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最伍の伝説




 神奈川県在住の普通の高校生、タカシはどうやら伝説の勇者であり、世界を救う鍵であり、天空の導き人であり、最強の戦士であり、奇跡の大賢者らしい。





 数日間の長旅を経て、ようやく魔王の城へと辿り着いた一行。




 だが逆に言うとグラハイムから魔王の城まで人の足でもたった数日間で行けてしまう距離にあるということである。よく平気なものだ。





 タカシは普通の人間であったため、



 『うーん、だいぶ歩いたからもう静岡に入ったのかも知れないなあ。』



 と、考えていた。一体静岡をなんだと思っているのか。






 「どうしたタカシ?いまさら怖気づいたのか?」



 タカシに話しかけるハセダバ。



 「大丈夫、俺が守ってやるよ。俺たちゃ同志だからな。な?」



 ハセダバはいかにも、



 『お前もほんとは異世界人じゃないんだろ?おんなじなんだろ?』



 的なノリで話しかけてくる。一緒にするな。






 「じゃあみんな、これが最後の戦いだ!行くぞ!」



 「ええ!」



 「おう!」



 「うん。」



 タカシは空気を読んだからうんと答えたのではない。めんどくさいからうんと答えたのだ。





 さすが魔王の城というだけのことはあって、今までとは比較にならないほどの大量のモンスターが道を阻む。



 それらを剣で薙ぎ払うメキア。



 魔法で蹴散らすメリッサ。



 道具を駆使して戦うハセダバ。





 いいかんじの棒で壁をなぞりながら歩くタカシ。









 一気に魔王の部屋の前まで来てしまった一行。いやさすがにこれは弱すぎではないのだろうかここのモンスターたち。グラハイムといいここといいお城は総じてセキュリティが甘いのか?



 「メキア・・・行くんだな・・・?」



 急にシリアスな口調で言うハセダバ。



 「ああ・・・」



 「あいつだけは・・・許さない!」



 「今なら引き返しても間に合うわ・・・別の手段を探す時間もまだある!・・・それでも行くの?」



 「ああ・・・自分の手で奴を倒さない限り・・・」



 「俺の憎しみは 消えないんだ!」





 きっとメキアの両親は一日一個のおむすびのみで過酷な重労働を強いられているに違いない。台詞の言い間違いがなかったのが救いだろう。










 バンッ!!




 勢いよく扉を開けるとそこには魔王と思われる男が玉座に座っていた。



 「よく来たな。お前たちが来ることはすでにわかっていた。」



 ならもっとセキュリティに気を使うべきである。



 「さあ、かかってこい!人間ども!」



 「いくぞ!魔王ー!」



 魔王に名前はないのか?ベルゼバブとか。





 いきなり三人の集中砲火を浴びる魔王。



 「グアアアアァァァァァ!!!」



 え?もう?



 「まだまだだあ・・・俺の本当の姿を見せてやる!」



 煙の中から出てきたのは三つ首の巨大な龍だった。





 こう言ってはなんだが、まあよくある展開だ。





 「みんな!怯むな!!」



 そうメキアが叫び、再び三人の集中砲火を魔王に浴びせかける。



 「やったか!?」



 多分やってない。



 「もうそんな攻撃なぞ効かんわああああ!!!」



 ほらね。



 「うわあああああ!」



 「きゃあああああ!」



 「うおおおおお!」



 それぞれの首が強力な炎、冷気、電撃を吐き出し、それを食らってしまった三人。






 「つ・・・、強い・・・。」



 立つのもやっとのメキア。



 「まさか・・・、ここまでだったなんて・・・!?」



 服がボロボロのメリッサ。



 「こいつに勝つ術はないのか・・・?」



 もはや動けないハセダバ。



 『なんかすごいことになってるねー。』



 完全に他人事のタカシ。





 そもそもタカシはずっと魔王の背後にいるので何が起こっても問題がない。そう、タカシは魔王に無視られていたのだ。





 すると、タカシは魔王の後ろ足に目玉があることにふと気付く。



 『気持ち悪っ!』





 そう思ったタカシは急に魔王の足元まで走っていき、持っていたいいかんじの棒をその目に思いっきり突き立てた。





 「ガッ!ウグアアアアァァァァァ!!」





 急に悶え苦しみだす魔王。





 「今よ!」



 「いけぇ!」



 「俺の新しい技を見せてやる!」



 メキアは渾身の力で剣を振るう。



 「真・聖龍斬!!!」



 「ギャアアアアァァァァァ!!!!!」






 壮絶な断末魔とともに魔王は消えていった。





 「や、やった!やったぞ!!」



 喜びに沸く三人。



 いいかんじの棒を無くしたことを少し惜しむタカシ。





 「しかし、急にどうして・・・?」



 「タカシ、なにかしたの?」



 ハセダバとメリッサに聞かれる。



 「なんか足に気持ち悪い目があったから突いてみたくなった。」




 一体どこからその発想が湧いてくるのか。




 「そうか、思い出したぞ!」



 メキアが急に大声をあげる。



 「魔王には弱点となる目が体に隠されている。しかし、それを見つけることができるのはたったの一人、と。」



 だがそれは要するに魔王に戦力外と見られて背中を向けられたやつだけがその目を見つけられる、とかいうオチではないのか?



 この世界で唯一妥当な判断を下したのにその結果やられる。なんだか魔王が不憫でならないのだが。



 「そう、それこそが神の使わす救世主、イボ・ノイトだ!」





 こうして、タカシは最終的にそうめんのような名前の英雄に落ち着いた。










 急にタカシの体を光が包み込みだす。



 「もう・・・行くのね・・・。」



 そうらしい。



 「元気でな、同志よ。」



 お前はこれを見てもなお異世界人と信じないのか。



 「また会おう!今度は平和な世界で!!!」




























 信号は青に変わっていた。



 しかしタカシはしばらくその横断歩道の前で立ち止まっていた。倒れた自転車を起こそうともせず。












 「あれ?お前にしては来るのちょっと遅くね?何かあったのか?」



 「・・・、世界を救ってた。」



 「・・・、は?」



 「まあいいや。とりあえず格ゲーしようぜ。これ最近買ったばっかのやつだけどずっとやりこんでるから俺けっこう自信あんだよ。お前これ得意か?」



 タカシはふと、自分が掛けているネックレスに気付き、こう言う。







 「負けはしないな。」






fin






これであっさりと終了です。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。


最後は露骨なパロディが入りましたが個人的には入れるかどうか微妙なラインでした。

でも、これは小説を読む人のためというより漫画やアニメを見る人向けに書いた部分が大きいのでらしい感じに仕上がったのでは、とも思っています。

そもそもこれは小説ではなく漫画をひねりなく直接文章にしたもの、というのが正しいですけどね。

全5話でさらに1話1話が短いのもあまり本を読まない人向けだから?

嘘です。単に書く能力と気力が足りなかっただけです。


今後また作品を書くことがあればそのときはよろしくお願いします。




誰も見ねーよとか言うな・・・正論すぎるだろ・・・

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