第32話 徳田幕府のトップシークレット
ひと段落した頃を待っていたのか、神使セリエが現れた。
『あら、セリエさま、こんばんは』
「康代に大事な話を伝えに来たにゃあ」
『どんなお話でしょうか』
「康代、テレパシーで会話にゃあ」
『はい』
セリエは男口調になってテレパシーで会話を続けた。
「女神アセリアさまからのご命令が出されたーー それは何よりも優先する」
「陛下にも伝えておるーー 何かあれば、陛下が其方の力になるじゃろう」
『何をするのですか?』
「まもなく西和帝国の半分が水没して世界は大混乱に陥る。巨大な津波もあるだろう」
「その時、汚れた集団意識を持つ者が大量に脱出を試みる。だが皇国は鎖国を維持して拒否する」
「アセリアさまは皇国が未来の地球の希望と申している。それを死守するには鎖国の維持と申されている」
「何があっても皇国の玄関を開いてはならぬが命令だ。困ったら陛下が其方を援護する手筈だから心配無い」
「皇国に降り注ぐ幾多の災いは女神アセリア様が結界を巡らして守る手筈だ。康代たちは奇跡を見るだろう」
「分かったな。康代」
『セリエさま、承知しました』
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セリエはテレパシーをやめ普段の口調に戻った。
「康代との話は終わったにゃあ。みんなお邪魔したにゃあ」
セリエは光になって消えた。
「相変わらず忍者でござるな」
「今回はなんだか、さっぱりわからないわ」
『信美、トップシークレットだったの』
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翌日の昼食時刻、康代たちは学園の2階の食堂に集まる事にした。
先着はいつも秀美で、秀美がみんなの席を確保している。
「秀美、席の確保をありがとう。秀美は何がいい?」
「利恵、いつもの日替わりよ」
「秀美は、相変わらず控えめな性格ね。前世と変わらないわ」
「利恵さん、秀美さん、今日も早いですね」
「光夏も、早いじゃないか」
利恵が切り返し笑みを浮かべる。
康代と静女と信美が遅れてテーブルに着いた。
康代が光夏に話掛ける。
『オーディション騒ぎで頓挫していた女子生徒アンケートはどうなったかな』
明里光夏が説明した。
「アンケートの収集作業は終えております」
「秀美の協力で生徒会の主要メンバーも協力しています」
『偏りが無ければ成功です。個人の意見をなるべく多く取り入れましょう』
「今、生徒会が手分けして整理しています」
『この女学園は特殊な環境ですがある意味、皇国の縮図なのよ。昔の偏向世論調査の轍を踏まないようにしましょう』
「康代さん、そこが重要ですね」
「利恵の言う通りでござる」
『魔女裁判の様な偏見が起きないように注意しながら』
「難しいが避けては通れそうにありませんね」
信美も感想を漏らした。
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『今日はお天気も良いので皆んなで日向ぼっこしませんか』
秀美が子供の様に手を上げて賛同して皆が続いた。
康代たちは女学園内の大きな中庭に移動してベンチに腰かけた。
「今日はお天気が良すぎて芝生の色が眩しいわ」
利恵が呟く。
「冬の頃の芝の色とは比較になりませんね、利恵」
光夏が答えた。
「拙者は5月からなので知らないでござる」
「静女さん、前は枯れ草のような色だったの」
「枯れていたのでござるな」
「枯れてはいないわ。例えね」
「左様で、ござるか」
「今は青々としてキラキラと輝いているわ」
「左様でござるな」
『静女、私たちには皇国の自然をも守る義務があるのよ』
『人間のご都合主義で自然を破壊した前政府のツケを地球に返す義務があるの』
「永畑火山も、西和帝国のシントン火山も人間のエゴがもたらした天罰でござるな」
『西和の大災害については徳田幕府のトップシークレットになるから執務室でお伝えするわね』
康代は表情から笑顔が消えていた。
そよ風が女子高生たちの頬を撫でた。
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三日月未来




