第19話:王都地下遺跡・潜入! カスミの策略と「あざとい」盾
エルザ院長に案内されたのは、王都の地下に広がる古代遺跡『忘却の迷宮』の入り口だった。
「……あ、大翔先輩。危ないですよ?」
不意に、袖をクイクイと引かれた。振り返ると、カスミが上目遣いで俺を見つめ、細い指先で足元の石畳を指していた。
「……? なんだ、カスミ」
「ここ、魔力トラップの残滓があります。……気づかずに踏んで、先輩が怪我でもしたら……私、悲しいです。ね?」
小首を傾げ、計算され尽くした角度で微笑むカスミ。だが、その瞳の奥では魔導書の数値を冷徹に読み取っている。
■ カスミ
* レベル: 10
* ステータス: 魔力:C / あざとさ:B+ / 器用さ:D / 幸運:C
* 備考: 魔力が最も高いが、それを「守ってあげたくなる後輩」の演出に利用する策士。
「……そ、そうか。助かったよ、カスミ。……よし、マリアさんは前、ユフィは俺のすぐ後ろ。カスミは俺の合図でトラップを中和してくれ」
「はいっ、先輩の指示なら、私、頑張っちゃいます」
大翔の指示に従い、暗い通路を進む。
不意に、壁の隙間から古代の防衛機構『センチネル・アロー』が作動した。
「マリアさん、右! カスミ、トラップの起点を叩け!」
「えいっ! 『魔力干渉』!」
カスミが放った精密な魔力の礫が仕掛けを停止させる。弾かれた矢をマリアが盾で弾くと、カスミはわざとらしく俺の背中に隠れるようにして、裾をギュッと握りしめた。
「……ひゃっ。……怖かったです、先輩。……守って、くれますよね?」
「……いや、今のはお前が止めたんだろ。つーか、近いぞカスミ」
「あはは、大翔、カスミちゃんにデレデレしちゃダメだよぉ!」
ユフィが頬を膨らませるが、カスミは涼しい顔で「あら、ユフィさん、足元がふらついてますよ? 運動不足ですね」と毒を吐く。
やがて俺たちは、広大な円形ホールに辿り着いた。そこには、魔法銀の巨躯を持つ守護騎士『センチネル・アーマー』が鎮座していた。
「グオォォォォン!!」
「物理耐性が高い相手だ。……マリアさん、正面で受け流せ! カスミ、奴の関節に魔力を集中させて、装甲を浮かせてくれ!」
「……先輩のお願いなら、全力で応えますね。……はぁぁっ! 『魔力圧搾』!」
カスミが両手を胸の前で合わせ、祈るようなポーズで魔力を練り上げる。
一点に凝縮された魔力がセンチネルの膝装甲を無理やり押し上げ、内部の精密機構を露出させた。
「今だっ! 必中スキル、発動! ターゲット――内部の歯車に、この『高粘度アブラナの枝』を叩き込む!」
シュパッ!
俺が投げた枝が、剥き出しの隙間に吸い込まれる。粘着質の樹液が絡みつき、魔法銀の巨体がガクガクと停止した。
「……トドメだ、ユフィ! 燃やせ!」
「おまかせぇっ! 『きらきら星の……えいっ!』」
ユフィの魔法が炸裂し、内部から炎が噴き出す。崩れ落ちるセンチネル。
「……ふぅ。お疲れ様です、大翔先輩。……あ、顔に煤がついてますよ? 取ってあげますね」
カスミはハンカチを取り出し、俺の頬を丁寧に拭う。その距離、わずか数センチ。
「……あ、ありがとう。……カスミ、お前の解析がなきゃ、あの隙間は見えなかったよ。助かった」
「ふふ、先輩に褒められるのが、私にとって一番の報酬です。……でも、魔石の管理は私がしますね。……マリアさん、よだれを拭いてください。はしたないですよ?」
「……っ。カスミさん、私にだけ厳しくないですか!?」
俺を立てつつ、ちゃっかり主導権を握るカスミ。
王都の地下遺跡は、魔物よりも、この「あざといサポーター」のペースに巻き込まれる方が、俺にとっては危険な場所になりそうだった。
【レベルアップ!】
大翔:Lv 14 → 15
カスミ:Lv 9 → 10
(魔力が向上。大翔へのアプローチのバリエーションも増加?)
ユフィ:Lv 9
マリア:Lv 11
(続く)
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