第24話:再戦、銀蛇の牙! 覚醒した連携と、カスミの「隠し球」
王都への帰路。人気の途絶えた並木道で、奴らは待っていた。
「……逃げ延びてせいぜい三日か。随分と薄汚れた格好だな、坊や」
Cランクパーティ『銀蛇の牙』のリーダーが細剣を抜き放つ。背後には、前回ユフィの光に焼かれた魔導師ロゼも、怒りに震えながら杖を構えていた。
「……。薄汚れたのは、あんたらに勝つための準備をしてたからだよ」
俺は腰を落とし、誠十郎さんに叩き込まれた重心移動を意識する。手には「枝」ではなく、訓練用の重い木刀。
「……生意気な! ロゼ、今度は逃がすな! 『魔力沈黙』!」
再び放たれる、カスミの術式を封じる不可視の波動。だが、カスミの反応は前回とは違った。
「……二度は食らいません。――物理的遮断、開始!」
カスミは魔力に頼らず、懐から取り出した特製の『防魔の粉末』を周囲に撒いた。物理的な触媒を用いることで、沈黙の波動を霧散させる。さらに、修行で鍛えた身のこなしで、敵の戦士の突進を最小限の動きで回避した。
「なっ……!? 魔法使いが避けた……!?」
「今だ、ユフィ! 暴走させるな、一点に絞れ!」
「……わかってるよ、大翔! ――『流星の穿孔』!」
ユフィが杖を突き出す。かつてのような光の爆発ではない。極限まで圧縮された魔力の「針」が、一直線に敵の魔導師ロゼの結界を貫いた。
「……っ!? 嘘、私の防御を……たった一撃で……っ!」
ロゼが膝をつく。これこそが、誠十郎さんの地獄修行で手に入れた「制御」の力だ。
「……くそっ! ならば、お前からだ、盾持ち!」
リーダーがマリアさんへ肉薄する。だが、マリアさんは盾を構え直さない。
「……見えます。お肉の脂を落とすように……その剣筋、無駄が多いです!」
マリアさんは最小限のステップで細剣を「流し」、空いた懐に盾の縁を叩き込んだ。重装歩兵とは思えない、鋭いカウンター。
「……ぐはっ!? ……バカな、Dランクの動きじゃない……!」
「トドメだ。必中スキル、発動。ターゲット――重心の崩れた、あんたの『右足の関節』!」
俺は木刀を捨て、懐から「誠十郎さんが削り出した、極小の木片」を投げた。
身体能力の底上げにより、投擲の初速が劇的に上がっている。
(シュパッ!!)
「ぎゃああああっ!?」
木片が関節の隙間に正確にめり込み、リーダーの膝が砕ける。
「……。あんたらの『技術』は凄かった。でも、俺たちの師匠は、もっと理不尽なんだよ」
Cランクパーティを完封し、俺たちは静かに王都の門を潜った。
【リザルト:格上撃破・レベルアップ!】
■ 大翔:Lv 19 → 20
* 力:C
* 器用さ:C++ → B(格上の急所を的確に突く「極小投擲」を習得)
* 幸運:A
* 備考: レベル20到達。枝だけでなく、あらゆる「投擲物」の威力が向上。
■ ユフィ:Lv 14 → 15
* 魔力:B++
* 命中率:D → C(実戦での精密射撃により、制御能力がさらに向上)
* 元気:S
* 備考: 術式の無駄が削ぎ落とされ、低燃費で高火力を出せるようになった。
■ カスミ:Lv 14 → 15
* 魔力:C++
* あざとさ:A
* 知力:B → B+(敵の戦術を逆手に取る「道具(粉末)使用」を確立)
* 備考: 魔法と物理のハイブリッド・サポーターとして覚醒。
■ マリア:Lv 15 → 16
* 体力:B++
* 守備:B → B+(回避からのカウンターを覚え、防御性能が飛躍的にアップ)
* 素早さ:F
* 備考: 「避けられる重戦車」への道を歩み始める。
「……ふぅ。先輩、私の活躍、ちゃんと見ててくれました?」
カスミが汗を拭いながら、俺の肩に体重を預けてくる。
「……ああ、完璧だったよ。助かった、カスミ」
「……えへへ。大翔、私も! 私のズキューンって魔法もすごかったでしょ!?」
ユフィが反対側から抱きついてくる。
「……。よし、今夜は祝杯だ。マリアさん、好きなだけ肉を食っていいぞ!」
「リーダー……! その言葉、一生忘れません!」
王都の夕焼けが、一回り大きくなった俺たちの背中を照らしていた。しかし、その影で、王都の魔導院エルザ院長が、不敵な笑みを浮かべて水晶を見つめていた。
「……誠十郎の弟子、ね。面白い。次の『王都対抗戦』の駒として、使わせてもらうわよ」
続く
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