第10話:迷宮の空腹聖騎士と、鉄壁の守護
「はぁ、はぁ……! クモの次はスケルトンかよ! 骨の分際で硬すぎだろ!」
俺たちは『黄昏の穴倉』の中層、入り組んだ石造りのエリアにいた。
誠十郎さんとの特訓のおかげで、双剣での受け流しや身のこなしはマシになったが、やはり正面からパワーで押し切られるとキツい。俺の力では、重厚な盾を持つ魔物相手には決定力が足りないんだ。
「大翔、下がって! 『お星様のきらきらシャワー(スター・レイン)』!」
ユフィが杖を振ると、天井から光の粒が降り注ぎ、スケルトンたちの骨をバラバラに粉砕した。
「……はぁ。やっぱり、双剣だけじゃ効率が悪いな。必中スキル、発動!」
俺は砕けたスケルトンの肋骨を拾い、残った敵の眉間に叩き込んだ。
「ギシャッ!?」
骨で骨を討つ。これぞ大翔流リサイクル戦術だ。
「先輩、最後の一体です! 『聖なる光』!」
カスミがトドメの一撃を放ち、通路の敵を全滅させた。
その瞬間、俺たちの体が温かい光に包まれる。
【レベルアップ!】
大翔:Lv 6 → 8
ユフィ:Lv 5 → 6
カスミ:Lv 5 → 6
【現在のパーティステータス】
■ 大翔
* レベル: 8(経験値1.2倍により先行)
* ステータス: 力:D / 器用さ:D+ / 魔力:G / 素早さ:E+ / 体力:E / 幸運:A
* 備考: 誠十郎の指導により基礎が向上。
■ ユフィ
* レベル: 6
* ステータス: 力:F / 器用さ:G / 魔力:C+ / 素早さ:F / 体力:F / 幸運:D
* 備考: 高火力広範囲魔法を習得。
■ カスミ
* レベル: 6
* ステータス: 力:G / 器用さ:F / 魔力:D+ / 素早さ:E / 体力:G / 幸運:D+
* 備考: 補助魔法の持続時間が延長。
「よし! 俺だけ一気にレベル8だ。やっぱり経験値1.2倍は神スキルだな!」
「えぇーっ、ずるいよ大翔! ちゃんと私を守ってよね!」
「ふふ、先輩。レベルが上がった分、頼りにしてますね?」
そんな会話をしながら角を曲がった直後。
「――さがれッ! ここは私が食い止める!」
凛とした、だがどこか切羽詰まった女性の声が響いた。
見れば、通路の先で一人の女性騎士が、数体のオーガを相手に巨大な盾を構えて立ちはだかっていた。
純白の法衣に銀の甲冑。見事なプロポーションの聖騎士……なのだが。
(ぐぅぅぅぅぅ~~~……)
静かなダンジョンに、凄まじい「腹の虫」の音が響き渡る。
「……っ。空腹で、盾が……重い……。ですが、民を護るのがパラディンの……務め……ッ!」
「おい、お姉さん大丈夫か!? 加勢するぞ!」
俺が双剣を抜いて飛び出すと、彼女――マリアは必死の形相でこちらを振り返った。
「貴公! もしや……食べ物を持っているのか!? 慈悲深い神に代わってお命じします! 私に……私に、携帯食料を……肉をください……!」
「いや、命令かよ! つーか、近い! 顔が近いってお姉さん!」
マリアは俺の腕をがっしりと掴むと、オーガの棍棒を盾で弾き飛ばしながら、涙目で食い扶持を求めてきた。この人、腹が減りすぎて、守備力以外のステータスが死んでる……!
「……はぁ。カスミ、バフだ! ユフィ、こいつらを一掃するぞ!」
これが、俺のパーティの「鉄壁の守護神(兼トラブルメーカー)」となるマリアとの、空腹に満ちた出会いだった。
続く
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