俺に毎月50万を支給!?
(それはさ〜アレだよね?アレさぁー!うーんそうそう〜。って!はよ言わんかーい!)
「やっぱおもろいなこの芸人」
休日にゴロゴロ自堕落にテレビにかぶりつく今話題沸騰中な芸人の一発芸に笑っているとドアの呼び鈴が鳴った。
(ピンポーン!ピンポーン!ピンッ!)
「はいはい、なんの御用でしょうか?」
「お久しぶりです雪さん本日は以前の報告にまいり」
「あっNE◯の集金ですか?うちテレビないですよ?」
家の前にまた怪しい格好の人が立っていたため、すぐさま一言断りを入れオートロックのドアを閉めようとすると…。
「こら!これ!2回目ぇ!?私です代々木ですよ!!」
「あぁ、代々木さんすいません。相変わらず怪しい服装なのでつい…」
「雪さん一昨日、私と会ったばかりですよね?わざとやってますよね?」
ガクッと肩を落とす代々木さんしかしハッと用事を思い出した様で顔を上げ用件を伝えてきた。
「突然な事で驚くでしょうが雪さん貴方は、この国を代表して親善大使をやって頂きたいんです!!」
「そうかそうか俺が親善大使…ってはあ?」
頭が痛いこんなぶっ飛んだ話はこの前テレビドキュメントで放送していた、「実録犯罪者が弁護士になる話」の次にビックリした。
「しょうがないですね、分かってらっしゃらない様ですから。もう一度言いますね雪さん貴方はこの国を代表して親善大使をやっていた頂きたいんです!!」
「すんません丁重にお断りします」
思考がショートした大体親善大使って有名人がやるもんだろ芸能人とかさ俳優がね…なんで俺?
「驚くのも無理ありません貴方みたいな人に縁があるものでないでしょうし」
「皆さんビックリして当然でしょう」
人の話を完全に無視し、頬に手を当てしょうがないといった表情を浮かべ懐から無言で書類を渡してきた。
「ん?ちょっと待て皆さんて?」
「もしかして俺の他にも声ってかけてるの?」
「勿論ですよ?こないだ他の方に伺ったら何故か新手の詐欺を疑われて警察に通報されましたがね」
当然のように通報された事を話す代々木さんは不審者という実感を分かってないようだった。
「取り敢えずおめでとうございます。これにて本日は
説明終了となります、では…」
「ちょっと待て、何がどうなってるのかちゃんと説明が終わってないだろ!」
早々と去ろうとした代々木さんを引き留めた。
「そうですね、まずはこのままでは近所迷惑になりますので家に上がってもよろしいですか?」
誰かに聞かれたくない話があるようなので渋々に、我が家に招き入れることした。
「悪いが、物欲しそうに待ってても急な事だから何も出ないぞ」
「ゴホン!私は欲しがったりはしません」
家に招いた後、代々木さんを居間に案内しテーブルを境にお互い座っている。
「で?本題はなんなんだ?」
「お話とはさっきお渡しした書類にすべて記載されていますのでご覧下さい」
書類を手に取り声を出して読み上げる。なになに?厳正の抽選の結果貴方様は獣王国との橋渡しとなりここに親善大使となる事を認めますパチパチ…短くまとまめるとこんな感じだ。
「これは国が決めた事ですので貴方に拒否権はありません」
「ふざけんなよ!?なに急に押しかけて勝手な事してくれんだよ」
突然の事に頭は完全にパニックになり思わず代々木さんに詰め寄り問い詰めた。
「だって貴方しかいなかったんです、こんな事を引き受けてくれそうな人は…」
「えっ…?」
まさか俺って知らないだけでそんな凄い人だった?もしかしたら知らないだけで祖先がとても凄かったりしたり…と妄想していると。
「だってダーツで決めたからしょうがないです」
「うん、なんだって?」
詳しく話を聞くと国会で話し合った結果、お互いの国をよく知って貰うため親善大使を決める事になり。その中で一般市民の枠があり国民の中から選抜する事が決定した、そして地図に議員がダーツを投げ当たった所に職員を派遣し任命するといった内容だった。
「もしかしてたまたまダーツが刺さったのが、俺の住む地域だったと?」
「こくこく」
代々木さんは頷き肯定した。
「じゃあ謎に動物の質問をしてきたのも獣王国との親善大使に相応しいかのチェックだったと?」
「こくこく」
代々木さんは言葉を話さず大きく頷き肯定した。
「へ〜そうか他の奴は駄目なのか?隣の部屋の吉田は?」
「もう数日前にお伺いし丁重に断られました」
「そうか分かった…じゃあ今すぐ帰ってくんね?俺今日聞いたことは忘れるから…」
面倒事は絶対に御免被るため、聞かなかった事にしてはやく帰らそうとする。
すると言葉を聞いた途端、無言だった代々木さんが涙目になりながら必死に身体にしがみついてきた。
「お、お願いしますぅ!!貴方しかいないんです他の職員は契約したのにっ!ぐすっ、私だけまだ決まってないんですよぉ!」
「ここは私を助けると思ってお願いします!じゃないと私がぁ!本当に後生ですからぁ!!少しばかりですが貴方にもメリットはあるんですよ!!」
「なんでも雪さん貴方、ご自分の姉様から仕送りをしてもらって生活をしているとか」
その言葉にピクッと反応した。
「驚いているようですが…これはまだ序の口です、貴方の事はここ数日の間に調べ上げました」
言葉が出ない俺の個人情報を何処で…、そんなにも国は親善大使任命の為に権力を使っているのか…。
「お話を聞いて頂けますが?」
「答えはYes…聞くしかないだろ…」
「ありがとう御座います、それではご説明させて頂きます。まずはメリットのお話を貴方様には毎月国から50万の支給をさせて頂きます」
「毎月50万!?」
「はい、50万です。引き受けていただけるなら毎月口座に振り込まさせて頂きます」
「そんな話…本当なのか?」
「本当です、ただ一つの条件を呑んでいただければ…」
「条件…?」
一月に50万も貰える話だ、どんな危険な事をさせられるのか分からない以上、どんな恐ろしい条件なのかと身構える。
「それは、この部屋に獣王国からやってくるお客人を住ませて貴方がこの国の良さを伝えていただくこと」
「つまり…獣人とルームメイトになれと?」
「簡潔に言うとそうです、貴方にはこの一年間獣人の方と一緒に生活して頂き両国との良い関係を築く為、
そして人間と獣人との共存の第一歩…その橋渡しとなってもらいます」
つまりは獣人のご機嫌取りをするのが仕事という訳か…。
「それでは、分かっていただけましたか?ご理解の上この話お引き受けして頂けますか?」
…いつまでも姉に頼ってはいられない、そろそろ自立しないと。そう心に決心してこう答えた。
「分かりました引き受けさせていただきます」
「雪さんご決断、ありがとうございます」
「ではこちらにサインを」
契約事項がびっしりと書かれた書類にサインと印鑑を押した。
「これにて契約完了です。後日、同居人を紹介させていただきますね。では失礼しました」
代々木さんはそう言い残し満足気に帰っていった…。
怪しい話に乗ってしまったことは分かっているが、
弱い所を突かれ完全に押し切られてしまった…。
こうして俺はこの日、親善大使になる事に決めたのだった。
少々長くなり申し訳ないです、ここまで読んで下さりありがとう御座います。このまま次回も読んで頂けると幸いです。




