12 暁②
笑いが止まらない。
もう少しだ。
この日をどれだけ夢見ていたことか。
もう二年だ。
どれだけ洗脳しても寸でのところでブレーキがかかる。
忌々しい。
早く見たい。
絶望に歪んだ白夜はどんな顔を見せるだろう。
(白夜に虎燈を殺させた方が、堕とせるんじゃないか?)
閃いて、自分の才能に酔いしれた。
どうせなら、鬼神・白夜から堕ちた白夜を見たい。
奴らのいう約束の木。
最高じゃないか。
俺は、白夜を殺すように仕向けただけ。
この日のこの場所を選んだのは奴らだ。
「面白くなってきた」
白夜の背後に虎燈が降りた。
(いいや、虎燈。それじゃ駄目だ。おまえの顔を見せろ)
白夜が振り返る。
虎燈の顔を見て、悲しそうに笑った。
(いいぞ。そうだ。その調子だ)
虎燈の顔が変わる。
ようやく、まともな殺意だ。
口元がニヤける。
虎燈が腕を振り上げる。
(今だ)
日本刀を白夜の手の届くところに投げた。
殺されそうになった白夜が、日本刀で虎燈を返り討ちにする。
愛し続けた虎燈を殺した白夜はどんな顔をするだろう。
想像もできない歓喜にゾクゾクする。
白夜が日本刀を手にした。
(もう少しだ……)
瞳孔が開ききった目で2人を見つめる
瞬きする時間も惜しい。
(行け、白夜)
振り上げた日本刀を自分の胸に沈める白夜。
「……は?」
自分で自分を刺した?
意味が分からない。
「チッ、何やってんだ」
虎燈の動きが止まる。
……あぁ、解けるな。
(まぁいい。白夜が死んだなら、用はない)
踵を返す。
「またな」
虎燈の悲痛な声が聞こえた。
もうため息しか出ない。
虎燈は己の心臓を突き刺した。
涙で濡れた歪んだ顔。
「最悪」
眠る二人の傍に立つ。
胸元から出したルビーの石を二人の足下に
――捨てた。




