表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たなる世界へ  作者: パルス
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
70/82

第2部 第19話「整える日」

第2部 第19話「整える日」


ネブラから戻った翌日、空気はいつもと変わらず穏やかで、張り詰めていた感覚だけが少しだけ抜けていた。だが、やることは決まっている。進むための準備は、日常の延長にある。


リックは拠点の外へ出ると、周囲を一度見渡してから短く言う。


「間引きする」


小型ゴーレムが前に出る。数は前日よりも多い。出し入れを繰り返しているうちに、扱いが明らかに軽くなっていた。


リリアがハンマーを肩に乗せる。


「いつも通り、先に削る感じだね」


ルナは周囲に意識を向ける。


「……来る」


異形が現れる。だが昨日ほどの圧はない。密度も薄い。


リックは即座に動く。小型を前に当て、中型を後ろから差し込み、通路を使うように壁を展開して流れを分断する。無理に止めるのではなく、通り道を歪ませることで動きを制御する。


リリアが踏み込み、一体を叩き砕く。


「軽いね、やっぱり」


セレスティアが流れを整える。


「減ってるね、確実に」


ルナも小さく言う。


「……外、少ない」


エレノアが周囲を見て判断する。


「総量が移動している可能性があります。ネブラに集まっていると考えるのが自然です」


リックは短く答える。


「叩く」


間引きは続く。一定数を削ると、周囲の出現は目に見えて減る。拠点周辺は安定を取り戻していく。


リックは一度手を止める。


「ここまで」


リリアが息を整える。


「いい感じに減ったね」


セレスティアも一息つく。


「これなら拠点は問題なさそう」


ルナ


「……残り、奥」


リックは頷く。


「次」


畑に向かう。


拠点の近くに広げた畑は、以前よりも明らかに状態が良くなっていた。土は柔らかく、流れも安定している。


セレスティアが地面に手をかざす。


「……ここ、整ってるね」


エレノアが観察する。


「干渉が少ないです。外の影響が弱まっています」


リリアが作物を見ながら言う。


「ちゃんと育ってるね。これなら食料も問題なさそう」


ルナ


「……安定」


リックは短く確認する。


「維持できるか」


セレスティア


「問題ない。このままなら持つよ」


リックはそれ以上言わない。


「次」


森へ入る。


木々の間は静かで、異形の気配もほとんどない。昨日までの圧が嘘のように薄れている。


リリアが周囲を見ながら言う。


「ほんとに減ったね」


ルナ


「……外、空いてる」


エレノア


「やはり中心に集まっています」


リックは木を見上げる。


「採る」


小型ゴーレムが動き、素材を回収していく。木材、樹脂、繊維。無駄なく集めていく。


リリアも加わる。


「これ、ゴーレムにも使えるよね」


エレノア


「補助素材としては有効です」


セレスティア


「流れも安定してるから加工もしやすそう」


ルナ


「……問題ない」


一定量を回収したところで、リックが止める。


「戻る」


拠点へ戻り、回収物をまとめる。


ゴーレムが素材を整然と並べていく。動きに迷いはない。扱いが確実に向上している。


リリアがそれを見て言う。


「ほんと、扱いやすくなってるね」


ルナ


「……慣れた」


リックは短く言う。


「強くなってる」


数も、操作も、反応も。使うほどに伸びている。


セレスティア


「いい傾向だね」


リックはまとめた素材を確認する。


「行く」


向かう先は一つ。工房。


中に入ると、金属を打つ音が響いている。


バルドが顔を上げる。


「来たか。ちょうどいい」


リックは回収した素材と鉱石を置く。


バルドはそれを見て頷く。


「揃ってきたな」


リリアが聞く。


「どう?進んでる?」


バルドは笑う。


「形にはなってきた。まだ調整は必要だがな」


セレスティア


「ビリビリの方は?」


バルドは小さく叩いて確認する。


「溜まる。ただ、まだ安定が足りねぇ。流し方を詰める必要がある」


ルナ


「……制御」


エレノア


「出力と放出のタイミングですね」


バルド


「そうだ。溜めて、必要な瞬間だけ抜く。その精度を上げる」


リック


「間に合うか」


バルドは答える。


「次に潜るまでには形にする」


リリアが笑う。


「いいね、それ」


リックは短く言う。


「任せる」


バルド


「任せろ。その代わり、また鉱石は持ってこい」


ルナ


「……取る」


外に出る。


空は変わらない。だが、準備は確実に進んでいる。


セレスティアが言う。


「整ってきたね」


ルナ


「……次、近い」


リリア


「今度は奥まで行けそうだね」


リックは前を見る。


ネブラの奥。


まだ手は届いていない。だが、距離は縮まっている。


「準備を続ける」


静かに言った。


続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ