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異世界で街づくり!気合でがんばるぞ!  作者: 吉田松陰(本物)
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第7話 少ない手がかり

 それから、舞は残された本と日記を読み込んだ。


「へえ……」


 地理。


 一般常識。


 そして、賢者の日記。


 賢者が残したものは、決して多くはなかった。


 それでも、この世界の基本的な形はある程度つかめた。


「この国……というか、この辺りは魔力圏《まりょくけん》っていうらしいな」


 地理の本には、そう書かれていた。


 どの国にも属さない、特殊な地域。


 空気中の魔素濃度が高く、危険な魔物も多いという。


「賢者さんは、ここに住んでたのか」


 なぜ、そんな場所に。


 日記を読み進めると、少しずつ理由が見えてきた。


 娘の療養のため。


 魔力の豊富な場所の方が、身体に良いと考えたらしい。


「……そういうことか」


 舞は日記を閉じた。


 そして。


「これで、大体は分かったかな」


 賢者について。


 娘について。


 召喚の経緯について。


 最低限の情報は、もう頭に入っている。


 けれど。


「……魔法とか、魔物とか、錬金術とか」


 専門的なことは、ほとんど分からないままだ。


 本棚を見回しても、それらしい専門書はない。


「これ以上は、本を読んでても分からなさそうだな」


 舞は少し考えて、結論を出した。


「なら、外に出て自分で確かめるしかないか」


 幸い、自分には知識がある。


 前世の化学や物理の知識。


 そして、ガレリア。


 本がなくても、目の前のものを観察して、考えて、試すことはできる。


「賢者さんも、きっとそうやって色々調べてたんだろうな」


 残された実験器具や、断片的なメモを見ていると、そんな気がした。


 体系立った研究書がないのは、恐らく――娘の看病に時間を取られて、まとめる余裕がなかったからだろう。


 舞はそう推測した。


 正しいかどうかは、分からない。


 でも、今はそれでいい。


「……水と食料」


 生きていくなら、まず必要になる。


 水は作れる。


 H₂O。


 水素と酸素を反応させるなら、


2H₂ + O₂ → 2H₂O


 理論上はこれでいい。


 だが。


「……わざわざ作る?」


 舞は考える。


 空気中には水蒸気がある。


 ならば。


「最初からある水を集めた方が楽だよね」


 ガレリアで空気中の水分子を集める。


 試してみる。


 少量の水が集まった。


「できた」


 ただし。


「湿度が低かったら効率悪そう」


 それに、長期間生活するなら水に含まれるミネラルなども気になるし、毎回スキルで作るのも手間だ。


「やっぱり自然の水源が欲しいな」


 沢。


 湧き水。


 川。


 そういう場所を探す必要がある。


 食料も同じ。


 最悪。


 木や植物からセルロースを取り出して、ブドウ糖など必要な成分へ再構成する。


 これを利用する方法も考えられる。


「生きるだけなら……まあ、なんとかなるか」


 でも。


 舞はしばらく黙って。


「……美味しいもの食べたい」


 そこは重要だった。


 せっかく異世界に来たのだ。


 食事まで諦めたくはない。


「よし」


 舞は立ち上がった。


「森を調べよう」


 小屋の周辺。


 まずはそこから。


 水。


 食料。


 植物。


 動物。


 魔物。


 地形。


 地質。


 安全な場所。


 一つずつ調べる。


 舞は賢者の地図を広げた。


「フィールドワーク開始だね」

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