第23話 宝田劇団の大スター大河原百合
学食の女子高生6名は女子生徒たちの満足度アンケートを話し合った。
『アンケートは、多数決方式は取らないことにしましょう』
「生データ共有方式にしませんか」
「良いでござる」
「多数決には落とし穴があって外圧に弱いですからね」
利恵が言った。
『確かに多数決の暴力装置が悪政を支えていましたわ』
『選挙廃止も偏向防止と不正防止の意味合いが強いの』
『全部の意見を拾うのでなくて』
『倫理的な正当性に光を当てるのが重要じゃ無いかしら』
「康代の言う通りでござる」
「と言うことは、これ難しい仕事かも知れ無いわね」
信美が重い口を開いた。
『だから文殊の知恵が必要になるのよ』
『みなさんは能力者なのでーー どうかしら』
「一般のスケールは通用しないでござる」
静女がフォローしている。
『ところで、さっきから外が騒しくありませんか』
「講堂で宝田劇団のスターが撮影しているそうよ」
生徒会メンバーの情報だった。
『時代が変わっても変わらない物があるのね』
「康代さま、秀美が見に行きましょうか」
「敵陣視察ということで」
「秀美、それ違うような気がするでござるよ」
「秀美が見たいのでしょう」
「信美さんまで、ご冗談でしょうか?」
「十分、本気ですよ」
「秀美、見に行こうか」
「利恵は、いつも優しいね」
「秀美、私も行くよ」
「光夏、ありがとうね」
「じゃあ、みんなで偵察に行くでござるか」
『そうね、6人全員で行きましょう』
「まるで、政府視察でござるな」
『静女ったら、いつも笑わせる』
「笑いは、免疫力をアップさせるバリアでござるよ」
⬜︎⬜︎⬜︎
体育館に隣接する講堂の外には神聖女学園の中高の生徒達が溢れていた。
康代たちは、神使のセリエから授かった【透明化スキル】で接近することを試す。
意識されず接近出来るが注意しないと接触してしまう。
透明と言っても透明になる訳ではない。
相手との間に透明化のバリアを纏うと説明すれば分かり易いかも知れない。
康代たちは、なるたけ会話をしないで覗くことにした。
グラマーな体つきの女性が声を上げた。
「シーン一38!本番!」
「監督、スタンバイオッケーです」
「AD始めて!」
「3、2、1、ハイ」
スタート合図のカチンコが鳴って現場の空気が変わった。
(※AD、アシスタントディレクターの略)
⬜︎⬜︎⬜︎
宝田劇団の大スター大河原百合が高校の古典教科書を片手に台詞を始めた。
『かくあまたの人を・・・・・・』
「カット!」
「カット!」
「大河原さん、すみません、雑音が入ってしまいました」
「見学のみなさん、音を出さないでくださいね」
「大河原さん、もう一度お願いします」
「監督!本番、オッケーです」
「シーン一38!本番!」
「3、2、1、ハイ」
『かくあまたの人を・・・・・・』
『・・・・・・心にとどまりはべりぬる』
「カット!」
「大河原さん、お疲れ様です」
「本日の大河原さんのシーンは、ここまでです。お疲れ様」
⬜︎⬜︎⬜︎
「シーン、39!テスト準備出来ました」
「赤城麗華さん、お願いします」
赤城さんが、登場して、女子生徒達から大歓声が上がった。
徳田康代は、心の中で呟いた。
[宝田劇団の演技を多くの国民と共有するのもいいかも知れないわねーー 国民の喜びを拡大する秘策はこれだ]
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三日月未来




