第11話:マリア加入! 聖騎士の盾と、食費の危機
「はふはふ……っ! ふぉ、ふぉいひいです、貴公! この干し肉、噛めば噛むほど慈愛の味がします……!」
ダンジョン中層の安全地帯。
先ほど助けた聖騎士――マリアさんは、俺が差し出した携帯食料を涙目で頬張っていた。
「……あの、マリアさん? 落ち着いてください。喉詰まらせますよ」
俺が呆れ半分で水筒を差し出すと、彼女はそれをひったくるように受け取り、豪快に飲み干した。
「ぷはぁっ! 助かりました……。不覚です。まさかダンジョン内で財布を落とし、三日間も絶食することになるとは……。騎士の矜持、ここに極まれり、です」
「……三日間もこれで戦ってたのか。逆にすげぇな」
空腹でフラフラになりながら、あのオーガの群れを一人で食い止めていた執念には、少しだけ尊敬の念を覚える。
「先輩、この人……ステータスだけ見ると、私たちのパーティに足りない『壁』として理想的ですよ。ただ、ちょっと……燃費がアレですけど」
カスミが水晶板を操作し、マリアの数値を皆に共有する。
■ マリア
* レベル: 7
* ジョブ: 聖騎士
* ステータス:
* 力: D
* 器用さ: F
* 魔力: E
* 素早さ: G
* 体力: C+
* 幸運: E
* 備考: 防御と耐久に特化。ただし鈍足で、空腹になると全ステータスが激減する。
「……よし。マリアさん、もしよければ俺たちのパーティに入りませんか? 俺たちは前衛の盾役を探してるんです」
俺の提案に、マリアさんはパッと顔を輝かせた。
「本当ですか!? 貴公のような慈悲深いお方に誘っていただけるなんて……! ああ、神よ感謝します。これでようやく、飢え死にの恐怖から解放される……!」
「あ、動機が完全に『食』だぞ、この人……」
ユフィがジト目で見るが、本人は気にする様子もなく俺の手をがっしりと握りしめた。
「お任せください、リーダー! 私の盾がある限り、指一本触れさせはしません! その代わり……夕飯は大盛りでお願いしますね!」
◇
四人体制になった俺たちは、中層のさらに奥へと進む。
新陣形:最前衛にマリア、遊撃に俺、後衛にユフィとカスミ。
「来ますよ! 左右から『アイアンエイプ』が4体!」
カスミの警告と同時に、鋼のような毛並みの猿たちが襲いかかってきた。
「ふんぬぅぅぅッ! 我が神聖なる盾、通してみせよ!」
マリアが巨大な盾を構え、正面から突っ込んできた2体をガチィィン! と弾き止める。
「……っ、重い……。ですが、耐えてみせます!」
「ユフィ、右だ! 俺は左をやる!」
「了解! 『きらきら星の爆光』!」
ユフィの魔法が炸裂し、右側の敵を足止めする。俺はその隙に、誠十郎さんとの特訓を思い出しながら、一気に踏み込んだ。
「――せいやッ!」
(ザシュッ!)
よし、手応えあり! 以前なら弾かれていたはずの肉厚な皮膚を、アイアンツインブレードが確実に切り裂く。
だが、残りの1体がマリアの死角から飛びかかろうとした。
「マリアさん、右後ろ!」
「えっ!? しまった、体が重くて反応が――」
マリアは防御力は高いが、小回りが利かない。俺は咄嗟に懐から「予備の木の枝」を抜き放った。
「必中スキル、発動! ターゲット――猿の目玉!」
シュパッ! と飛んだ枝が、アイアンエイプの右目にジャストミートする。
「ギョエッ!?」
悶絶して転がる猿。
「今のうちにトドメだ、マリアさん!」
「はいっ! 聖なる衝撃!」
ドゴォォン! と盾で叩き潰され、最後の敵が沈んだ。
「ふぅ……。お見事です、リーダー。今の枝投げ……まさに神業ですね」
マリアが感心したように俺を見る。
「まあ、俺の生き残るための知恵だからな。……でも、マリアさんがいてくれると助かるよ。これで作戦の幅が広がる」
「ええ! 私も全力で皆さんの盾となります! ……ところでリーダー、お祝いに……高級な肉を……」
「……合格祝いの時にたっぷり食わせてやるから、今は進むぞ!」
俺の叫びがダンジョンに響く。
頼もしい盾役が加わったのはいいが……どうやら俺の「経験値1.2倍」で稼いだ報酬の多くは、彼女の胃袋へ消えていくことになりそうだ。
【レベルアップ!】
大翔:Lv 8 → 9
ユフィ:Lv 6
カスミ:Lv 6
マリア:Lv 7
(続く)
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