表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たなる世界へ  作者: パルス
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/74

第30話 「日常の裏で、狩りの準備」(杖仕様)

朝の空気は、静かだった。


だがその静けさの奥に、わずかな緊張が混じっている。


リックは杖を手に取り、軽く振って感触を確かめる。


「ギルドに行く」


エレノアが頷いた。


「報告と許可の取得ですね」


リリアが顔を上げる。


「もう行くの?」


「ああ」


短く答える。


「すぐ戻る」


リックは杖を肩にかけ、そのまま外へ出た。

エレノアも続く。



扉が閉まる。


少しだけ、空気が緩んだ。


リリアが大きく伸びをする。


「よし、やるか」


セレスティアが微笑む。


「朝食の準備、手伝ってくれますか?」


「任せて!」



拠点の中では、それぞれが動き始めていた。


セレスティアは火を起こし、鍋を温める。

手際よく食材を刻み、香りが広がっていく。


リリアはその横で手伝いながらも、途中で手を止めた。


視線の先は、置かれた鉄材。


「……」


昨日の言葉が蘇る。


――“打て”


小さく息を吐き、リリアは外へ出た。



簡易鍛冶台の前。


ハンマーを握る。


カン――


音が鈍い。


「……違う」


もう一度。


カン、カン。


だが、感覚が噛み合わない。


リリアは眉を寄せた。



その少し離れた場所。


シルヴィアが薬を調合していた。


小瓶が整然と並ぶ。


「……眠り」


白い霧状の薬が揺れる。


「拡散用、安定」


別の瓶へ。


「麻酔……持続、延長」


さらにもう一つ。


「毒……遅効性」


すべてが計算されていた。



水場では、ルナが洗濯をしている。


無言。


だが丁寧で、正確な動き。


布を洗い、絞り、干す。


リリアがちらりと見る。


「……ほんと上手いよね」


ルナは何も言わない。


だが、ほんの少しだけ視線が動いた。



その頃。


リックとエレノアはギルドにいた。


「報告を」


リックは簡潔に言う。


「結社の輸送ルートを確認した」


空気が変わる。


「襲撃を予定している」


ざわめき。


「……危険すぎる」


エレノアが補足する。


「しかし、結社素材の確保が可能です」


沈黙。


「……審議します」



やがて。


「許可します」


ただし、と続く。


「生還を最優先」


「無理な戦闘は禁止」


「情報の持ち帰りを優先」


リックは杖を軽く床に打ち、頷く。


「了解」



ギルドを出る。


エレノアが言う。


「条件付きですが、十分です」


「ああ」


リックはそのまま歩き出す。


「ザクトのところに行く」



店に入る。


ザクトはすでにこちらを見ていた。


「……動きますか」


「輸送ルートの詳細だ」


ザクトは紙を広げる。


「時間は夕刻」


「この街道を通ります」


エレノアが確認する。


「護衛は?」


「少なくとも五」


「それと――」


少しだけ間を置く。


「今回は“濃い”ですよ」


リックの視線が鋭くなる。


「核に近い素材が含まれている可能性があります」


空気が変わる。



拠点。


食事が整い、リリアが戻る。


「……うまくいかない」


セレスティアが優しく言う。


「焦らなくて大丈夫ですよ」


リリアは小さく笑う。


「……うん」



その時。


扉が開いた。


リックとエレノアが戻る。


空気が一瞬で引き締まる。


「お兄ちゃん!」


リリアが駆け寄る。


「どうだった!?」


「許可は出た」


「よっしゃ!」


リックは続ける。


「ただし条件付きだ」


エレノアが補足する。


「生還優先です」



全員が集まる。


リックが杖を軽く立てる。


「輸送は夕刻」


「護衛は五以上」


「中身は重要物資」


シルヴィアが言う。


「……結社素材」


ルナが呟く。


「……閉じる」


リリアが拳を握る。


「やるしかないじゃん」



エレノアが整理する。


「作戦を確認します」



・ルナが分断

・シルヴィアが拡散

・リリアが撃破

・リックが制圧

・セレスティアが支援



リックが一歩前に出る。


杖を握る。


「距離を取る」


「一気に崩す」



夕方。


街道は静かだった。


風が流れる。


リックは杖を構え、地面に軽く触れる。


魔力が広がる。


「……来る」


エレノアが小さく言う。


遠くに影。


荷車。


護衛。


結社の輸送部隊。


リックが低く言う。


「始めるぞ」



杖の先に、光が集まる。



戦いは、もう始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ