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森の底に瀕死のダークエルフが落ちていた件  作者: 積と和〝


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第4話 おじさん、王城に呼ばれる

本日の2話目です。読み飛ばしにご注意ください。

 王都グランベル。

 城門をくぐると、兵士たちがざわついていた。

「王女殿下だ!」

「ご無事で……!」

 金髪の少女――王女エレナは、少し困った顔で笑った。

「大丈夫です。彼らが助けてくれました」

 兵士たちの視線が一斉に俺に集まる。

 そして次にリィゼ。

 兵士の一人が小声で言った。

「……ダークエルフ?」

 俺は面倒になる前に言った。

「メシ、食わせてくれるなら王城行くが?」

 王女は笑った。

「はい、もちろんです」


 王城。

 やっぱりでかい。

 とにかくでかい。

 赤い絨毯に巨大な柱。

 シャンデリア。

「なあ、落ち着かないぞ」

 俺は小声で言った。

 リィゼが頷く。

「私も森のほうがいいな」

 案内されたのは大広間だった。

 玉座の前に、髭の立派な男が立っている。

 王様だろう。

「よくぞ娘を救ってくれた」

 王様は深く頭を下げた。

 周囲の貴族がざわつく。

「国王陛下が頭を……」

 俺は手を振った。

「たまたま通りかかっただけです」

 王様は笑った。

「その“たまたま”でSランク魔物を倒す者はいない」

 なるほど、確かにな。

 王様は続けた。

「報酬を与えよう」

 兵士が箱を持ってきた。

 重い蓋をゆっくりと開く。

 金貨ぎっしり。

「おお」

 リィゼが小声で言う。

「これ、一生遊べるくらいあるよ」

「マジか」

 そのときーー横から冷たい声がした。

「ですが、信用できません」

 貴族の男だ。

 細い目。いかにも嫌なタイプ。

「正体不明の男とダークエルフですよ」

 リィゼの空気が少し冷えた。

 男は言う。

「此度の王女誘拐も自作自演ではないのか?」

 場が凍る。俺は面倒くさくなった。

「証明すればいいのか?」

 男は嫌味たっぷりに笑う。

「できるものならな」

 そのとき。

 ドォォォン!! 城の外で爆発音が響いた。

 兵士が飛び込んでくる。

「報告!、ま、魔物です!」

「王都の門に――」

 兵士が叫ぶ。

「魔王軍の将軍、バルグラが出現!」

 広間が騒然となる。

 王様が立ち上がる。

「魔王軍だと!?」

 兵士が震えながら言う。

「しかも……、ドラゴンを連れています!」

 リィゼが小さく言った。

「さすがにそれはまずいわ」

 俺が聞く。

「そんなに強いの?」

「普通は国が滅びるレベルよ」

 なるほど。

 貴族の男がニヤニヤする。

「ではちょうどいい」

 俺を見て言う。

「その力、本物か試してみましょう」

 王様も真剣な顔で言った。

「頼めるか」

 俺は立ち上がった。

「いいけど」

 拳を鳴らす。

 ゴキッ。

「城壊しても怒らない?」

 王様は即答した。

「構わん!」

 リィゼが立つ。

「私も行く」

 王女エレナも言う。

「私も――」

 全員が止めた。

「それはダメ」


 数分後、王都の城壁。

 空には巨大な影ー黒いドラゴン。

 その背に鎧の男。

 魔王軍将軍バルグラだ。

「人間ども!」

 将軍が笑う。

「王都は今日滅びる!」

 ドラゴンが咆哮する。

 ゴオオオオ!!

 炎が城壁を焼く。

 兵士たちが震える。

「もう終わりだ……」

 そのとき。

 俺が前に出た。

「ねえ、おじさん」

 リィゼが言う。

「うん?」

「ドラゴン、どうする?」

 俺は空を見上げた。

「とりあえず」

 拳を握る。

【スキル《おっさんジャンプ》発動】

 地面が爆発した。

 俺は――空に飛んだ。

 兵士たちが叫ぶ。

「飛んだ!?」

 空中でドラゴンと目が合う。

「……え?」

 俺は言った。

「邪魔だ」

 そして…一発殴った。

 ドゴォォォォォン!!!!!!!

 衝撃波で雲が割れる。

 黒いドラゴンは――王都の向こうまで吹き飛んで消えた。

 しばし沈黙。

 城壁の上。兵士たちが固まる。

 将軍バルグラが震える。

「ば……化け物……」

 俺はまだ空中にいた。

「あ」

 落ちる。

 ドガァァン!!

 城壁に着地。

 リィゼが拍手した。

「ナイス」

 その瞬間ーー王都中が揺れる歓声に包まれた。

 こうして――

 王都最強の存在が決定した。

 ただ一人、世界最強のおじさんである。


 ーーー


 そしてちょうどその頃、遥か北の魔王城。

 玉座の魔王が報告を聞いていた。

「ドラゴンが……」

 部下が震える。

「拳一発で倒されました」

 魔王は静かに言った。

「……面白い」

 赤い目が光る。

「その人間、私が直接会おう」

 意図せず、でも少しずつ、世界が動き始めていた。

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