第12話:初級ダンジョン最下層! 暴走する鉄塊と、マリアの真価
初級ダンジョン『黄昏の穴倉』の最深部。
重厚な石扉の先に待っていたのは、この迷宮の主、**『グレートゴーレム』**だった。
体長3メートル。鈍く光る岩石の体に、魔力のラインが血管のように走り、赤い単眼が俺たちを捉える。
「……っ。デカいな。おい、マリアさん、いけるか!?」
俺が声をかけると、最前線に立つマリアさんが巨大な盾を構え直した。
【新メンバー:マリア】
彼女は、一言で言えば「凛とした美貌を持つ、肉体派の聖騎士」だ。肩まで届くウェーブがかったプラチナブロンドに、意志の強さを感じさせる碧眼。 女性としてはかなり長身で、白い法衣の上に銀の重装甲冑を纏っている。物語で見るような戦乙女のような美人だが……今は空腹のあまり少し肩が落ちているのが残念なところだ。
「……ふぅ。お任せください、リーダー。私の胃袋……ではなく、この盾に誓って、皆さんを傷つけさせはしません!」
「グオォォォォン!!」
ゴーレムが巨大な岩の拳を振り下ろす。
マリアさんはそれを真っ正面から盾で受け止めた。
(ドガァァァァン!!)
凄まじい衝撃音が響き、地面に亀裂が入る。だが、マリアさんは一歩も引かない。
「くっ……重い! ですが……耐えます! 『聖なる防壁』!」
マリアさんの全身が淡い光に包まれ、ゴーレムの連撃を弾き返す。
「よし、ナイスだマリアさん! ユフィ、カスミ、今のうちに最大火力を叩き込め!」
「了解! 大翔、これでもくらえぇぇ! 『キラキラ銀河の大爆発』!」
「先輩、私も魔力を上乗せします! 『聖なる強化』!」
ユフィの放った、もはや爆発というよりは「光の暴力」に近い魔法がゴーレムの胴体を直撃する。
(ドォォォォォォン!!)
土煙が舞い、ゴーレムの岩の体が大きく削れた。
だが、敵もさるもの。
剥き出しになった魔石の核が赤く発光し、ゴーレムが暴走状態に突入した。その拳が、マリアさんのシールドを無視して横からユフィたちを狙う。
「あ、危ないっ!?」
「ユフィ、カスミ!」
俺は懐から、今日のために用意した「とっておきの太い枝」を抜き放った。
「誠十郎さんに基礎を叩き込まれた俺の、集大成だ……! 必中スキル、発動! ターゲット――ゴーレムの唯一の関節、肘の隙間!」
シュパッ!
空気を引き裂き、俺の全力で投げられた枝が、猛スピードでゴーレムの右肘の継ぎ目に突き刺さる。
(メキメキッ!)
ただの枝のはずが、ピンポイントで駆動系を阻害されたゴーレムの腕が、ガクンと止まった。
「……今だぁッ! マリアさん、トドメ!」
「はぁぁぁぁぁッ! 『聖なる一撃』!!
マリアさんが全身の体重を乗せ、聖なる魔力を纏わせた盾でゴーレムの核を粉砕した。
轟音と共に、巨躯が崩れ落ちていく。
【レベルアップ!】
大翔:Lv 9 → 11
(ついに二桁突入! 経験値1.2倍の効果が爆発中)
ユフィ:Lv 6 → 8
カスミ:Lv 6 → 8
マリア:Lv 7 → 9
【現在のパーティステータス】
■ 大翔
* レベル: 11
* ステータス: 力:D+ / 器用さ:C / 魔力:G / 素早さ:D / 体力:E+ / 幸運:A
* 備考: 誠十郎の特訓と実戦により、全体的に基礎スペックが底上げされた。
■ マリア
* レベル: 9
* ステータス: 力:D+ / 器用さ:F / 魔力:D / 素早さ:G / 体力:B / 幸運:E
* 備考: 初のボス戦を経て体力がBに到達。タンクとしての信頼度が増した。
「……ふぅ。やりましたね、リーダー」
マリアさんが兜を脱ぎ、プラチナブロンドの髪をさらりと流しながら微笑む。その姿は、本物の女神かと思うほど美しい。
「ああ、助かったよマリアさん。……って、おい、どこ行くんだ?」
マリアさんはフラフラと、崩れたゴーレムの影へ歩いていく。
「……そこに……誰かが落としたと思われる……『カニパン』のようなものが……」
「拾い食いしようとするな! 聖騎士のプライドはどうしたんだよ!」
俺たちは、念願の初級ダンジョン制覇を果たした達成感と、それ以上に増大する「食費」への不安を抱えながら、地上へと帰還した。
(続く)
面白いと思ったら、下の☆で評価していただけると励みになります




