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森の底に瀕死のダークエルフが落ちていた件  作者: 積と和〝


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10/14

第10話 おじさん、魔王城の秘密を知る

 山道。テーブルの上にはケーキの山。

 魔王姫ルシアは三つ目を食べていた。

「うん」

 満足そうに頷く。

「人間界のお菓子おいしい」

 リィゼも黙々と食べている。

「甘い」

 俺は紅茶を飲んでいた。

「なんで魔王姫がケーキ好きなんだ」

 ルシアは肩をすくめた。

「魔界、甘いもの少ない」

 なるほど。

 レオナ騎士団長はまだ状況についていけていない。

「敵と……お茶会……?」

 騎士たちも完全に固まっている。

 そのとき。

 ルシアが急に俺を見た。

「そうだ」

 フォークを置く。

「おじさん」

「ん?」

「なんで魔王城に来るの?」

 俺は答えた。

「魔王が来いって言った」

 ルシアは首をかしげた。

「それだけ?」

「それだけ」

 ルシアは数秒考えた。そして笑った。

「そっか」

 リィゼが聞く。

「何?」

 ルシアは言った。

「たぶんね」

 空を見上げる。

「お父さん」

 少し楽しそうな顔。

「おじさんに会いたいだけ」

 レオナが叫んだ。

「は!?」

 俺も言った。

「え?」

 ルシアは平然としている。

「魔王って暇だから」

 とんでもない理由だった。


 その頃、魔王城の玉座の間。

 魔王ベルザードが腕を組んでいた。

 部下の魔族が報告する。

「姫様は人間と接触しました」

「現在ケーキを食べています」

 魔王はため息をついた。

「やはりな」

 部下が恐る恐る聞く。

「魔王様、本当に戦うのですか」

 魔王は少し考えた。

 そして笑った。

「いや」

 玉座にもたれる。

「戦うつもりはない」

 部下が驚く。

「ではなぜ――」

 魔王は言った。

「確認だ」

 窓の外を見る。遠い北の空。

「三百年前」

 静かな声。

「この世界を救った存在がいた」

 部下は首をかしげる。

「伝説の英雄ですか」

 魔王は首を振った。

「違う」

 低い声。

「もっと厄介な存在だ」

 そして呟く。

「もしあの人間が……」

 目を細める。

「同じ存在なら」


 山道。

 ケーキはほとんどなくなっていた。

 リィゼが最後の一個を取る。

 ルシアが言う。

「あ」

 リィゼが止まる。


 ルシアは笑った。

「半分こ」

「うん」

 平和すぎる。

 そのとき俺の頭の中に声が響いた。

【スキル《鑑定》が強制発動】

 突然、視界に文字が出た。


 ルシア

 種族:魔王族

 年齢:17

 戦闘力:SSS

 魔力量:世界樹級

 危険度:低


 俺は言った。

「低?」

 リィゼが聞く。

「何?」

 俺はルシアを見る。

「危険度、低って出てる」

 ルシアは目を丸くした。

「それ見えるの?」

「うん」

 ルシアは少し驚いた顔をして。

 それから小さく笑った。

「やっぱり」

 俺が聞く。

「何が?」

 ルシアはフォークをくるくる回した。

 そして言った。

「おじさん」

 少し真面目な顔。

「もしかしてさ」

 一拍。

「この世界、今回が初めてじゃなくない?」

 レオナが固まる。

「……え?」

 リィゼも俺を見る。

 俺は言った。

「初めてだと思うけど」

 ルシアは首を振る。

「違うと思う」

 赤い瞳が光る。

「三百年前」

 静かな声。

「世界を救った人」

「今のおじさんと――」

 少し笑う。

「同じ匂いがする」

 風が吹いた。

 遠く北の空。黒い巨大な城が見えてくる。魔王城だった。

 ルシアは立ち上がる。

「もうすぐだよ」

 城を指差す。

「魔王城」

 そしてニコッと笑った。

「たぶん」

 とんでもないことを言う。

「おじさんの秘密も、そこで分かる」

 俺は言った。

「秘密?」

 ルシアは答えない。

 ただ楽しそうに笑っていた。

 そしてそのとき――俺の頭の中に、また声が響いた。


【封印スキル《???》が反応しました】

【条件接近:魔王城】

【封印解除まで:あと少し】


 俺は空を見上げた。

「なんだこれ」

 どうやら魔王より先に、俺の正体のほうがヤバいらしい。

本日、あと2話投稿します。

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