第40話:潜入! ガルダル帝国・大舞踏会! 聖なる鎧(ドレス)と暴走する信仰心
ガルダル帝国の帝都。その中心にそびえる『黒曜石の宮殿』では、聖女候補を歓迎する大舞踏会が開かれていた。
潜入調査のため、俺たちは最高級の正装に身を包んでいる。
「……っ、大翔。この服、ひらひらして落ち着かないよぉ……」
ユフィが、白と金を基調とした聖女風のドレスに身を包み、所在なさげに世界樹の杖『アルテミス』を抱え直す。
「……先輩。……。あざとくエスコートしてください。……。私のこの『霊糸のイブニングドレス』、先輩の視線を釘付けにするために編み上げましたから」
カスミが俺の腕に細い指を絡ませ、耳元で熱い吐息を漏らす。
だが、会場の視線を一身に集めていたのは、間違いなくマリアだった。
「――おお、なんと神々しい。……。あれこそが、北の騎士国家の生き残りか?」
貴族たちがどよめく。新調した『ヴァルキリー・ドレス』は、純白のシルクと白銀のプレートが融合し、戦場に舞う天使のような気高さを放っていた。
「……。誠十郎さんの……誠十郎さんの残り香が、このドレスの奥底から聞こえます……(恍惚)」
「マリアさん、怖いよ! 顔が怖いし、台詞が不穏だよ!」
マリアは、誠十郎が工面してくれた希少素材の感触に、もはやトランス状態に陥っていた。彼女にとって、この装備は単なる防具ではなく、誠十郎という「神」から授かった聖遺物なのだ。
「……リーダー。……。私、このドレスの裾をなびかせるたびに、誠十郎さんの『縮地』の極意が脳内に直接流れ込んでくる気がします。……ああ、誠十郎さん……見ていてください、貴方の敬虔なる信徒の戦いを……!」
【潜入:ワルツに乗せた情報戦】
舞踏会の音楽が流れ始める。俺はカスミに手を引かれ、ダンスフロアの中央へ。
「……先輩。……。ステップを合わせながら、周囲の貴族の会話を聞いてください。……。どうやら『本物の聖女』は、この宮殿の地下深く……『氷結の牢獄』に幽閉されているようです」
カスミが俺の肩に顎を乗せ、甘い囁きの中に冷徹な情報を織り交ぜる。
「……マリアさんは大丈夫か? どっかの公爵に絡まれてるみたいだけど」
「――あぁん!? 誠十郎さん以外の男に触れられるなど、万死に値しますッ!!」
(ドカァァァァァン!!)
マリアが、ダンスを申し込もうとした公爵の手を、目にも止まらぬ速さの『受け流し』で弾き飛ばした。公爵はフロアの端まで回転しながら吹っ飛んでいく。
「マ、マリアさん! 潜入調査だって言っただろ!」
「……リーダー、申し訳ありません。……。ですが、誠十郎さんの息吹を感じるこのドレスを、不浄な手で汚させるわけにはいかないのです……! ――『礼節の型・粛清!』」
マリアが、ステップを踏むような優雅さで、迫り来る警備兵たちの槍を次々と素手で掴み、へし折っていく。
【リザルト:舞踏会、壊滅(?)】
* マリア: 誠十郎への信仰心が爆発。正装のまま「無双」を開始。会場の女性貴族から「凛々しすぎる」と逆に惚れられる。
* ユフィ: 混乱に乗じて、ビュッフェの高級肉を『アルテミス』の光で隠しながらポシェットに詰め込む。
* カスミ: 騒動を計算に入れ、どさくさに紛れて俺の頬に「幸運の術式」と称してキスをする。
* 大翔: 誠十郎さんの名前が出るたびにマリアのステータスが上昇(信仰バフ)することを発見。
「……先輩。……。マリアさんが暴走してくれたおかげで、地下への警備が手薄になりました。……。今です。……。聖女、助け出しにいきましょう」
「……。ああ。……。マリアさん、そこまでだ! 地下へ行くぞ!」
「――誠十郎さんの名において、承知いたしました!!」
ドレスを翻し、血気盛んなマリアを先頭に、俺たちは宮殿の深淵へと足を踏み入れた。
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