精霊の確認
生成AI(Grok)による本文作成を行い、微調整しています。
苦手な方はご注意くださいませ。
夜、お風呂の準備をしながら、ふと気になってしまった。
まりもは精霊だ。浄化の力もあるらしい。少なくとも、私が知っている限り、彼女がお風呂に入ったところを見たことがない。人の姿になってからも、いつも清潔なままだ。
「ねえ、まりもはお風呂に入らないの?」
ソファに座っていたまりもが、こちらを見た。淡い緑の長い髪が肩に流れ、濃い緑の葉模様が部屋の明かりを受けて静かに揺れている。
「フロ? ああ、入らない。ぼくには必要ない」
「全然?」
「森にいた頃はたまに水浴びはしていたが、それは儀式で行うものだ」
「そうなんだ」
「人間は、毎日入っているな」
「うん。入らないと汗とか、臭いとか……いろいろあるから」
まりもは少し不思議そうな顔をした。精霊にとって、毎日湯船に浸かる習慣は理解しにくいらしい。
「汗で、臭くなるのか」
「人によるけど……なることもあるよ」
その言葉のあと、まりもはぴくりと一度耳を動かして、静かに立ち上がった。次の瞬間、予想もしない距離まで近づいてくる。淡い緑の髪が視界に入り、森のようなやさしい香りがした。彼女は何も言わずに、私の首筋に顔を寄せた。
鼻先が、肌に触れる。
「っ……!」
思わず身を引こうとするが、まりもは動かない。腕を軽く押さえるようにして、ひたすら匂いを嗅いでいる。吐息が首にかかり、体温がじわりと伝わってくる。同時に、彼女の綺麗な長い髪が私の頬や肩に軽く触れた。柔らかくて、少し冷たくて、なのに離れない。恥ずかしさで顔が熱くなった。
「ま、まりも……?」
「動かないでいろ」
低い声だった。確認するように、もう一度鼻を近づける。耳がぴくりと動き、視線はどこにも合わない。ただ、真剣に匂いを嗅いでいる。淡い緑の髪が、動くたびに私の肌をくすぐるように流れる。
「キミは……別に、臭わないけどな」
そう言いながらも、まりもは顔を離さない。むしろ、少しだけ角度を変えて、また嗅ぐ。精霊の感覚で、人間の「汚れ」を確かめているつもりなのだろう。なのに、その仕草があまりに真っ直ぐで、私の方が参ってしまう。
「もう、分かったから……!」
「まだ確認中だ」
「確認しなくていい!」
ようやく押しのけると、まりもは小さく息を吐いた。本人はただの確認のつもりだったらしい。でも、私の首筋に残った感触と、彼女の体温と、髪の感触と、森の香りがなかなか消えてくれない。
「でも、毎日入らなければならないのか」
「……まあ、うん」
「面倒な生き物だ」
そう言いながらも、まりもは少しだけ視線を外していた。さっきまでの距離が、まだ残っているらしい。
お風呂の準備をしながら、私は深呼吸をした。心臓の音が、まだ少し早い。
「……なんか、恥ずかしいよ、まりも」
「まりもって呼ぶな」
低い声が返ってくる。
でもその声は、夜の空気の中で、わずかに熱を帯びていた。




