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藤吉郎におまかせあれ  作者: ヤブ医者
美濃奪取斎藤家滅亡編
14/35

稲葉山城奪取事件

第1章天才軍師


市と長政の結婚から数日後歴史的大事件が

起こった。


清洲城 評定の間


その知らせは突然舞い込んだ。

「大変にございます!」

兵士が声を荒げて部屋に駆け込んできた。

辺りは困惑している。

信長は

「どうした?」

「稲葉山城が陥落いたしました!」

『なんだと!』

『どこのどいつが?』

辺りは騒然とした。

それはもちろん信長もだ。

信長は

「俺があんなに落とせなかった城をか!?一体誰が?」

兵士は更に衝撃的な言葉を発した。

「それが、落としたのは竹中重治ら17名で…」

「17人っ!!」

信長は声を荒げた。

周りの家臣達もざわついていた。

それも無理もない。

稲葉山城は信長の姑斉藤道三が造り上げた最強の堅城、信長も今まで何度となく攻めたのだが一度も落とせていない。

信長は

「稲葉山城は今どうなっている?」

「はっ、稲葉山城は現在竹中重治によって占拠されております」

「龍興は?」

「斉藤龍興は陥落直前に逃げ出し無事との事」

辺りから安堵の声と残念という声が聞こえた。

だが信長は直ぐ様

「皆これから稲葉山へ行く!」

それに利家が

「戦ですか?」

「いや違う…」

信長はニヤリと笑った。


稲葉山城前


信長達約20人弱は初夏の太陽の元稲葉山城の前にやって来た。

恒興が信長に聞いた。

「殿、これからどうするのですか?」

信長は

「城を貰う」

「城を貰う!?」

恒興は目を見開いた。

その会話に可成が

「殿流石に苦労して落とした城を易々と

開け渡す等」

その可成の言葉に恒興が便乗して。

「そうでございます!流石に無理です!」

そんな二人に信長は食いついた。

「まだ分からないじゃ無いか!もしかしたら…」

「流石殿っ!!」

辺りに声が響いた。

声の方向を見るとそこには利家が立っていた。

利家は声を張り上げて

「流石ですっ!無理かもしれないその小さな可能性に懸ける!その心意気この戦国の世を生きるにはとても重要な事にございます!」

俺はそんな利家をあきれながら見ていた。

師匠も必死だなぁ。

まぁようやく出仕停止をとかれて信長様の自分への株を上げたいのは分かるけどあれじゃ下心見え見えだよ…。

だが信長は

「お前はそう言うと信じてたぞ!」

やっぱあの人うつけだ…

利家はどや顔だ

そんな利家に信長は

「よしお前が行ってこい!」

「は…?」

利家はすっとんきょうな顔をしている。

「利家、お前が稲葉山城を落としてこい!」

利家は顔を引き締め信長に

「はっ、心して参ります!」

利家は信長に頭を下げた。


稲葉山城 広間


「竹中様織田殿より使者が参っています」

竹中重治は広間で寛いでいた。

重治は首を傾げながら

「織田殿から?」

と聞いた。

「はい、前田利家と言う者です」

「前田利家…、通しなさい」

「はっ」

ガラッ

利家は襖を開けた。

利家は入るや否や竹中重治をギロリと睨んだ。

利家の悪い癖だ

だが重治はまったく動じず涼しげな顔で利家を見ている。

利家もそれで気が緩み部屋に入り座った。

利家は

「この度はお会いすることをお許しいただきありがとうございます」

重治は

「いえ、それより何のご用ですか?」

利家は拳を握り気合いを入れて

「用というのは重治様に頼みたい事があるのです」

「頼みたい事?」

重治は首を傾げた。

利家は息を吸い直し

「重治殿にこの稲葉山城を開け渡して頂きたい」

重治は驚きの余り固まった。

利家は気にせず続ける。

「この先、たった17人で戦国の世を生き抜くのは厳しいでしょう。だから皆様で織田家にきて頂きたい十分な地位も約束致します」

利家は勝ち誇った様な顔をしている。

だが重治は涼しげな顔で淡々と言った。

「お断りします」

「え…?」

利家は間抜けな声を出した。

重治は

「別にこの城を奪ったのは天下に名を轟かせようとしたわけ出はありません」

「では何故?」

「ただ主君龍興様に渇を入れたかっただけです」

「渇を…?」

「はい、家臣を城を過信しすぎて自分で何かを成そうとしない者に天下など取れぬと」

利家はポカンと口を開けて聞いていた。

重治は手を振りながら。

「ですから城は明け渡せませんお引き取りを」

だが利家は

「お断りします!そもそも理解出来ませぬ、確かに自分で何かを成そうとしない者は天下など取れませぬがその貴方のお考えは果たして龍興殿に届いたのでしょうか?」

重治は表情一つ変えない。

重治は利家の目をじっと見ながら。

「届く届かぬの問題ではありません。やる事に意味があるのです」

利家は更に食いつこうとしたその時

「黙れっ」

低い声と共に首もとに刀を突きつけられた。

利家は黙った。

その時重治が

「重矩やめなさい」

その声を聞き相手は刀を納めた。

重治は

「申し訳ございません。弟です」

竹中重矩、竹中重治の弟重治とは二つ違い。稲葉山城奪取の時は人質だった重矩が病気を装い武器を城内に運び込んだと言う。

重矩は

「出ていけ!さもなくば切るぞ!」

そして刀に手をかけた。

それを重治が手で制した。

そして利家に

「本当にこの城は渡せません。さっ、

お引き取りを」

と言った。

利家は若干へっぴり腰で逃げるように部屋を立ち去った。

利家が立ち去った瞬間

「ぶっははははっ」

突然重矩が笑い始めた。

重治は未だ毅然としている。

重矩は

「まったく傑作でしたな。あの者へっぴり腰で逃げて行った」

重矩はなかなかのおちゃらけ者なのだ。

重治は

「重矩やり過ぎだぞ」

「別に良いではないですか。それより何故この城を奪ったのです?確かに龍興はこのままでは家を滅ぼし兼ねませんが兄上の必死の訴えが通じるとも思えませんが?」

重治は重矩の目をまっすぐ見た。

そしてゆっくりと答えた。

「強いて言うなら『歴史』の為かな」

重治は笑った。

その笑いは背筋が氷つきそうなくらい怖かった。

重矩は

「歴史?何をおっしやるのです?」

と言って笑っている。

重治は

「そうじゃ戯れ言じゃ戯れ言じゃ」

そう言うと部屋を後にした。


稲葉山城前


城から利家がとぼとぼと戻ってきた。

利家は信長に気づくと駆け寄って来てひざま

ずいた。

そしてこれでもかという声で

「申し訳ありません!稲葉山城開城失敗致しました!この罪は死んで詫びまする!」

そう言うと短刀を抜き腹に突きつけた。

利家が切腹しようとしたその時信長が

「そうか、まぁそうだろうな」

その声は信長だった。

利家はポカンと信長を見ている。

信長は

「大義であった利家。さぁ帰るぞ!」

そう言って利家の肩をポンポンと叩いた。

周りの家臣は帰る準備を始めた。

俺は信長に近づいて言った。

「確かめたかったんですよね?竹中重治が一体どんな人間か」

「やはりお前には気づかれてたか。あぁそうだ俺は竹中重治を試した」

「それで重治はどんな男何です?」

信長はニッと笑うと

「将来俺の役にたつ男だ」

そう言ってどこかへ行ってしまった。

かくして歴史的大事件である稲葉山城奪取は幕を閉じたのである。


第2章一夜城計画1


清洲城 評定の間


稲葉山城奪取から一週間程過ぎ結局竹中重治は稲葉山城を斉藤龍興に返し自分は隠居してしまった。

そして今織田家では本格的に考え始めていた。

「やはり居城は移した方が良いでしょう」

そう信長に言ったのは勝家だった。

そんな勝家に信盛が

「しかしどこに移す?近すぎれば建設の際に敵に妨害されるしとは言え遠すぎれば意味がない」

そんな信盛の問に答えたのは長秀だった。

「墨俣はどうだ?」

その答えに周りから歓声があがった。

『おぉーっ』

『流石は長秀殿!』

勝家も長秀に感心しながら。

「確かに墨俣は小高い山の上立地も戦略的にも最適それに万一建設中に攻められても守り易い」

皆が信盛をべた褒めした。

その時信長が

「良し決まったみたいだな。じゃあ奉行は勝家で後長秀頼んだ」

勝家は威勢よく

「はっ!」

と答えた。

これで評定はお開きになった。


数週間後

清洲城 足軽兵舎


俺は自室で寛いでいた。

「暑っちー、この時代の夏もくそ暑いな」

と愚痴っていると。

「藤吉郎様っ!」

一人の兵士が部屋に駆け込んできた。

そのただ事じゃ無さそうな態度に俺は立ち

上がった。

そして恐る恐る

「どうした?」

兵士は勢い良く答えた。

「墨俣城築上!失敗致しました!」


清洲城 評定の間


部屋には針積めた空気が漂っている。

中心には土下座している勝家と長秀その前少し高くなった所に信長。

周りに家臣一同。

信長は涼しげな顔をしている。

が心境は読めない。

先程入った知らせ墨俣城築上失敗はつい昨日の

事だ。

昨日未明遂に築上に気づいた斉藤家は予想を超える兵力て建設現場を襲撃その兵力に勝家達は奮戦したものの虚しく負けてしまったという。

「申し訳ありません!」

勝家がその良く通る声で叫んだ。

長秀は何も言わず固まっている。

恐らく二人とも死を覚悟している。

だが信長は

「ははははっ、別に良い。元々そんな簡単な事じゃ無いんだ」

信長は笑いながら二人を許した。

家臣達も二人を咎めようという様子は無い。

二人は呆然としている。

そんな二人に信長は

「下がって良いぞ」

と陽気に言った。

勝家は

「ありがたく存じます!」

と叫んだ。

長秀は既に泣いている。

信長は優しげに頷いた。

二人は端にはけた。

二人がどいたのを見て信長が

「さぁ、次は誰が挑戦する?」

と聞いた。

だが誰一人名乗りでない。

それもそうだこの失敗で敵は警戒している。

そんな中で築上を成功させるのは困難を極める。

だが俺は迷っていた。

俺には築城を成功させる自信はある。

何故なら成功させる策があるからだ、だがその策は困難を極める。

果たして成功するだろうか?

いや最初から諦めたら意味がない疑問ではなく希望を見よう。

必ず成功する!

「信長様っ!」

俺は信長の前にひざまずいた。

辺りがざわついた。

信長は俺の事を見ている。

俺は

「俺に任せて下さい!」

信長は

「お前はやれる自信があるのか?」

「はい!但し条件があります」

「条件?」

「はい、金と米を沢山持たせて下さい」

「その見返りは?」

俺はふっと鼻で笑った。

そして高々と宣言した。

「墨俣城を一夜にして造り上げましょうっ!」

『何だと!』

辺りから驚きの声が上がった。

そして勝家が

「おい!お主!どうせ金を持って逃げるつもりだろっ!」

だが信長は

「うるさい!猿、本当にやれるんだな?」

「勿論です」

「ふっ、並ば任せた」

俺は信長を見上げ

「ありがとうございます」

と言った。


織田領 墨俣


「ここが墨俣…」

俺は策を実現すべく墨俣にやって来た。

まずここで現地の人材を確保する。

俺はその人材にこの辺りの土豪つまりヤクザを選んだ。

勿論そんな奴等だ説得は難しいしもしかしたら死ぬかもしれない。

それでも土豪を選んだのは土豪達の方がこの辺りの立地把握、戦力的にも使えると思ったからだ。

俺は気合いを入れた。

そして歩き出した。

「良し出陣だ!」

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