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13/13

13 虎燈/白夜


「またね」


 前世の最期。

 殺しに行くことしかしなかった俺に白夜は言った。


 だから俺はここに立つ。

 約束の木の下。

 互いの十歳の誕生日。


 

 今世も一緒の時を過ごしてくれるだろうか。



 あんな目にあわせてもなお、自分の気持ちが先にくる。

 なんて傲慢なんだ。



 何もいらない。

 ただ、白夜だけが……。


 ルビーの石を見つめる。

 鮮明に彼女の顔を思い出す。

 

 祈るような気持ちで彼女を待つ。

 

 いつまでも待ち続ける。

 俺にできることはそれだけだ。




***



「またね」


 最期、そう告げた。

 来世では虎燈との幸せな時間を……。

 そう祈って。



 何度も

 何度も

 何度も



 愛する人が殺しにくる。


 その傷はまだ癒えていない。


 この十年、何度も自分に問い続けた。


「この輪廻を続けたい?」


 何度問うても、肯定しかなかった。


 どうしてこんなにも虎燈がいいのか分からない。

 魂に刻まれたかのように、心が求める。

 


 胸元のサファイアを握りしめる。

 まだ、不安が残る。

 今世は、また、安心できる癖に……



 足下ばかり見ながらここに来た。

 顔を上げる。



 ――虎燈だ



 涙が溢れる。


 目が合う。

 その瞳も濡れていた。


 伸ばした手が大きな手に包まれーー

 そのまま引き寄せられる。


 温かい胸に。

 強く抱きしめる腕に。


 

 泣きじゃくる互いの涙を、掌で拭きあう。


 どちらともなく、笑う。


 それだけで、十分だった。




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