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新たなる世界へ  作者: パルス
第二章

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第2部 第10話「防衛線と、試験領域」

第2部 第10話「防衛線と、試験領域」


火は、線になっていた。洞窟の入口に沿って並ぶ炎はただ燃えているだけだが、内と外で空気が違う。熱が流れ、揺らぎが薄れる。外側に滞る“ズレ”は境界を越えない。

「……来ないね」リリアが腕を組む。炎の向こうに“ある”。だが踏み込まない。

ルナが目を閉じる。「……近い。でも、止まってる」

「境界だ」リックが言う。「止めてるんじゃない。寄せてない」

エレノアが配置を見直す。「帯状に広げます。抜け道を残しません」シルヴィアが地面に触れる。「……熱、均します」セレスティアは頷く。「維持できます」

守る線ができた。同時に「……試せるね」リリアが笑う。内側は安全、外側には敵が溜まる。逃げ場のない制御前線だ。

「やる」リック。


戦闘は整う。「……右、三」ルナ。「流します」エレノアの風が通路を削り進路を一本に絞る。「火、入れるよ」炎が走りズレが鈍る。「……今です」光が揃える。「……固定」石化が絡む。「叩く!」リリアが踏み込み、ハンマーが入る。歪みが崩れ、消える。次も同じ流れで処理される。乱れない。止まらない。

「……安定してる」ルナ。「五体程度なら問題ありません」エレノア。「やっと形になってきたね」リリア。リックは頷く。(型はできた)


検証を進める。氷壁は回り込まれ、土壁は避けられ、風壁は流される。「……意味ないね」リリア。「障害物として処理されています」エレノア。「閉じるな。流せ」リック。火だけが違う。触れれば離れる。「……熱を嫌がってる」ルナ。「持続させる」リック。


戦闘を切り上げ、拠点に戻る。結社の鉱石、鉄、皮を並べる。「……溜める」鉱石を擦る。パチ、と火花。それを金属に触れさせる。わずかに残る。「……残るね」リリア。だが――パチッ!!強く弾ける。「危なっ……!」リリアが手を引く。エレノアが距離を取る。「保持が不安定です」ルナ。「……読めない」リックは言う。「そのままじゃ使えない」


ゴーレムを呼ぶ。鉱石を持たせる。変化はない。さらに帯電させる。火花が走るが、ゴーレムは揺れない。「……効いてない」ルナ。「影響なし」シルヴィア。「持たせる」リック。「私じゃないんだ」リリアが笑う。「触るな」


試す。ゴーレムが前に出て帯電金属を押し当てる。――止まる。ズレが揃う。「……長い」ルナ。「安定しています」エレノア。だが崩しきれない。「削れてるけど、残るね」リリア。リックは言う。「電気は止めるだけだ。壊すのは変わらない」リリアがハンマーを担ぐ。「じゃあ最後は私だね」「ああ」


静かな時間。セレスティアが言う。「神殿では、もっと安定していました」「法力か」「はい」「行く」


転移。神殿。空気が違う。揺れがない。神官が迎える。「法力について聞きたい。習得は可能か」神官は答える。「可能です。ただし適性が必要です」「俺は?」わずかな間。「適性がありません」沈黙。「……そうか」それで終わる。「まったく扱えないわけではありませんが、戦力にはなりません」「理解した」

セレスティアが問う。「私は?」「適性があります。習得は可能です」リックは頷く。「任せる」セレスティアが奥へ進む。

リックは足を止める。「……もう一つ。後日、何人か連れてくる。適性は見られるか」「可能です」「分かった」


外へ出る。町を歩く。違和感を探す。止まる。路地の奥、雑然とした店。ガラクタの中に一つ。手に取り、回す。パチッ。火花。もう一度、パチッ。(……起こしてる)店主が言う。「それ、火花出るだけだぞ」「いくらだ」「安くしとく」買う。


拠点へ戻る。分解する。回転、摩擦、圧。「……発生させてる」試す。回す。火花を起こし、鉱石へ。残る。「……いける」ルナが頷く。「……揃ってる」エレノアも確認。「安定しています」

「作って、溜める」リック。


夜。火は揺れ、装置は回り、ゴーレムは巡回する。だが、ルナが奥を見る。「……増えてる」地下の向こう、確実に数が増えている。リックは目を閉じる。(準備はできる)だが――「……間に合うかどうかだ」火の向こうで“ズレ”は動かない。だが、消えてはいない。静かに、確実に、増え続けていた。

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