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新たなる世界へ  作者: パルス
第1章

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34/69

第34話 「静かな準備と、仕掛けられた防衛線」


町に戻ると、空気はいつもと変わらなかった。


だがリックたちの内側だけが違っている。


「いやー、今回はかなり動きやすかったね」


リリアが軽く腕を回す。


「前ならもっと苦戦してた気がする」


エレノアは淡々と返す。


「連携精度が向上しています。ただ――」


「敵も適応しています」


リリアが肩をすくめる。


「だよね。あの固いやつ、普通に嫌だったし」



ギルドに入る。


ざわめきの中、受付へ向かう。


リックが短く言う。


「報告だ」


職員が顔を上げる。


「内容をお願いします」



エレノアが整理して話す。


「輸送部隊を制圧。素材を回収」


「ただし、強化個体を確認」


「薬耐性、および意思を持つ個体」


職員の表情が変わる。


「……詳細を」



リックが続ける。


「敵は“段階移行”と言っていた」


空気が止まる。



職員が一度席を外す。


数分後、戻ってきた。


「確認しました」


「今回の報告は、非常に価値が高いものです」



一呼吸置いて。


「あなた方のランクを引き上げます」



リリアが思わず声を上げる。


「え、ほんとに!?」



「Bランクへ昇格です」



ざわめきが広がる。


周囲の視線が集まる。



リックは短く言う。


「受理する」



続けて袋が差し出される。


「報酬、および素材買取分です」


重みがある。



リリアが覗く。


「……え、これ結構すごくない?」


エレノアが冷静に言う。


「今後の装備と維持費に回します」



職員が続ける。


「ただし、警告があります」



「結社の活動は明確に変化しています」


「各地で“段階移行”の報告が出ています」



リックが言う。


「問題ない」



職員がわずかに目を細める。



リックは続ける。


「やることは同じだ」



沈黙のあと。


職員は頷いた。


「……理解しました」



「今後、特別案件として扱います」


「情報は優先的に共有します」



ギルドを出る。



リリアが笑う。


「Bランクってさ、ちょっとカッコよくない?」


エレノア。


「責任も増えます」



そのままザクトの店へ向かう。



扉を開けると、すでにこちらを見ていた。


「……上がりましたね」


リック。


「情報は」



ザクトが地図を広げる。


「動きが変わってます」


「輸送の頻度が増加」


「そして――」


指が止まる。


「拠点を探している形跡があります」



リリア。


「それ、普通にヤバくない?」



「ええ」


ザクトが淡々と言う。


「あなた方の拠点も候補に入っている可能性があります」



帰り道。


空気が重い。



リックが言う。


「防衛に切り替える」



拠点へ戻る。


扉が閉まる。



「強化する」



全員が動く。



リックは外へ出る。


杖を地面に突く。


「……起きろ」


地面が隆起する。


土と石が集まり、形を成す。


巨大なゴーレムが立ち上がる。



リリア。


「うわ、頼もしい!」



リック。


「正面はこれで止める」



「じゃあその前に落とす」


リリアが地面を指す。


「踏んだら崩れる」


「押したら落ちる」


手際よく罠を組む。



シルヴィアが近づく。


「……ここ、使います」


薬を設置。


「通過時に吸入」



ルナが動く。


「……ここ、閉じる」


氷で通路を制限。



エレノア。


「このラインに誘導すれば、全て射程内です」



セレスティア。


「ここで支えます」


回復拠点を整える。



リックが全体を見る。


ゴーレムが配置につく。



「流れは作れた」



装備確認。



リック:杖+石

リリア:炎ハンマー

エレノア:弓

シルヴィア:二刀

ルナ:槍

セレスティア:剣



シルヴィア。


「……眠り、麻酔、毒、石化」



夕方。


少しだけ緩む時間。



ルナは洗濯。


リリアは地面に寝転がる。


セレスティアは食事。



エレノアは外を見続ける。


「……風が変わっています」



夜。


静か。



リックが外に立つ。


ゴーレムの横。



風が揺れる。



わずかな気配。



「……近いな」



遠く。


影が動く。



「……確認」



リックが振り返る。



「配置につけ」



静寂が張り詰める。



戦いは、すぐそこまで来ていた。

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