第18話:王都到着! 誠十郎の「負の遺産」と、魔導院の真意
ユフィが作った土砂崩れの壁を、マリアの力押しと俺のテコの原理(太い枝を使用)でなんとか突破し、俺たちはついに王都アラバスタの巨大な城門を潜った。
「わぁぁ……! 建物が全部白い! お城が空に浮いてるみたい!」
「……すごいです。魔力の密度が、今までの街とは比べものになりません」
ユフィとカスミが目を輝かせる。一方、マリアは別の意味で目を光らせていた。
「リーダー、見てください! あの露店のパイ、信じられないほどいい香りがします! あれこそ王都の守護神、救世のパイに違いありません!」
「落ち着けマリアさん。まずは魔導院だ。招待状があるんだから、先に向こうを片付けるぞ」
俺たちは通行人に場所を聞きながら、街の中央にそびえ立つ白亜の巨塔『星読の塔』――王立魔導院へと向かった。だが、歩みを進めるにつれ、周囲の騎士たちの視線が妙に突き刺さることに気づく。
「……おい、あの腰の双剣。まさか、あの『無慈悲な侍』の……」
「例の招待状の相手か。ふん、師匠があれなら、弟子もさぞ傲慢なんだろうな」
ヒソヒソという不穏な声が聞こえてくる。
「(……誠十郎さん、あんた王都で一体何をやらかしたんだ?)」
不安が的中した。魔導院の入り口で、俺たちの前に立ちはだかったのは、顔中に痣を作った数人の近衛騎士たちだった。
「貴様が、誠十郎の弟子か。……我ら騎士団を『鉄の棒』と罵ったあの男の、唯一の身内だな」
「は? 鉄の棒……? すみません、うちの師匠が口が悪くて。……って、俺に当たられても困るんですけど」
「黙れ! 師の無礼は弟子の責任だ。……ここで、お前の実力を試させてもらう!」
一触即発。騎士が剣を抜こうとしたその時、背後の扉が開き、一人の女性が姿を現した。
「そこまでになさい。……彼は、私が招いた大切なお客様よ」
凛とした声。現れたのは、純白のローブを纏った魔導院院長、エルザだった。
「……貴方が大翔君ね。誠十郎から聞いていた通り、面白そうな目をしているわ」
「エルザ院長……。誠十郎さんの知り合いですか?」
「ええ、少しね。……さあ、中へ。貴方にどうしても見せたいもの……そして、貴方にしか頼めない『仕事』があるの」
エルザの瞳は、笑っているようでいて、獲物を見定めているような鋭さがあった。
【現在のパーティステータス】
■ 大翔
* レベル: 14
* ステータス: 力:D+ / 器用さ:C+ / 幸運:A
* 備考: 誠十郎のせいで、王都騎士団からのヘイト(敵意)を初期値MAXで受けている。
■ マリア
* レベル: 11
* 状態: 【極限空腹】。エルザの豪華なローブが、美味しそうな高級パンに見え始めている。
■ ユフィ
* レベル: 9
* 状態: 転びすぎて、膝に絆創膏が増えた。
エルザに案内された塔の最上階。そこには、巨大な水晶に映し出された「世界の歪み」が脈動していた。
「誠十郎は今、この歪みの元凶を一人で追っているわ。……でも、彼一人では手が届かない『領域』があるの」
「俺に、何をしてほしいんですか?」
「……『邪道』でしか救えない命がある、と言ったら、協力してくれるかしら?」
エルザが差し出したのは、王都の地下に広がる未踏の古代遺跡の地図だった。
俺の、そして俺たちの、本当の意味での「Dランク冒険者」としての戦いが始まろうとしていた。
(続く)
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