第29話 宝田古典絵巻
『光夏、それ何かしら』
「康代さん、私が開封しましょう」
「康代さん、これです」
『あらーー これは公演の台本と降板表です』
『日程とも関係があるから光夏さんにお願いするわ』
光夏は手紙に気付いて読み上げた。
「康代さん、人員が足らないそうです」
「文面にはーー 端役の2、3人を手助けして欲しいとのこと」
「公演の練習稽古は3日間の予定とされています」
『じゃあ、うちの演劇部にお願いしてみましょう』
『秀美、演劇部との交渉をお願いします』
「康代さん、心得ています。交渉は秀美にお任せを!」
秀美は出番とばかりにふくよかな胸を張る。
「秀美さん、クラスメイトに演劇部の人いるから紹介しようか」
「光夏さん、かたじけない」
「まあ、秀美と光夏、お芝居が上手ね」
利恵の言葉に康代や信美もくすくす笑った。
「拙者も同じでござるな」
『そうね、万が一の場合の補欠にいいですねーー 冗談です』
『でも収録をライブでなく録画にすれば、どうかしら』
「そうなれば、光夏の手も空きますわよ」
利恵は言って光夏を見た。
「大丈夫ですよ。神聖女学園の演劇部は優秀ですから」
「光夏、無難に逃げましたね」
信美が言った。
「康代さん、演劇部にお願いに行きます」
『あら秀美、もう消えているわ。本当に早いわ』
「前世から秀美の性格は変わりませんね」
信美は笑いながらため息を吐く。
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明里光夏は、公演の台本のタイトルを見て驚いている。
「康代さん、このタイトルは」
『光夏、どうされましたか』
「神聖女学園臨時公演の横のサブタイトルがーー 宝田オリジナル古典絵巻」
『オリジナルは分かりますが、絵巻ですか』
康代は光夏から手渡された台本のページをめくった。
『これは代表古文の総集編の再編集みたいです』
「びっくりしたでござる」
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光夏が台本について、宝田の担当者に問い合わせた。
「それですか。臨時公演と聞いて以前から準備していた。オリジナル台本を今回の公演用に割り当てました」
光夏は礼を言ってホログラム携帯を切って康代に伝えた。
『有り難いことですわ。光夏さん、生徒会メンバーにもお願いして』
『台本を端役の人数分、準備してください。大勢で分担するのが基本よ』
「康代さん、ありがとうございます」
康代に挨拶した光夏は隣室の生徒会室に姿を消した。
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三日月未来




