外伝:【修羅の通知】誠十郎、弟子の「バズり」に刀を震わせる
王都の片隅、静かな宿の一室。誠十郎は正座し、目の前の机に置かれた『魔導鏡』の端末を凝視していた。
画面には、昨日の王都街道での騒動が映し出されている。
『【速報】謎の「枝使い」大翔、王都に出現! 美女三人を従え、騎士団を串一本で無力化! #串の聖者 #枝チート #ハーレム』
誠十郎の眉間に、深い皺が刻まれる。
画面の中の大翔は、両脇をユフィとカスミに抱えられ、鼻の下を伸ばしながら、焼き鳥の串を投げて騎士の靴紐を縫い付けていた。
「……。あの莫迦弟子が」
誠十郎の手が、愛刀『一竿子忠綱』の柄へと伸びる。
彼が怒っているのは、大翔が目立ったからではない。美女を連れているからでもない。
「……。技が、鈍っている」
誠十郎の目には、大翔の串投げが、以前よりも「甘く」映った。
必中スキルに頼り切り、自らの身体能力と「気」の練り込みが疎かになっている。……それは、死に直結する甘えだ。
■ 誠十郎
* レベル: 24
* ステータス: 力:B+ / 器用さ:A+ / 体力:B / 素早さ:B+ / 魔力:G / 幸運:D
* 備考: ステータスB以降の壁(++)を、純粋な技量で突破しつつある怪物。
「……。王都の生温い空気が、あいつを骨抜きにしたか」
誠十郎は端末を指先で弾き、画面を消した。
そして、懐から一枚の便箋を取り出し、サラサラと筆を走らせる。
『大翔へ。
貴様の技、見るに堪えん。
明日の夜、王都外縁の『断絶の丘』へ来い。
――俺が直々に、その「枝」を叩き折ってやる。
遅れたら、その美女三人の前で、貴様を全裸にして吊るす。
誠十郎』
それは、果たし状という名の、地獄の再教育の通告だった。
「……。さあ、大翔。お前の『邪道』が、俺の『正道』にどこまで通用するか……。死ぬ気で掛かってこい」
誠十郎は刀を帯に差し、静かに部屋を出た。
その背中からは、王都を襲ったどの魔物よりも、昏く、鋭い殺気が溢れていた。
(外伝・完)
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