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森の底に瀕死のダークエルフが落ちていた件  作者: 積と和〝


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第6話 おじさん、魔王と話す

 王城の窓の外。

 空一面に広がる巨大な魔法陣。

 王都グランベルの上空に、黒い雲のような魔力が渦巻いていた。

 城の中は騒然としている。

「魔王だ……!」

「本物の魔王……!」

 兵士が膝をつく。

 貴族たちは青ざめていた。

 賢者が震える声で言う。

「この魔力……間違いない」

「魔王ベルザード……」

 空から声が響く。

「人間よ」

 低く、重い声。

「私の将軍を倒したのは誰だ」

 王都全体が震えた。

 王様も言葉を失っている。

 全員の視線が――

 俺に集まった。

 俺はリィゼに聞いた。

「俺?」

「うん」

 ああ即答ね。

 じゃあ仕方ないか。俺は窓の前まで歩いた。

 そして空に向かって言う。

「俺だけど」

 王城の空気が凍った。

 兵士が小声で叫ぶ。

「言った!!」

「名乗った!!」

 空の魔法陣が揺れる。魔王の声が少し変わった。

「ほう……」

 興味を持ったような声。

「貴様が」

 魔力がさらに濃くなる。

 窓ガラスがビリビリ震える。

「黒竜グラディウスを倒した人間か」

「たぶんそれ」

 魔王は少し黙った。そして言った。

「名を名乗れ」

「佐倉潤也」

「サクラ……ジュンヤ」

 魔王はその名前をゆっくり繰り返した。

 数秒の沈黙。

 そして――

 魔王が言った。

「会おう」

 全員が固まる。

「……え?」

 魔王は続けた。

「今から王都に降りる」

 賢者が叫ぶ。

「まずい!!」

「魔王が降りれば王都は――」

 そのとき俺は言った。

「いや」

 空を見上げる。

「降りてこなくていい」

 魔王が少し驚いたようだった。

「ほう?」

 俺は言った。

「城壊れる」

 沈黙が数秒。

 そして――空から笑い声が響いた。

「フハハハハハ!」

 王都中に響く大笑い。

 兵士たちが震える。

 魔王は言った。

「実に面白い」

 魔法陣がゆっくり回る。

「では条件だ」

 声が低くなる。

「三日後」

 空が暗くなる。

「北の大地、魔王城へ来い」

 王城がざわつく。

「罠だ!」

「絶対罠!」

 魔王は続けた。

「もし来なければ」

 王都を見下ろす。

「この街を消す」

 脅迫である。

 俺はため息をついた。

「めんどくさい」

 リィゼが聞く。

「どうする?」

「どうするって」

 俺は答えた。

「行くしかないだろ」

 リィゼは少し笑った。

「旅行みたい」

 そのとき王女エレナが言った。

「私も行きます」

 全員が叫んだ。

「ダメです!!」

 王様が頭を抱える。

 賢者も言う。

「これは世界レベルの戦いです」

 リィゼが小声で俺に言う。

「おじさん」

「ん?」

「魔王って強い?」

 俺は少し考えた。

 頭の中に表示が出る。


【鑑定】

 魔王ベルザード

 危険度:中


 俺は軽く言った。

「まあまあ」

 リィゼが頷く。

「じゃあ大丈夫」

 その瞬間。空の魔法陣が消えた。

 魔王の気配も消える。

 静寂。

 王都に風が戻った。

 賢者が膝をつく。

「……信じられない」

 王様も呟く。

「魔王が……」

 そして全員が俺を見る。

 俺は言った。

「とりあえず」

 腹を押さえる。

「飯食おう」

 リィゼが頷く。

「それ大事」

 こうして――三日後。

 世界最大の戦いが始まる。

 場所は魔王城。

 だがこのとき、まだ誰も知らなかった。

 魔王城には――

 もう一人、世界を震わせる存在がいることを。

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