第3話:Fランク冒険者の初仕事と、レベルアップの衝撃
「先輩、Fランク冒険者おめでとうございます! これから一緒に頑張りましょうね!」
カスミは満面の笑みで俺に言う。その笑顔は、やっぱりどこか計算高いように見えた。
俺の異世界生活は、このあざとい後輩と共に、一体どうなっていくのだろうか。
「おう、よろしくな、カスミ」
俺は精一杯、先輩らしく振る舞ってみる。内心はドキドキだ。まさか、こんな美少女とパーティを組むことになるなんて、転生前の俺が聞いたら泡吹いて倒れるだろうな。
冒険者ギルドの依頼掲示板の前で、俺とカスミは頭を突き合わせていた。
「Fランクの依頼は、この辺りですね」
カスミが指差すのは、街の周辺の森に生息する「ポイズンスライム」の討伐や、「薬草採取」といった、いかにも駆け出し向けの依頼ばかりだ。
「うーん、どれも地味だな……」
俺は思わずため息をついた。もっとこう、ドラゴン討伐とか、魔王軍との戦いとか、そういう派手な依頼はないのか?
「先輩、FランクはFランクなりの仕事があるんです。それに、ポイズンスライムは侮れませんよ。毒液を飛ばしてくるので、油断するとあっという間にやられてしまいます」
カスミは真剣な顔で俺を諭す。
その言葉に、俺は背筋が凍る思いがした。
確かに、俺のステータスはGやFばかりだ。調子に乗ってはいけない。
「よし、じゃあ、このポイズンスライム討伐の依頼を受けるか」
俺は意を決して、依頼書を手に取った。カスミも「はい!」と元気よく返事をする。
街の東門を出て、数十分歩くと、鬱蒼とした森が広がっていた。
ギルドの受付で借りた地図を頼りに、ポイズンスライムの生息地へと向かう。
「先輩、気をつけてください。この辺りはポイズンスライムの縄張りです」
カスミが警戒しながら、俺の隣を歩く。
俺も木の枝を片手に、周囲を警戒する。
すると、草むらの中から、ヌルリとした緑色の塊が姿を現した。
「ヌルヌル……」ポイズンスライムだ。体長は50センチほどで、見るからに毒々しい緑色をしている。
そして、その体からは、酸っぱいような刺激臭が漂ってくる。
「うわっ、臭っ!」
俺は思わず鼻をつまんだ。
こんな奴を相手にするのか……。
「先輩、私が回復魔法でサポートしますから、攻撃をお願いします!」
カスミが杖を構える。
俺は木の枝を構え、ポイズンスライムに狙いを定めた。
どこを狙えばいい? スライムだから核があるはずだ。だが、この毒々しい体液のどこに核があるのか、肉眼では判別できない。
――くそ、こういう時こそ「木の枝投げ(必中)」の出番だろ!
俺はポイズンスライムの体全体をざっくりと狙って、木の枝を投げつけた。
枝は一直線に飛び、ポイズンスライムの体の中央に吸い込まれるように突き刺さった。
「ピギャアアアアアアッ!」
ポイズンスライムは悲鳴を上げ、体を激しく痙攣させた後、ドロリと溶けて消滅した。そこには、小さな魔石が残されていた。
「やった! 先輩、お見事です!」
カスミが拍手をしてくれる。俺も内心ガッツポーズだ。
やっぱり「木の枝投げ(必中)」は強い!その時、俺の頭の中に、聞き慣れた声が響いた。
【経験値が1000ポイント入りました】
【レベルが2に上がりました】
「おおっ!?」
俺は思わず声を上げた。レベルアップだ!
初めてのレベルアップに、俺は興奮を隠せない。
【ステータスが上昇しました】
大翔
•ジョブ: 双剣使い
•スキル: 経験値1.2倍、木の枝投げ(必中)
•ステータス:
•力: F
•器用さ: E → E+
•魔力: G
•素早さ: E
•体力: F
•魔法耐性: G
•幸運: B → B+
【スキル『木の枝投げ(必中)』の熟練度が上昇しました】
「うおおおおお! 器用さと幸運が上がってる! しかも、木の枝投げの熟練度まで!?」
俺は自分のステータスを見て、歓喜の声を上げた。微々たる上昇だが、それでも俺にとっては大きな一歩だ。
これなら、いつか本当にSランク冒険者になれるかもしれない!
「先輩、どうしたんですか? そんなに喜んで」
カスミが不思議そうな顔で俺を見ている。
まさか、レベルアップのアナウンスが聞こえていないのか? まあ、普通は聞こえないよな。
「いや、なんでもない! よし、次だ次! どんどんポイズンスライムを倒して、レベルを上げるぞ!」
俺は意気揚々と、次のポイズンスライムを探し始めた。俺の異世界無双計画は、まだ始まったばかりだ。(続く)
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