クリスマス特別編①
季節外れの話ですが思いついたので書いてしまいました。
よろしくお願いします!
十二月、とある金曜日。
居酒屋「健」。
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「今月はクリスマスだね!」
席につくなり沙月が元気よく言った。
「そうだな」
悠也は焼酎のグラスを傾けながら答える。
「何かやりたいことがあるのか?」
「ある!」
即答だった。
「ケーキ食べたい!」
思わず悠也が吹き出す。
「子供か」
「だってクリスマスだよ!?」
「ホールケーキでも食うか」
「食べる!」
元気よく手を挙げる。
「あとね、あとね!」
まだあるらしい。
「イルミネーションも見に行きたい!」
「ベタだなぁ」
「いーの!」
沙月は頬を膨らませた。
「今までやったことないんだから!定番でもやってみたいの!」
そして少しだけ声を小さくする。
「ゆーやさんとね❤️」
「はいはい」
「はいはいじゃないの!」
隣で騒ぐ彼女を見ながら悠也は苦笑した。
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するとカウンターの向こうから健二が口を挟む。
「独り身の男の前でそんな話されると心が重くなるんだが」
「ベタベタしてるつもりはないんだが……」
悠也が言う。
「十分してる」
「してないよね?」
沙月が同意を求める。
「してるな」
健二と悠也の声が綺麗に重なった。
「なんで!?」
沙月が抗議する。
その様子に健二は笑った。
「まあ、見てる分には面白いからいいけどな」
「健二さんもクリスマスに向けて誰かいい人探したらいいのに」
沙月が言う。
「こんな不定休の店の大将と仲良くしてくれる人なんてなかなかいなくてね」
「そうかなぁ」
「まぁ……最近はちょくちょく来る客も増えたけどな」
健二がぼそりと言う。
「誰?」
沙月が首を傾げる。
「気にするな」
「なるほど」
悠也が頷く。
「お前まで何を納得してるんだ」
健二が呆れたように言った。
沙月だけが何のことかわからず不満そうな顔をしている。
「むー」
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「で?」
悠也が話を戻す。
「クリスマスの晩飯はどうするんだ?」
「クリスマスディナーとか行くのか?」
「んーん」
沙月は首を横に振った。
「チキン買って」
指を一本立てる。
「ピザ買って」
二本目。
「ケーキ買って」
三本目。
そして満面の笑み。
「ゆーやさんのお家でパーティーする!」
悠也は少し意外そうな顔をした。
「そんなのでいいのか?」
「うん!」
沙月は迷いなく頷く。
「前に誕生日で連れて行ってもらったお店も嬉しかったよ?」
「でもまだあたしにはちょっと敷居高いし」
「今はお家でチキンとピザとケーキが一番嬉しい!」
そして少し照れながら続ける。
「もう少しお姉さんになったら、また連れて行ってね」
「また高い店要求されたら困るけどな」
「しないもん!」
「本当か?」
「たぶん!」
「怪しいな」
二人とも笑った。
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「あと何日かカウントダウンしないと!」
「早いわ」
「新しい服も欲しいし!」
「はい」
「リップも買わなきゃ!」
「はいはい」
「美容院も行かなきゃ!」
「また行くのか」
「ゆーやさんに可愛いって思われたいから!」
一瞬。
悠也の動きが止まる。
「……十分だろ」
小さな声だった。
「え?」
「いや、何でもない」
少しだけ視線を逸らす。
健二がニヤニヤしていた。
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「ネイルも!」
「まだ増えるのか」
「ダイエットも!」
「今さらだろ」
「今さらじゃないの!」
沙月は真顔だった。
「あとクリスマスまで毎日電話ね!」
「増えてるぞ」
「付き合ってるんだから当然です!」
「そういうものなのか?」
「そういうものです!」
力強く断言された。
満足したらしい。
沙月は嬉しそうに頬杖をつく。
「クリスマス楽しみだなぁ~」
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まだ十二月に入ったばかりだ。
それなのに、彼女の頭の中はもうクリスマス当日らしい。
「子供か」
思わず呟く。
「聞こえた!」
即座に抗議が飛んできた。
「聞こえるように言ったからな」
「ひどい!」
「やれやれ」
嬉しそうに笑う沙月を見ながら悠也は肩をすくめた。
喜んでくれるのは嬉しい。
ただ――。
「クリスマスまであと三週間以上あるんだぞ」
「大丈夫!」
沙月は自信満々に言った。
「楽しみは長い方が幸せだから!」
その言葉に。
悠也も少しだけ笑った。
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カウンターの向こうで健二がため息をつく。
「クリスマス前にお腹いっぱいだな」
居酒屋「健」に笑い声が響いた。
このクリスマス近づいてくるーー
――クリスマス特別編②へ続く
こんにちは、ヘロイズムです。
読んでいただきありがとうございます!
本編完結していますが書きたいことを書けたらと思いますのでよろしくお願いします。




