型が外へ溢れた個体を押し戻しながら処理を続けることで、完全に逃げ場を失わせた状態で殲滅が進んでいく。


圧が一気に消え、静けさが戻る。


リリアが後方から呟く。


「……一気に消えたね」


エレノアが分析する。


「密度ごと処理しました。非常に有効です」


セレスティアも確認する。


「流れが切れてる。この層は押し返したね」


ルナ


「……消えた」


リック


「探れ」


小型ゴーレムが散開し、周囲を走査するが、戻ってくる個体はすべて無事であり、反応は明確に減少している。


エレノア


「密度、急減しています」


しかし、ゴーレムの状態は変わっていた。表面が焼け、内部にも負荷が残り、中型の動きにはわずかな鈍さが見える。


リリアがそれに気づく。


「……これ、かなり無理させたね」


エレノアが判断する。


「負荷過多です。このままでは崩壊の可能性があります」


セレスティア


「一度整えないと持たないね」


ルナ


「……止める」


リックは短く言う。


「戻る」


戦線を一度離脱し、ゴーレムを回収して再構成に入る。時間はかかるが、その間は誰も無駄に動かない。


リリアがぽつりと呟く。


「強いけど、これ一回きりって感じだね」


エレノア


「連続使用は不可能です」


セレスティア


「切り札だね」


ルナ


「……一回」


再構成が終わり、ゴーレムが元の状態へ戻ると、リックは再び前を見据える。


ネブラの奥。


まだ終わってはいない。


「進む」


ルナ


「……奥」


戦いは、続く。



続く。

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