表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の森にダークエルフが倒れていたから助けてみた  作者: 積と和〝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/14

第8話 魔王軍の砦

 王都を出てから二日。

 北へ向かう道は、だんだん荒れてきていた。

 環境がひどくなる前に食事だけはすませる。

 それでも草は枯れ、木は黒くねじれ、空気も重い。

 レオナ騎士団長が言った。

「ここから先が魔界領域だ」

 馬車を止める。

 遠くに黒い城のような建物が見えた。

「第一砦」

 城壁の上には魔族の兵士。

 数十人はいる。

 リィゼが言った。

「多い」

 レオナも真剣な顔。

「普通はここで軍隊が止まる」

 俺は聞いた。

「殴ればいいのか?」

 レオナは少し考えた。

「……やってみるか」


 砦の前。魔族の兵士が叫んだ。

「止まれ!」

 槍を向けてくる。

「ここは魔王軍の領地だ!」

 リィゼが俺に聞く。

「どうする?」

 俺は正直に答えた。

「腹減ってる」

 それだけ。兵士が怒鳴る。

「聞いているのか人間!」

 そのとき砦の門が開いた。

 重い足音。ドン、ドン。

 巨大な魔族が出てきた。

 高さ三メートル。斧を持っている。

 兵士が叫ぶ。

「砦長だ!」

 魔族は俺たちを見下ろした。

「貴様が」

 低い声。

「魔王様に呼ばれた人間か」

 俺は言った。

「たぶん」

 魔族は笑った。

「通すわけがない」

 斧を構える。

「ここで死ね」

 振り下ろす。

 ドゴォォォ!!

 地面が砕けた。

 だが斧は止まっていた、俺が片手で持っていた。

 魔族の目が飛び出る。

「な……」

 俺は言った。

「危ない」

 そして軽く押した。

 ドン。

 魔族は空を飛んだ。砦の壁を突き破り、向こう側に消えた。

 兵士たちが固まる。沈黙が支配する。

 リィゼが言った。

「道、できた」

 確かに。砦に大穴が開いていた。

 レオナ騎士団長が呟く。

「……軍隊いらないな」


 数分後。砦の中。

 魔族兵は全員、壁の陰からこちらを見ていた。

 誰も攻撃してこない。むしろ道を開けている。

 一人が小声で言った。

「通ってください……」

 俺は聞いた。

「いいの?」

 魔族は即答した。

「はい」

 リィゼが言った。

「優しい」

 たぶん違うぞ。


 砦を抜けたあと。

 レオナが馬を止めた。

「とてもじゃないが信じられない」

 俺を見る。

「砦を…五分で突破した」

 俺は言った。

「まだ殴ってない」

 レオナは頭を押さえた。

「それが一番怖い」

 そのとき。

 リィゼが空を見上げた。

「おじさん」

「ん?」

「見られてる」


 空に黒い鳥のような影。

 魔族の偵察だ。

 その鳥の目を通して――魔王城、玉座の間。

 魔王ベルザードが映像を見ていた。

 その隣で、少女が退屈そうにしている。

 魔王姫ルシア。彼女は言った。

「弱い。砦のやつら」

 魔王は笑った。

「まあな」

 ルシアは映像を見つめた。俺の姿をみてしばらく黙る。

 そして言った。

「でも」

 赤い目が光る。

「このおじさん、ちょっと面白い」


 魔王が聞く。

「どうする」

 ルシアは立ち上がった。黒いドレスが揺れる。

「迎えに行く」

 魔王は笑った。

「好きにしろ」

 その頃、俺たちは山道を進んでいた。

 リィゼが聞く。

「おじさん」

「ん?」

「甘いもの食べたい」

「わかる」

 その瞬間――前の空間が裂けた。

 バキィィィン!!

 黒い魔法陣が開く。

 レオナが剣を抜いた。

「敵襲!」

 そこから現れたのは。

 小柄な少女。

 銀髪。赤い瞳。黒いドレス。

 彼女は俺を見て言った。

「見つけた」

 リィゼが小さく呟く。

「……強い」

 少女はにっこり笑った。

「はじめまして」

 軽い声。

「私、ルシア」

 一拍。

「魔王の娘」

 レオナが凍りつく。

「魔王姫……」

 ルシアは俺を指差した。

「ねえおじさん」

 楽しそうに言う。

「ちょっと戦お?」

本日もう1話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ