第16話:Dランク昇格と、跳ね上がる食費の壁
迷いの森の「怪異」を討伐し、無事に街へ帰還した俺たちを待っていたのは、ギルドマスター・バルカス直々の呼び出しだった。
「――よくやった。報告通り、あれは異界の歪みから生じた変異種だったようだな。お前たちの機転、特にその……『綿毛の枝』とやらの発想、高く評価させてもらう」
バルカスはガハハと笑いながら、俺たちの冒険者証を預かり、専用の魔道具に差し込んだ。
「約束通り、お前たちパーティ『白星の枝』をDランクへ昇格させる。これからは『初級』を卒業し、一歩先の依頼も受けられるようになるぞ」
【昇格! Dランク冒険者へ】
大翔:Lv 12 → 13
(経験値1.2倍の効果により、成長速度がさらに加速)
ユフィ:Lv 8 → 9
カスミ:Lv 8 → 9
マリア:Lv 10 → 11
【現在のパーティステータス】
■ 大翔
* レベル: 13
* ステータス: 力:D+ / 器用さ:C+ / 幸運:A / 素早さ:D+
* 備考: 道具(枝)の扱いと体術の連携が洗練されてきた。
■ ユフィ
* レベル: 9
* ステータス: 魔力:B / 命中率:G / 幸運:D
* 備考: 魔法の威力は中級者に匹敵するが、燃費が相変わらず悪い。
■ マリア
* レベル: 11
* ステータス: 体力:B+ / 力:C / 守備:B
* 備考: 盾役として完成度が高まる一方、食欲もDランク級へ。
「やったぁぁ! ついにDランク! これでもう『新人』なんて呼ばせないもんね!」
ユフィがぴょんぴょんと跳ね回る。カスミも、どこか誇らしげに新しい銀色の縁取りがついた冒険者証を見つめていた。
「……ですが、先輩。Dランクになったということは、受ける依頼の危険度も跳ね上がるということです。気を引き締めないと」
「ああ、わかってる。それに……」
俺は、バルカスから手渡された「金貨30枚」の入った袋を見つめた。
「……マリアさんの昨夜の食費、まだ精算してないんだよな」
「リーダー! Dランク昇格のお祝いは、やはり『ドラゴンの尻尾の燻製』でしょうか!? それとも『霜降りオーク肉の丸焼き』……?」
マリアさんが、キラキラとした碧眼でこちらを見つめてくる。彼女の胃袋からは、もはや猛獣のような咆哮が聞こえていた。
「……マリアさん。悪いが、今回は『屋台の串焼き10本』で勘弁してくれ。俺たちの活動資金が底をつく」
「なっ……! そんな、殺生な! 私の盾は、お肉によって支えられているのですよ!?」
そんな騒がしいやり取りをしていると、ギルドの入り口から一人の伝令が駆け込んできた。その手には、豪華な装飾が施された封書が握られている。
「大翔さん! 王都の『騎士団直属・魔導院』から、貴方たちに宛てた招待状が届いています!」
「……王都? 魔導院?」
俺たちは顔を見合わせた。
ただのDランク冒険者に、国の最高機関から直接連絡が来るなんて、普通ならあり得ない。
「(誠十郎さん……あんた、まさか王都で何かやらかしたんじゃないだろうな?)」
俺の脳裏に、あのストイックすぎる侍の背中が浮かぶ。
予感は的中していた。誠十郎がソロでBランク、Aランク級のダンジョンを次々と更地にしているという噂が、王都の耳に届き始めていたのだ。そして、その「唯一の弟子」である俺にも、スポットライトが当たり始めていた。
「……よし。行くしかないな、王都へ」
俺は腰の双剣と、予備の枝が詰まったポーチを確認し、仲間たちに告げた。
初級の街を卒業し、物語の舞台は、より巨大で陰謀渦巻く王都へと移り変わろうとしていた。
続く
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